少年の朝
『早く、脱出するんだ!』
どうして?
『こいつ、チクショウ、チクショウ!!!!』
何を興奮してるんだ?
『か、勝てるわけない、に、にげ・・・うわああああ!!!』
誰から?
『おい、起きろ!』
誰が?
『起きろ!――!』
眠い・・・。
「起きろー!」
ドシッ!
腹に何か違和感を感じる。いや、痛みを感じる?いや、痛い痛い!
「起きろー!」
ゆっくり目を開ける。そこには俺の腹の上に膝立ちでグリグリする妹の姿があった。こいつの名前は空野 彩子 (そらの あやこ)という。俺の一つ下で長い黒髪をツインテールにして、150cmあるかないかの身長で、さながら小動物のようだ。
実際にコイツの行っている学校ではアイドル扱いされている、って聞いたことがある。まぁ、こんだけ可愛かったらありえそうだが・・・。
「どけ」
俺はそんな可愛い小動物を押しのけてベッドから降りる。ひどい?悪いな、俺は低血圧なんだ。だから朝方はすこぶる気分が悪い。特に寝てるところを無理やり起こされたらなおさらだ。
俺に押された妹はドシンと小気味いい音を立てて床に落ちる。
「ふみゃっ!」
・・・わざとにしか聞こえないのだがコイツは素でやってる。舌を噛むときとか、ビックリしたときとかにこんな声を上げる。こういう自然に出ていてわざとらしくない、というのも人気の一つかもしれない。試しに俺もやってみようか・・・。
つい押しちゃったんだ、許してちょ☆
うん、キモイ。皆まで言うな。
「う~、痛いよお兄ちゃん!」
「・・・しらん」
俺は妹の抗議をガン無視し、寝巻き姿のまま部屋を出る。大体、朝っぱらから人の腹の上で膝立ちになり、痛みを与えてくるとかコイツの頭ん中は大丈夫なんだろうか。
俺の住む家は普通の2階建ての木造建築の家で、特筆すべき点はない。強いて言うなら俺の部屋は2階にあるくらいだ。
階段をゆっくり降りて台所に向かう。台所には『食っとけ byそれはそれはとても美しいママ』と書かれたゴミ(メモ紙)とラップがかけられたご飯。俺の家族は父、母、俺、妹の四人なのだがその内両親は、仕事の関係上、朝早く出かけ夜遅くに帰ってくるといことが頻繁にある。なのでこのように朝の段階で家族が揃うことはあまりない。
「最近会えてないよね・・・」
いつの間にかとなりに妹が来ていたようだ。なぜ音がしないんだと、そのことについて言ってやろうと思ったが、妹が涙ぐんでいるのに俺は気がついた。
「・・・心配すんな、もうそろ帰ってくるさ」
俺はそう言って妹の頭に手を置いた。キザったらしいがコイツにはこうしないと泣き出してしまうんだ。それに泣き出したらなかなか泣き止まない。それで学校に遅刻したことがあるくらいだ。
「・・・ズズッ・・・うん」
・・・・・・俺の寝巻きで鼻水拭きやがった・・・。
「さ、ぱっぱと飯食って学校行くか」
「うん!」
俺たちは素早く朝ごはんを食べ、学校に行く支度を整えて、家を出た。
前話とすごい場面が違います。設定としましては、前話が土曜日で狩人は祖父の家にひとりで遊びに行っていた。で、平日になり我が家に帰ってきた。そんな設定です。というかそんな話はそこらへんに投げ捨てといて。この話書いていて思ったことが有るんです。それは・・・。
こんな朝起こしてくれるような妹なんか存在しねーYO!
はい、これだけです。




