プロローグ1 大荒れの海、天地を貫く大渦
初めての投稿です。いいか悪いのかも分かりません。
何でも気軽にお教えください^^
1 戦闘開始直前
「すごい!」
ルイは震えた。
目の前には荒れ狂う大海原が広がっていたのだ。
しかもその中心にはとんでもなく巨大な渦巻きが轟然と回転していた。都市がまるごと入りそうなほどの大きく深い穴。
さっきまでルイがいたのは、船の艦橋だった。広さは教室を縦に半分したくらい。先が流線形で前方が窓。外にはいつものようにブルーの天体が浮かんでいた。
ところが壁も天井も消えて、床だけ残し、視野すべてが悪魔のような荒天の海だ。
しかも世界ごと回転しているような大渦巻きまで。
音はない。でもルイの頭の中では、その規模にふさわしい大音響が鳴り響いていた。まさに世界が巨人によって絞られ捻れられているような音。
それに合わせて、山ほどの高さの大波が次々立ち上がっては砕け、砕けては、螺旋状に奥深くへ呑み込まれていく。
メールストロム宙域の巨渦。
だから完璧に無音なのだ。そう音波さえも逃れることができない。そこだけが正確だ。
「うわ」
ルイはボブカットの髪を両手で押えた。
大渦巻きから放たれる電磁波が、ルイの髪全体を逆立てる。
――ヘルメットを被る前でよかった。さすがに天を衝くはずもないけど。
大渦、いや海もホログラムのはずなのに、ここまで影響を与えてくるなんて。
自分が対峙しているものの本来の姿を思い描き、恐怖が忍び寄る。
それを感じないために、のんきに呟く。
「ほんと、なんて不思議」
それでも身体の芯からの底冷え感は消えない。
「ったくここは微妙でややこしすぎますよね」
アリサの声が耳元でする。
「まったくよね」
ルイは笑ってみせる。
アリサの声が平静なので、ルイも少し落ち着く。
気がつくと髪は収まっていた。
マザーが対処したんだ。
それにしてもなんて大きな渦だろう。
改めてルイはそう思う。
遥か先、水平線が果てるかと思われところで、ようやく反対側の縁が白く見える。
アルプスの山稜のような巨大な波が、ゆっくりと、内へ内へと崩れ落ちている。
その迫力。轟音が聞こえてきそうだが、なのに無音なのだ。
視界が左右に大きく揺れ始めた。
船が渦の最外縁に乗り上げようとしているからだ。
上下のピストン運動も始まった。
前面の景色は、急激に後ろに消え去る。
船は渦の盛り上がった部分を滑走し始めた。
サーフィンはしたことがないが、こんな感じなのかな。
アリサだってやったことはないはずだけど。
海は激しく揺れている。そう、しっちゃかめっちゃかに。
見ていると酔いそうだ。
でもルイの立っている床。明るい灰色の金属の床はびくともしない。
「あんまり見ちゃダメですよ」
アリサの声にルイは気づく。
いつの間にか大渦に魅入られそうになっていたのだ。
人間はあまり巨大なものの前にいると、知らずに、見入り、魅入られてしまう。
ルイはもぎ取るように視線を外し、斜め後ろにいるアリサを見た。
彼女は空に浮いているように見える。
実際は床から五十センチほどの高さに浮かぶ透明カプセルの中。
マッサージチェアのような座席に座っている。
表情は分からない。
白銀のヘルメット、前面を覆うグリーンのバイザーを下ろしているからだ。
椅子の両袖にはジョイスティックが2本、足元には4つのペダル。
アリサはこれらを駆使してこの哨戒艇をサーフィンさせているのだ。
カプセルの中のアリサは左右・前後に傾いたり、元に戻ったり、激しく動いている。
でも実際はアリサは不動で、動いているのはこの哨戒艇だ。
アリサのカプセルの中と外(哨戒艇)は連動している。
哨戒艇は見かけ上、動かないように設定しているので、中のアリサは激しく動いているように見える。
基本、週に5本、投稿するつもりでいます。感想をお願いします m(__)m




