第3話 ムギさんはヒメ様
「ムギ様」
ひっ
やめてくれっ
ここで言うのはっ
最悪だ!
何で私の正体軽々しく口にするかなぁ
はぁ
「新ちゃん!」
彼に向かってしかめっ面をかます。
新ちゃんはその顔を見て満足そうな笑顔をする。
あぁもう最悪!
「分かってるって。だから誰にも聞こえないように耳元で言ったんだろ?」
新ちゃんは辺りに目を向ける。
私たちの周りにいる人は私たちの親密な雰囲気(勘違い)と私の大声に驚きこそこそと近場の人と話し合っている。
あっ
やっと今置かれている状況を理解する。注目の的だ。
めちゃめちゃ恥ずかしい。
「気にするな」
新ちゃんは羞恥で赤くなった私のショートカットの頭をぽんぽんと撫でる。
いっそう周りの好奇な視線が強まる。
逆効果だってば!
「新ちゃんっ」
お願い止めてっ
慌てた私の顔を見て幸せそうに目を細める新ちゃん。
遊ばれてるよなぁ 私。
「新ちゃん私にかまわないで。ただの幼馴染が変に勘違いされたら困るでしょう」
周りの人たちを気にして抑えた声で告げる。
「んー 全然」
うわっ この人ダメだわ…
「まぁ拗ねるなよ。お姫様」
くそぅ 子供扱いしやがって。同い年なのに。
「アイスでいいか?」
新ちゃんは私のご機嫌をとる。
(今更遅いからねっ)
「豚骨ラーメン!!」
「それでいいのか?」
新ちゃんは明らかに不満そうだ。
「何か文句ある?」
「いや・・もうちょっと女の子らしい物にしたら・・?」
「ラーメン!」
私がこんな男らしくなったのも新ちゃんの影響だよ。
ムギさんの格好始めたのも新ちゃんの所為だよ。
おばか。




