第10話 和紗と不幸少女
テレビCMでも流れているイメージソングがいたるところで流れ、人々の頭の上にはイメージキャラクターであるサルの耳が付いている。
そう私たちは良い歳をした大人に(しかも結婚記念日で)遊園地に連れて来られた。
「あなた〜あれ乗りましょ〜」
「ねえ〜」
お母さんたちはお父さんたちと腕を組みねだる。
本当にいい歳して・・・
「しょうがないな本当に」
そういいながらお父さんたちは頬を緩ませお母さんたちの願いを聞き入れる。
毎度のことながら――――私と新ちゃんは置いてきぼり。うわー気まずっ
「わ・わたしっあ・あれ乗ってくるから。後でお母さんたちと一緒に待ち合わせようね」
私は勢いよくそこらのアトラクションを指す。
あ・・・
私が指したのはイメージキャラクターのサルの付いたコーヒーカップ。乗っているのは幼児。大人たちはコーヒーカップに乗っている子供をビデオをまわしたりカメラで記念撮影をしている。
よりによって何故こんなものを指したんだ私。
「あれにか?」
暫く黙り込んでいた新ちゃんが口を開く。
その疑問ごもっとも。
高校生になってコーヒーカップ。しかも一人で・・・私がぽつんと寂しくコーヒーカップにぐるぐる振り回されている様子が目に浮かぶ。
「じゃあねー」
コーヒーカップでも何でもいいや!こうなったらヤケだ。何でも乗ってやろうではないか!
新ちゃんから離れるために無理にコーヒーカップのところまで走って行く。
私が選んだのは黄緑のコーヒーカップ。
せめてバイキングとかにすれば良かった。
思わずコーヒーカップのハンドルにもたれる。はたからみれば私はおかしな変人かもしれない。
そうしているうちにコーヒーカップが回り出す。
顔をあげる。さすがに下を向いていては酔うだろう。
「動く前からへばってどうする」
へい?はい?なぜ?
目の前には腕を組んでいる新ちゃんがいた。
でたー!でたー!幽霊でたー!
パニックに陥った私は立ち上がる。
勿論動いているコーヒーカップは私を容赦なく振り回したため慌てて席に戻る。
「俺は幽霊ではない」
うわっ声に出てた?もしかして。
「もしかしなくてもだ。何でおいてくんだよ」
ぎゃーまた声に出てるー!
「だ・だってさ・・・新ちゃんとかがコーヒーカップに乗るのはちょっと…似合わないというか・・・・・」
新ちゃんとコーヒーカップ、これほど合わないものは・・・ない。
「誰だって和紗ほどコーヒーカップに似合う奴はいない。それに・・だ。男が一人で遊園地。これほど似合わないものがあるか」
うーん。失礼な発言だが確かにむなしい。
「まあ似合わなくても許されるじゃない?別に一人じゃ遊んじゃいけないって訳じゃないし。それに新ちゃんなら一緒に遊んでくれる人すぐに見つけられるでしょ?」
新ちゃんがハンドルに手をかける。ん?何するの?
「きゃー!!」
新ちゃんは渾身の力をこめてハンドルを回す。必要以上に。
もしかしてさっきの言葉逆鱗に触れた?!何か怒るようなこと内容だった?!
新ちゃんが回しているハンドルを止めようとするがあまりのスピードにぐたぐたになり止めれない。
許してーーー!
よく分からないけど許してーーー!
だんだんスピードが弱まっていく。
もう終るのか。あぁ助かった。
うー目は回ってないけど足がふらふらする。
人にぶつからないように起用に歩いていく。
「和紗」
新ちゃんが人の迷惑にならないように私の腕を取りアトラクションの出口を潜る。
新ちゃんに触れられるのはその変に意識してしまうから遠慮したいところだけど何しろこの状態だ。腕をひいてもらうだけどもありがたい。
「調子に乗りすぎた。ごめん」
大丈夫か?と新ちゃんは訊ねてくる。
「よっしゃー!ふっかあーつ!!」
新ちゃんの手をやんわりと離しわざと明るい声をあげて元気さをアピールする。あんまり彼に心配をかけるのもよくない。
もともと誰かに頼る程か弱くないしね。
「別に無理しなくてもいい」
新ちゃんは私の頭をぽんぽんと叩く。
その扱い方はまるで子供を相手にするようだ。
昔から新ちゃんは兄ちゃんみたいに優しいんだ。私を妹・・いや弟?みたいに扱う。
昔から恋愛対象ではなく新ちゃんのことは兄として大好きだった。
いきなり告白されたけど思い当たる節は特に無かったし何回も言うけど、とにかく驚いた。
「ん?どした」
無意識に新ちゃんの顔をじっと見つめていたらしい。無意識ほど怖いものは無いない・・・
「何でもないの・・・」
「そ・・・
『そうか』と言いかけた新ちゃんの言葉が止まる。その視線は私の背後に向けられていた。
私が後ろを振り向くと私の後ろを歩いていた二人組みの恋人が止まる。私の知らない人。だけど新ちゃんは目を細めその人たちの顔を凝視している。
「隼成か?」
どうやら知り合いらしい。隼成と呼ばれた青年は新ちゃんに負けず綺麗だった。ただ新ちゃんと違うのはその空気だった。
「・・・新希か」
その人の空気は重かった。その纏っている空気がダークだというか・・暗い。
「久しぶりだな。まさかこんなところで会うとな」
新ちゃんは苦笑する。
さっき新ちゃんにはコーヒーカップが似合わないと言ったがこの人にはまずこの遊園地自体が似合わない。似合うとしたら…夜の街…
「そうだな」
答え方もそっけない。顔も無表情。鉄の仮面。
だけど決してこちらを邪険にしているとか嫌っているわけではなさそうだ。
たぶんもともとそんな顔なんじゃないかな。
「そちらの方は?」
新ちゃんは隼成さんの隣に居る人に目を向ける。私もつられて見る。
「・・・・綺麗・・・・」
思わす声が出てしまった。
とても美しい女の人だった。私にはない長く落ち着いた茶色の髪。
派手ではないが大人っぽい服。
ブラウンのタックフレアスカートにホワイト系のカシュクールオーバーに鎖骨が綺麗に見えるキャミソール。とてもよく似合っていた。
隼成さんにこの女の人。そして新ちゃん。
何時もと違って女らしくしていてもこの3人と同じ場にいるのがはばかれる。そう場違い。
「えっあ・・ぁありがとう。俐委です。」
戸惑っているように顔を赤くした。綺麗だけではなくとても可愛い。
私が男だったらこんな人と付き合いたいなぁ。
「和紗」
俐委さんに見惚れていたら新ちゃんが私の頭に軽く拳骨をかます。
「いたーい!!」
何するのよ!
新ちゃんを睨む。
「新希。嫌われるぞ」
隼成さんが口を挿む。相変わらずトーンが低いなぁ
新ちゃんが隼成さんの首根っこを掴みずるずると木陰に移動し何やら話し出す。
俐委さんと2人置いてきぼり。
ん?もしかしてもしかしてこれはチャンス?
何がって?勿論、新ちゃんとの気まずさを断ち切るための。
「俐委さん。さよならです。彼に後で電話するからと伝えといてもらえますか?」
ふふふ新ちゃんから逃げるには今がチャンスだ。
私は俐委さんの返事を聞かずに走り出す。
全力疾走。
とりあえず後で新ちゃんに追いつかれないように距離をかせごう。パンフの地図も確認せずにくねくね曲がったり坂を上ったり下がったり。
夏に走ると大変だ。汗はたらたら流れるからお化粧は流れるだろうし。
時折吹く生ぬるい風でも追い風ならありがたい。
でも限界は来る。運動が大の苦手な和紗は限界点に来るのが他の人より早い。
はぁはぁはぁ きつい・・・
喉渇いた…ちょっと休もう。
私は歩いて2分のところにあったカフェテリアに入る。
「オレンジジュース1つ・・・」
席に着くなり店員さんにそれだけ言って私はテーブルに突っ伏す。
「追いついたぁ〜」
ん?この声は?
この声の持ち主の息も上がり席に着くなり私と同様へなへなとテーブルに身を任す。
「俐委さん!!」
うそーー何でここに?!
「えっと和紗さん?ついてきっちゃた」
ついてきちゃった☆ じゃないー!!
「あの、どうしたんですか?」
「和紗さんこそどうして急に走り出すんですか」
いや〜それは諸事情があって…ってその前に。
「えっとその前に――――『さん』はいいです」
年上の人に『さん』を付けて呼ばれるのは落ち着かないです。
「じゃぁ私も『さん』付けないでね?」
それはちょっと・・・
「うー年上の人にそれは無理です」
「年上??いくつ?」
「17です。高3」
「私18だけど同じ高3だよ?」
ええーーー本当ですかーーー?
この人がーーーー?
「もしかして隼成さんも高3?」
「もしかしなくても」
本当ですかーーーーー?!
どうみても2、3上ですよね?だんだん自分が惨めに思えてきた。同い年という言葉が頭の中をぐるぐるまわる。
「わ・分かりました。俐委『ちゃん』にします。」
「それがいいかも和紗ちゃん」
呼び方については話がまとまった。
いったい私たちは何を話しているのでしょうか・・・
「あのー隼成さん、恋人さんは大丈夫なんですか・・・?」
まず何故私に付いてたのかが分からない。
「恋人か・・・なんかその言葉しっくりこないな・・・恋人って言うのかな?」
私に聞かないで下さい!
でも恋人じゃなかったら何故2人でデートしてるんですか?
「否確かに恋人なのか・・・?んーでも違う気が・・」
「恋人じゃなかったら何故ココに?」
素朴な疑問を持ち出す。
「急に『明日8時。家まで迎えに来る。』ってメールが来てね。なんのことか分からないまま今日がきて、そしたら本当に8時ぴったりに家に来てね。何も用意してなかったかた焦った焦った。それで現在に至ります。」
確かにそれは恋人か?と疑いたくなるようなものだ。
でもあの人メールまでそっけないのか・・・
「私も聞いてもいい?何で彼氏のことほかって急に走り出したの?」
「か・彼氏じゃないんです!」
「彼氏じゃなかったら何故ココに?」
私と同じ質問返さないで下さいーー!
「えっと私たちの親に連れてこられて、それで2人置いてきぼりにされたんです…」
「それはよく分からないけど大変だったね」
「うーそうなんです…それでちょっと気まずくて逃げちゃいました」
「分かる!!それ!!私なんか2人で遊びに?来たのにずっとあの調子。必要なこと以外は話さないし・・・新希さん(?)に会って喋った2,3言が今日の最高記録よ。それで耐えかねて和紗ちゃんのこと追いかけちゃった。逃げるために。」
うわー確かに逃げたくなります。私たち同じ理由で逃げてきたんですね。気持ちが通い合ってます?
「お待たせしました」店員さんがオレンジジュースを運んでくる。
「グレープフルーツジュースください」俐委ちゃんが頼む。
「かしこまりました」
オレンジジュースをストローで口に運ぶと口内に甘酸っぱい味が広がる。
「おいしいです」
果汁100%だな。この味は。
あんまり一気に飲むとすぐに無くなるからちまちまゆっくり飲む。
「かわいいね」
「ほい?」
何が可愛いの?
「あなたが。」
「私が?」俐委ちゃんの言葉を理解しようと頭をフル回転させる。
彼女は頬杖をついてこちらを見る。
「わ・私が、か・か・わいい?」
「変な意味じゃないのよ?きっと新希さんはあなたのことが可愛くて仕方ないんだよ。私にやきもち焼いてた」
やきもち?いつ?どこで?誰が誰に?
「さっきさ和紗ちゃん私のことずっと見てたじゃない?それで彼はこっちに注意向けて欲しくてあんなことしたのよ」
あんなことってもしかして私を叩いたこと?
それだけじゃやきもちか断定できない。
「あれは絶対そう。ふふ本当に和紗ちゃんは可愛いね」
俐委さんは私の頭をなでなでする。新ちゃんにも俐さんにも子供扱いされる私っていったい。
「可愛くないです。女の子っぽくないし。髪だってこんなに短い。こんな格好似合わないんです。俐委さんの方が可愛い」
俐委さんは驚いたように目を見開く。
「それ本気で言ってる?鏡をよく見たほうがいい。可愛い女の子だよ。」
私が女の子?男とは見間違われるし…町で女の子に逆ナンされたこともある。
「言われたことないの?可愛いって」
新ちゃんはあの告白の夜可愛いって言ってくれた。
兄弟だって思ってたのに新ちゃんはそんなこと思わないって言ってくれた。
胸が温かくなる。
凄くうれしい。人に『可愛い』と言われることってこんなにもいいものなんだ。
でもちょっと違うのかもしれない。俐委さんに『可愛い』って言われたのは凄くびっくりしたけどうれしい。けれど新ちゃんに言われたときは違った。
胸がずんと重たくて心が掴まれたように苦しくて。新ちゃんに見つめられるともっと心が強く掴まれて痺れて。
でも痺れた心は新ちゃんの言葉を受け止めて鼓動が舞い上がっていく。
『可愛い』って言われても心が焦るのは新ちゃんだけだったかも。
よく分からない。
分からない気持ちに心がもやもやする。
苦しい。心が。走った後にくる息切れみたいな苦しさじゃない。呼吸が落ちついてても来てしまう苦しさ。
「苦しいです・・・・・」
「ど・どしたの?!心臓それとも呼吸?!」
俐委ちゃんはびっくりして私の顔色を窺う。
私は心臓も正常だし、呼吸も安定しています。
「違うんですよく分からないけど心が思うようにいかないんです。辛いんです。」
「そう・・・心ね・・・大丈夫。一生その苦しさが続くわけじゃないから。だいたい人間はそんなものよ。一生・一年・一ヶ月・一週間・一日・一時、その中で人は一喜一憂。喜怒哀楽。その他もろもろころころ変わっていく。それに嬉しさより悲しさ。楽なときより苦しいときが多いと思うんだ。
苦しいときは泣けばいいし、楽しいときが笑えばいい。生憎今は泣きつける相手はいないから、うんーーーそうだな。ぱぁーと遊んで疲れよう。それで後で泣くべし!」
俐委ちゃんはきっと甘いより辛酸を舐めてきた。そんな風に思えてしまう。
きっと彼女の持つ大人びた雰囲気はそこからきているのか。
『ブゥ―――ブゥ―――』
「携帯鳴ってるよ?」
「あ・はい」
いけない昨日の授業からずっとマナーモードだ。
俐委ちゃんの方から有名なクラシックの曲が流れ出す。えっと題名は・・・忘れちゃった・・・
「私もだ」
俐委ちゃんと同時に携帯を確認する。
うげっ!新ちゃんだ・・・
うーー無視しよう・・・
「出なくていいの?」
俐委ちゃんは何時までたっても携帯に出ない私を奇妙に思ったのだろう。
でも彼女も携帯に出ない。
「俐委ちゃんこそ」
俐委ちゃんは自分のシルバーの携帯を私に見せる。
[小野 隼成]
私もシャンパンゴールドの携帯を俐委ちゃんに見せる。
[新ちゃん]
「やっぱり出たくないよね」
「うん」賛同。
私たちは携帯をテーブルの上に置く。放置。
「うーんでも逃げ出したのバレたね」
そうです。問題はそれです。これからどうしよう。
「いっそのこと何もかも忘れて二人で遊ぶ?」
そうだ。せっかく来たんだもん。遊ばなきゃもったいない。
「遊ぼう!新ちゃんのこと忘れて!」
「よっしゃ!とその前にアドレスと番号教えて?」
俐委さんは『迷子になったときのためにね』と言い私たちは赤外線で通信しあう。
「ねえ暇?君達?」
こちらに話しかけているような言葉が煩い。もう少し向こうで喋ってください。
「登録完了です。」
「私も終わり。」
「おーいその二人〜」
再びこちらに話しかけているような間延びした声がする。
「何から乗る?さっきコーヒーカップ乗ったんです。」
「まだ何も遊んでない。ずーと無言でさ」
「おーい髪が長い子と短い子」
気付いたら私達二人の前に知らない男三人が。
さっきからの呼びかけは私達にだったのか。
三人とも私達よりか一、二才年下に見えるがその口調からは遊び慣れたのがうかがえる。
「何ですか?」
「君たち二人だけ?暇なら一緒に遊ばない?」
見ず知らずの3人と私と俐委ちゃん。何故こんなメンバーで遊ばなきゃならないのか。
「ごめんね。2人で遊ぶの。じゃあね」
俐委ちゃんは3人を完全に年下扱いしこの場を私と立ち去ろうとする。
「2人より5人の方が楽しいよ?一緒に行こ?」
3人は私たちの前に立ちふさがり私の腕をとろうとする。
嫌!触らないでよ!
『ばちんっ』
俐委ちゃんが私に触れようとした男の手をおもいっきり払う。もの凄い音を立てて。
「痛いな〜別に何もするわけじゃないんだから」
今度は俐委さんに詰め寄る。男の口調は軽いのに裏には黒さがにじみ出て・・・怖い。
「俐委」地の底に落ちた黒い声。ちゃらい男の声とは比べ物にならない暗さ。
私はこんな暗いオーラを纏っている人物は一人しか知らない。
男と俐委さんの前に立った隼成さん。私の隣には新ちゃん。
やはり隼成さんか。って見つかってしまった!
「誰」隼成さんは目の前の男に対してぴくりとも表情を動かさず問う。
「えーっとさっきみんなで遊ぼうって約束してさ・・・ほらっ大勢で遊んだほうが楽しいからさ」
しどろもどろに答える。そうだよこんな人に詰め寄られたら誰だって焦る。
「なら俺たちも入れろ」
「おお・おう。」
脅しの口調だ。隼成さんは怒っているのかな・・・?全く表情から読み取れない。
「和紗おいで」
新ちゃんは私に手を差し出す。
「うん」
私は素直に彼の手を握る。
手を引かれて私のペースで歩き出す。
あったかくて大きい手。何時の間にこんなに大きくなったのだろう。
人の成長は早いもので・・・・・
・・・? ・・・! 何、素直に手繋いでるんですか!しみじみとしている場合じゃないー!!
さっきまで気まずくて腕で支えられることさえ遠慮してたのに!私は馬鹿か。
今から手を離す?否。意識していると思われるので嫌。変なプライド。
ふと俐委ちゃんの方を見てみると隼成さんと一緒に歩いていた。
俐委ちゃんの右手は遠慮がちに隼成さんの上着を握っていた。
俐委ちゃんは隼成さんのことをいろいろ言ってたけど結局のところ頼れる存在なんだ。
私だってそうだもん。気まずくたって頼れる新ちゃん。
後ろを振り向けばもうあの男たちはいなかった。
「じゃあな」 新ちゃんが隼成さんに別れを告げる。
うそ。何でこんなに早く分かれるの?俐委ちゃんとまだ話したいことあるのに・・・・
「あぁ」
よく考えれば私たちは今日出会ったばかり。
どこの学校に通っているとか、
いろんなことをまだ知らない。俐委ちゃんと今度何時会えるのか。もう会えないのか?
私は嫌だ。
「あ・あの!俐委ちゃん!メールします!」
「うん。待ってる。というか私からもするから」
あっさりと返ってきた答え。
「私これで終わりにしたくない」
その言葉とともに咲く俐委ちゃんの笑顔。
私たち離れてても繋がってるよね?
初めて出会った人。一時間も話さなかった。
でも直感でこの人とならうまくやっていけれると思ったんだ。
ばいばい。俐委ちゃん。
メールするからね。
今話は長かったです。お疲れ様です。8000文字(スペース入れて)という数字を見たときびっくりしました。普段は3000文字くらいなので…
次話は最終回。明日更新します。