【13話】 電話
【13話】
私は紗英を怒らせてしまった。むしろあれは起こっているより呆れられたのではないだろうか。
「私だって隠し事なんか…」
ほんとに神に誓えるだろうか。でも里見君ともめたなんてどうでもいい話を彼女は聞きたがるだろうか。絶対聞きたがらないだろう。だから私はあえて話をしなかっただけでアリ、別に隠してなんかいなかった。
はーあ。里見君ともあれ以来連絡はつかないし気まずいし、紗英とはこんなんだし。すべてリセットかけてしまいたいぐらいだった。
「とりあえずこのままじゃいけないよね。」
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俺は立川にあんな事を言われて以来学校へ行っていない。なんだか見返してやりたくなった。なんでも中途半端じゃないって事を。
「きっと学校に行かないこーゆう所が立川からしたら中途半端のダメ人間なんだな。。。」
俺ははじめて人にストレートで嫌い(大っ嫌い)って言われた。立川の言葉をきっと俺はこれからも忘れないだろ。
「おにいちゃん!!なにをしてるの??ケータイ鳴ってる。」
一階にいる妹の佳絵が俺の部屋に向かって騒ぐ。
「おーう。」
「んもう。。」
俺はイヤホンを大音量で聞きながら勉強しているので、佳絵がドンドンと足音たてて階段を上ってくる音など全く聞こえなかった。
「おにい!!いい加減にして!!ケータイ鳴ってるって!!」
「うわっ!びっくりさせんなよ!」
「また大音量で聞いてたの?最近おかしいんじゃないの??」
「うるせえよ。何もねえから。ケータイなら勝手に返信するなり、消すなりしといて。」
「おにい、友達は大切にすべきだとおもうよ。」
俺は誰からの連絡かおおよそ見当はついた。
「おにいさ、何におびえてるのかわかんないけど、人って逃げていても解決できない生き物なんだよ。」
俺だって本当は分かっていた。だけど、自分が傷つくのを恐れていた。
俺は黙って携帯を受け取りあの日以来はじめて携帯に触れる。
携帯を渡し「男でしょ」と言って佳絵は俺の部屋を出て行く。
「はい。」
俺が電話に出ると思っていなかったのか無言が5秒くらい続いた。
「あの…。里見くん?」
「当たり前だろ。お前誰に電話したつもりでいるんだよ。」
「だって沈黙するんだもん。もしもしぐらい言うでしょ普通。」
「誰からの電話かわかんなかったんだよ。」
俺はいつもこうやって嘘をついてしまう癖がある。
「で、俺に何の用?」
「ごめんね。屋上でのこと。」
立川はいきなり気まずそうに言う。
「あれは私もむしゃくしゃしてたというか、色々説破詰まってたというか。」
「あぁ、俺は全然気にしてない。」
また嘘を重ねる。
「てかお前行きたかった大学の受験資格得られてその後どうなったんだよ。最近学校あんまし行ってねぇからわかんねぇんだけど。」
俺はあの話から反らした。
「明日。」
「は?明日?俺なんかに電話してる場合じゃないだろ。」
「だってあの後LINEだって送っても返信は無いし、学校は半月来ないし、どうなってるのよ。」
今に泣きそうな声で立川は怒る。それを俺は黙って聞いた。
「なんでよ、既読ぐらいつけたって良いじゃない。なんで文字すら届かせてくれないのよ。」
LINEだって来てるだろうなとは思っていた。けど俺はもう立川ともめたくもなくて、携帯すら開かなかった。
「ごめん。」
俺はそれしか言えなかった。
「謝るなら学校に来て。いつだってみんなは待ってるんだから」
そう言って立川は電話を切った。
「なんだよ、一方的に文句言って切りやがって。」
ただ俺はまだ俺のことを気にしてくれている立川にほっとしていた。そして思った。
「明日からは学校に行こう。」




