突然の別れ
ミサ高校3年の夏…
今日は終了式。
ミサのクラスではザワザワと、みんなが騒いでいた。
「おい!知ってっか?」
クラスの男子が口を開いた。
男子達が集まり、一人が
「何が?」
「ミサんち、夜逃げしたらしいぜ!」
まわりにいた男子達がいっせいに声をあげた。
「マジかよ!」「何でだ?」「どうしちまったんだよ!」
隣のクラスが騒いでるのに気づき、陸人が入ってきた。
一瞬、みんなは黙り込んだが、一人の空気を読めない男子が…
「おい!お前、知らないのか? ミサんちのこと。」
陸人は笑ながら 「ミサんちが、どうしたんだよ!」
「アイツんち、夜逃げしちまったんだって…」
陸人は、慌てて何も言わず教室を飛び出し、ミサの家へ向かった。
ミサの家は、小さな工場をしていたが、借金が溜まり返せなくなり街から消えた。
陸人が工場についた時には、誰も居なくガラーんと静まり返っていた。
「嘘だろ。なんでだよ!なんで黙って行っちまったんだよー。」
工場の中には、陸人の声だけが響いていた。
陸人は壁を、拳で殴り、陸人の拳からは血が滲んでいた。
机が、ひとつだけ残されていて、陸人は、ふと机の上に目をやった。
机の上には、メモが一枚…
そのメモには一言だけ
「陸人… ごめんね。」と書かれていた。
メモの横には、星の形をした小さな鈴がついた、キーホルダーが。
陸人は涙を流しながら、そのメモと、キーホルダーをポケットにしまい込み、工場を後にした。