表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Unrivaled Mafia  作者: ずり男
PR
1/2

第1話 「謎の青年」

冷たい雨が、アスファルトを叩いていた。


アメリカのスラム街。

ネオンは半分壊れ、路地にはゴミ袋が積み上がり、サイレンの音が遠くで響いている。


青年は全力で走っていた。


名前は――W。


「止まれ!!」


背後から警察官の怒号。


Wは振り返らない。


肺が焼けるように痛い。


だが止まれば終わりだった。


路地を曲がり、フェンスを飛び越え、さらに走る。


しかし足がもつれた。


「くそっ…!」


その時だった。


近くの古びたアパートのドアが少し開く。


中から白髪混じりの中年男が顔を出した。


「坊主、こっちだ。」


Wは一瞬迷う。


だが選択肢はない。


アパートに駆け上り


部屋へ飛び込んだ。


男はすぐにドアを閉める。


「どこ行った!!!」


「まだ近くにいるはずだ!探せ!」


警察官たちが声を上げながら建物の前を走り抜けていった。


静寂。


Wは壁にもたれ込む。


「....なんで助けた?」


男は徐にポケットから煙草を取り出した。


男は煙草に火をつけながら笑った。


「さぁな、お前の顔が昔の俺に似てたからかなぁ..」


少しの静寂の後、Wは口を開いた


「意味わかんねぇ。」


「腹減ってるだろ。」


男は缶詰を投げて寄越した。


Wは警戒しながら受け取る。


警戒しつつも恐る恐る缶詰を開けて食すW


「うまい...」



男の名前はローズ。


元々このスラム街を仕切っていたチンピラの集まりの長だったらしい。


今は細々と暮らしている。


Wはしばらく彼の家に居候することになった。


警察から逃げていた理由は単純だった。


強盗、暴行、詐欺、恐喝、傷害、住居侵入など多数の犯罪を犯していたから


だがスラムでは、その程度でも人生が終わることがある。


数週間後。


Wはお金に困っていた。


仕方なくまた窃盗でもしに行こうと企んでいたところ


「仕事を紹介してやる。」


ローズの声が聞こえた


「仕事?」


反射的に返していた。ローズは煙草を吸いながら、ゆっくりと口を開けた


「荷物運びだ。」



倉庫街。


夜。


Wは初めてその仕事を見た。


黒いSUV。


武装した男たち。


妙に高価なスーツ。


その瞬間気付いた。


これは普通の仕事ではないことに。


自分はおそらく、もう後戻りできないところまで来てしまっていることに


男たちはそんなWの様子を見て察したのか笑いながら言った。


「賢いガキだ。」


その後、仕事が終わり、ローズと車で帰路に向かっている途中、Wは口を開いた


「あんた、マフィアの一員だったんですか」


一瞬、車内は静まり返ったが、ローズは徐に煙草を取り出し、一服してから語った。


「、、、この街ではな、何も知らないように装って淡々と仕事するやつの方が賢いんだぜ」


もはや答えそのものの返答であった。


スラムで生きていたWでさえも聞いたことのある名前だった。


-----『WMC』


街の大部分を支配するマフィア組織だった。


自分はそんな世界に足を踏み込んでしまっていたのだ。


Wは逃げようと思った。


だが金が必要だった。


生きるために。


しかし、そんな単純な理由で体が動いていたわけじゃない。


これはきっとおそらく


初めて誰かに必要とされた気がしたからだろう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ