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第三章 コミュ障陰キャぼっちでもライブはできますか? 第五十八節

目覚めた朝、別れの夕焼け

目が責めたら知らない天井が写った

まるで絵画のような模様の天井…

まだあのおおかしな夢の途中かと疑いそうになったけどようやく思い出す

そうだったここはメイリンちゃんの家で私は彼女に半ば無理やり連れ込まれて

一晩を共にしたんだった…


頭が痛いなんな胃も痛い

本当に痛いかどうかではなく比喩表現だけど…

それすら本当になりそうなぐらいヤバい状況だった

クラスに突然転校してきた美少女に会ったその日に求婚されてしかもその子とは幼いころに知り合ってて色々すれ違いがあった果てにお家にお呼ばれして一緒にお風呂に入ってごはんを食べてそのまま同じベットで寝るなんて…


「どこのラノベ!?」


抑えきれずに声が出た

ほんとどこでどうしたこうなるんだろう

私はただコミュ障陰キャぼっちならコミュ障陰キャぼっちらしく当たり障りなく生きていこうとしていたのに…

今さらまともに生きていくなんてムリだからせめて人間のカタチを保とうとしただけなに

それでちょっと音楽に興味を持ってイキってギターとかバンドとか始めただけなのに

いやそれが悪かったのかな…?

「ん、んー ……ん?」

「あ、えと… おあはようございます?」

「……你为什么在这里!?」

赤面したメイリンちゃんの叫びが響き渡った


最初は困惑していたメイリンちゃんもすぐに落ち着いてくれた

「先ほどは取り乱してシマイ申し訳ありませんデシタ…」

「ううん そんな… 寝起きだし仕方ないよ」

メイリンちゃんがベットの上に額を合わせながら謝罪する

私はそれを制止しながらなんとかフォローした

「えっと それじゃあ私はこれで…」

早々に着替えを済ませてホテルを出ようとした私の腕をメイリンちゃんが掴んだ

「どこに行くんですか?」

「あ、えと そろそろお邪魔しようかと…」

「これからデートじゃないんですか?」

「なぜ!?」

唐突なデートのお誘いに今度は私が困惑した

そんな私をよそにメイリンちゃんはキョトンとした顔で言った


「でもさっき蓬が言いませんでしたか? お出かけしようって」

「言ってないよ!?」

「…たしかにさっきの蓬はもっと小さかった気がしますネ」

どうやら夢で見た出来事と現実を混同してるみたいだった


メイリンちゃんは頭を抱えたり唸ったりしている

しばらくしたら何度か軽くうなずいて私に向き直った

「すみません どうやら記憶が混乱シテたみたいです…」

「あ、うん…」

「これ以上蓬に迷惑をかけるわけにはいかナイですし 今日はこれで…」

申し訳なさそうに俯いたメイリンちゃん

そんな姿を見せられてこのまま帰れるほど私は非情になれなかった

「今日、帰っても予定ないから… 少しぐらいなら…」

「ほんと… ですか?」


メイリンちゃんと出会って二日目

私はn度目となる彼女のお願い(ワガママ)に付き合うことになった


 それから私たちはホテルの周りを散策した

昨日の展開的にいきなり無人島に連れていかれるぐらいのことは覚悟していたからほっとした

この辺りは大倉くんとの一件で何度か訪れていたから引っ越してきたばかりのメイリンちゃんを私が案内することになった

二人で街中を散策して… どこか懐かしいようなそんな感じがして

楽しい時間はあっという間に過ぎた


「今日はありがとうございました メイリンのわがままに付き合ってくれて」

「こっちこそありがとう 私も楽しかった」

私とメイリンちゃんは駅までの道を並んで歩いた

「あの… マタ学校でも仲良くしてくれますか?」

「それは…もちろん」

メイリンちゃんが嫌わない限り私が彼女と仲良くしない理由なんてなかった

私にとってはこれからもずっと変わらない当然のことだ

「……じゃあ」

何かを言いかけたメイリンちゃんはその先を話さなかった

代わりに

「…じゃあ また 学校で」

「うん またね」

そうして私は今度こそ帰路についた


これから起こる騒動にこの時はまだ気が付かないままに


58.5 【決意の夜 もうどうなっても構わない】



日曜日、普段なら慌ただしく準備をして友達と出かける準備をしてる時間だ

でもその日はベットから出ることができなかった


寝不足だったわけじゃない

体調が悪かったからでもない

ただ眠っていたかった


このまま目が覚めなくても構わない

もういっそ眠ったままでいたいとすら思う


ピアノを音楽を続ける理由を失って

それどころか自分が奏でたおとのせいで大切なヒトを傷つけていて


唯一、手放したくないと思ったものすら手に入らなかった


メイリンと話す□の顔があたまから離れない


「結局、アタシってなにがしたいんだろ…」


自分の人生の意味を見失ったように感じて

何のために生きてきたのか何のためにこれから生きていくのか分からなくなって

もう何もかもどうでもよくなって


そう思っていたのに


『諦めたままでいいのか? お前の心は魂はそれに納得しているのか?」


どうしてかは分からないけどその言葉が脳裏を過った


中学の頃に観ていたアニメの推しのセリフ…

そんなものに心を動かされるなんて周りからみればバカげた話だろう

けれど今の真凛にとってそれは暗闇の中の燈火のような存在だった


「アタシにとって蓬は…」


自分にとって蚊帳ノ蓬の存在価値を問う


その答えは…


あの日から決まっていたのだ

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