2-20
2-20
巫女の集会所から出た老師が見たのは。
大柄な戦士に掴み上げられて、両手両足をぶんぶん振り回して怒っている五歳の子供。
戦士の足元には、鼻血を出してぼーぜんと座り込む男の子。
「キーヤ!」
入り口でミアリスを押しとどめた巫女が母親らしく、男の子に駆け寄る。
やれ、聞き分けの良いおとなしい子と思っとったが。
怒ったミアリスを見るのは初めてじゃな。
子供と言うのは、こんなにも全身で怒り狂うものなのか。
と、ちょっと感動して見ていると。
暴れてのけぞったミアリスの頭が、戦士の顔面に激突した。
ぐっ、と呻いた戦士がミアリスを降ろして鼻をおさえる。
(ありゃ)
降ろされて再び男の子に向かおうとするミアリス。
立ちふさがった母親らしい巫女が、その頬をばしんと強く張った。
(ありゃりゃ)
「下賤の身で戦士階級の子に手を出すなんて!
なんと躾の悪い、獣のような子!」
「さきにっ、てをっ、だしたのはっ、そっちだっ!」
涙と鼻水でぐちゃぐちゃのミーアは叫ぶ。
「わるいのはっ、そっちだっ!
あやまれっ!」
だがそれは、身分制度のない現代人の思考だ。
戦士制度と男尊女卑でかたまったトゥリアークの人間の考え方ではない。
「まだ口ごたえを!」
女が再び手を振り上げる。




