2-23
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あわてて老師を取り囲み、言い訳を始める巫女たち。
キーヤを引っ張ってそそくさと立ち去る母親。
誰も、ミアリスがやけに静かなのに気付かない。
いや。
肩に手がかかり、振りむくと顎を持ち上げられる。
「手ひどく張られたな。
口の中を切らなかったか?」
覗き込むせんしのひとの問いに、ミーアは黙って首を振る。
「キーヤは・・・と、詫びを言わせるつもりだったが、あいつ逃げたか。
悪い奴ではないんだが、母親の影響が強すぎるのだ」
いじめっ子の、ガキ大将の、悪い奴だよ。
と、ミーアはそっぽを向く。
ばば様がやっと巫女たちの集団から抜け出して来た。
「やれやれ、そなたの顔見世をするはずじゃったのに、とんだ騒ぎになってしもうた。
おや、どうした。
ターロを割られたのはショックだったな」
「俺が証言しよう。
あれは、キーヤが悪い」
ばば様とせんしのひとの言葉にも、ミアリスはうつむいたまま。
全力で暴れて、疲れ果てたか、と思った老婆だったが、やがてミアリスは思い切ったように顔を上げ、たずねた。
「・・・自害って・・・自殺だね・・・
私の母様は。
私のせいで、自殺してしまったの?」




