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ある日、日常がハーレムになりました  作者: ネロ


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1/4

始まり

この物語では、『好きになりすぎるのは。悪いことですか』に出てくる人物と同じ名前の子がいます。

しかし、全く何の関係もありません。

この物語はあっちのシリアスな感じは全く無しの、コメディ全開でやってきます。

同名の別人とお考えください。

悠真は大学二年の秋、駅前のカフェで完全に凍りついた。

1年前から付き合い始めた理央と歩いているとき、ある女子と鉢合わせた。

目の前にいるのは、間違いなく瑶季(たまき)だった。

中学高校と6年間、毎日顔を合わせて、放課後一緒に帰って、テスト前は一緒に勉強して、体育祭では一緒に笑い転げて……

それなのに結局「好きだ」と一言も言えなかった、あの瑶季。

髪は少し長くなって、でもあのころと変わらない、感情がそのまま顔に出る明るい笑顔。


ただ今、彼女は悠真の真正面に立って、そして悠真の隣に座っている理央の肩を、遠慮なくガシッと掴んでこう言った。

「え、待って待って待って!? 理央の彼氏って……悠真くん!?」

理央はニヤニヤしながらコーヒーを啜って、

「うん、そう。付き合って一年ちょっとかな? 超ラブラブなんだけど〜?」と、わざとらしい甘い声で追い打ちをかける。


どうも、瑶季と理央は旧知の仲であったらしい。小学生のとき、同じミニバスチームに所属していたのだとか。

瑶季の目が一瞬でウルッと潤んだ。

「……ずるい」

「え?」

「ずるいって言ったの! めっちゃずるい! 悠真くんをこんなに幸せそうにさせるなんて!」

理央は完全に面白がってる顔で

「ふーん? じゃあ瑶季ちゃんはどうしたいの? 取り返す?」

瑶季、真顔で一拍置いてから、

「……うん、取り返す」

悠真「は!?」

理央「いいね〜! やる気満々じゃん!」

悠真「ちょっと待て待て待て、なんでお前らが勝手に盛り上がってんだよ!?」


そこから始まったのは、誰が見ても頭おかしい三角関係だった。

瑶季は堂々と「悠真くんは私の運命の人だから!」宣言を繰り返し、理央の前で抱きついてくる。

なのに理央は面白がっているように「はいはい、がんばって〜」と頭を撫でてる。

理央は面白がって、わざと悠真に甘えてみせたり「今日は私の方が先に予約入ってるから〜♪」とか言って瑶季を煽る。

悠真はただただパニックで「俺はどっちも傷つけたくないんですけど!?」と叫ぶ日々でも不思議と、誰も本気で傷ついてない。

むしろ三人が一緒にいる時間が、だんだん当たり前になっていく。


ある日、遊園地の観覧車の中。

狭いゴンドラに三人でぎゅうぎゅう詰め。瑶季がぽつりと言った。

「私さ……悠真くんのこと、本当に諦められなくて。でも今、理央ちゃん見てると、すごく幸せそうで……それも、ちょっと嬉しいっていうか」

理央も少し真面目な顔になって

「私もさ、最初はただの遊び心だったけど……瑶季ちゃんが本気で悠真のこと好きなの見てたら、なんか、放っておけなくなっちゃったんだよね」

悠真「……俺、どうしたらいいんだよ」

二人同時に、ニコッと笑って

「「悠真が決めてよ」」

観覧車が頂上に差し掛かって、街の夜景が広がる。


悠真は深く息を吸って、

「……とりあえずさ。今はこのままで、いいかなって思う」

瑶季「……え、それって」

理央「ふふ、つまり『まだ決められない』ってこと?」

悠真「うん。どっちかを選んだら、どっちかが泣く気がして……それが嫌なんだ」

しばらくの沈黙。

瑶季が、ふっと笑って「じゃあ、私たちもまだ諦めなくていいってことでいいよね?」

理央「賛成〜。悠真くんの心を巡るバトルは、まだまだ続くってことで♪」

悠真「いやそれバトルって言うな……」


観覧車がゆっくり降りていく中、二人の女の子がそれぞれ悠真の左右の手を握ってきた。

そして、どちらも同じくらい温かくて、悠真はもう、どうしようもないほど困りながら、でもどこか、とても幸せな気持ちで、

「……俺、ほんと最低だな」と呟いた。

二人は同時に首を振って、「最低じゃないよ」「大好きだから、こうなるんだよ」

夜の遊園地に、三人の笑い声が響いた。

この奇妙で、ちょっと間違ってるかもしれない三角関係は、まだまだ続きそうだった。


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