17話『冒険者は頭が悪いらしい』
今回は……戦闘?みたいな感じで終わります。
ちょっと、イチャイチャさせたくて……
「おい、俺達は商人じゃなから大した物は積んでないぞ?だから通してくれ。」
盗賊の見た目で、10人程の男達に囲まれていようと、穏便に済ませたい俺。優しいから……ではなく、戦いになっても問題ない!という余裕からだ。それが無かったら、普通に一斉攻撃していた。
しかし、男達には、分かってもらえない。
「お?忘れちまったのか?俺達は、盗賊なんかじゃないぜ。てめぇの持ってる金をもらいに来たのさ!」
「……冒険者ギルドの、人?」
ふむ……魔物は倒せないが、俺に勝つのは行けると、そう思ったのか?……馬鹿だろ。
「魔石を取ってきたのが誰だと思ってるんだ?魔物の方に勝てないのに、俺達に勝てると思う理由が知りたいわ。」
俺がそう言ってやると、冒険者達は、馬鹿にしたように笑う。
「そんな事言ってるが、どうせ、自分で倒した訳じゃねぇんだろ?名を売るために、人でも雇って倒させた、だよな?」
「だよな?」じゃねーから。思いっきり間違ってるから。というか、どうしてそうなったし。
横を見ると、フィエナとシエラが、顔を背けて笑いを堪えている。
「はあ……残念だが、不正解だ。そんな事実は存在しないし、俺が普通に倒したよ。だからさ、死にたくなければ、通してくれ。」
最後の通告をしても、自殺志願者達はニヤニヤと笑って、ふざけた事を宣う。
「本当は、弱虫の雑魚の癖によぉ、強がらずに逃げた方がいいんじゃねえか?……だが、その女2人は置いてけよ。後で楽しませてもらうからなぁ!」
「嫌がる女共に、無理矢理するのがいいんだよな!」
その発言のせいで、自殺志願者達は、死ぬ事が決定してしまった。
『「「「はぁ?」」」』
俺がキレるのは当然として、他の3人も完全にキレている。だから、言ったのに。
「……今……ナギサを馬鹿に、したの?」
「あは、そう聞こえたね。君達が渚沙君の何を知っているのかな?」
『主様の慈悲を無駄にするとは、許されない事です!』
俺が言えたことでは無いが、沸点低過ぎないかい、君達?
というか、どうしてこんなに慕われてるのか、凄い気になる。正義感が強い訳でもなければ、優しさ溢れるような人間でもない。
……今、考えることじゃなかったわ。
お陰で、少し落ち着くことは出来たが、それでも殺すのは決定だ。
「俺の仲間たちに手を出そうとしたのは、不味かったな?次の人生は、利口に生きろよ。」
「もやしのてめぇと、女共、狼だけだろ?そんな奴らに負けるわけが――」
――ブシャァ!
「……おしゃべりよりも、攻撃するべき。」
フィエナさん、容赦ない。
煽ってくるのを最後まで聞かず、ダッシュで心臓を狙いに行った。それに反応する事も出来ず、即死した冒険者。
「ば、化け物かよ!?俺は逃げるぞ!」
今更ながら、敵に回してはいけないと判断したやつが1人。だが、それは遅すぎた。
「残念だけど、逃がさないよ?」
シエラは魔法を使ったが、それは、攻撃のためにでは無い。
「うわぁ!?」
逃げようとしたやつは、転んでしまう。シエラは、土魔法により、足元を泥にしたのだ。
それに気づかなかった男は、当然足を取られる。
『トドメです!』
ガブッと噛み付いたエニファ……本当は、肉とか骨を喰いちぎった音がしたのだが、擬音にするのは躊躇われる。
ともかく、エニファが噛み付いたのは首だったので、やはり即死だ。
ちなみに、その間にもフィエナが倒しまくっていたので、残りは1人だ。正直、強くて可愛いとか最強だと思う。
今回何もしていない俺は、最後は戦おうと思って、目の前に出ていく。
「た、頼む、助けてくれ!俺が悪かったぁ!」
うーん、ここまで言われると、殺すのはちょっとな。俺は鬼にはなれないし。
保険として、とある魔法をイメージする。
『スキル【契約魔法】を取得しました。』
「じゃあ、二度と俺に危害を加えない、関わらないと、誓えるか?」
「え?あ、ああ、誓う。危害を加えないし、関わりもしない!」
俺の言葉が意外だったのか、返事が遅れた男ではかあったが、契約が成立した。
「じゃ、俺達は行くぞ。」
そう言って、仲間たちに目を向けた途端、馬鹿はやらかした。
「甘いんだよ、死――」
俺に剣を振りかざした直後、ビクンッと震えると、そのまま倒れてしまった。シエラ以外の2人は、何事かと警戒している。
「……ナギサ、今のは……?」
スキル取得のあれで、分かった人も多いと思う。そう、契約していたのだ。
俺は、契約違反の代償に、命を賭けるようにしていた。当然、俺も同じ条件になってはいたが、関わるつもりもなかったので、問題ない。
まあ、どちらにしろ、既に死んでしまった相手の事だ、気にしなくていいだろう。
というのを説明すると、2人がちょっと怒ってる気がする。
「そんな危ない事しないで欲しいな。もう少し、命を大切にしないとダメだよ?」
「そう、だな。……悪い、ちょっと軽く考えてた。今度はやらないようにする。」
非常時以外は、だけどな。
「……ナギサが死んじゃったら、生きてる意味、無い。もしそうなったら、私も追いかける、から。」
フィエナの愛が、物凄く嬉しい。凄く重いからこそ、それだけ愛されてるのが分かる。
「フィエナ……ごめんな、絶対死んだりしないから、大丈夫だ。」
ギュッと抱き締め、俺の腕の中からキスしてくるフィエナ。あっという間に、糖分高めの空間が出来上がってしまった。
「うう、ズルいなあ。」
そう言われても、いきなり2人の恋人とかは、心の整理がついてからでないとな。ヘタレと言われても仕方ないが、日本人なんてこんなもんだろ。
『羨ましいです……』
え?今なんて?
いや、難聴になった訳では無い。だが、エニファの言葉に驚いてしまったのだ。抱き締められているフィエナを羨むという、まさかの事態。
……シエラみたいな事には、ならないはずだ。なんせ、狼だからな!(フラグ)
「あー、それじゃあ、馬車に戻ろうか。」
視線に耐えられなくなった俺は、フィエナを離して、ササッと冒険者達を収納し、馬車に戻った。
「……街についたら、続きしよ……?」
可愛いし、魅力的な提案ではある。
だが……
「ちょっと待て、何故今言う。」
もはや、視線が痛いくらいだ。「私は?」みたいな感じで、視線が固定されてる。幸い、エニファは馬車を引く為に前に居るが、シエラからの無言の要求が凄い。
「えっと、あのだな……感謝もしてるし、良い奴なのも分かってるから、もう少し待っててくれないか?」
シエラには、少なからず好意を抱いている。それが恋愛感情なのかと言われると、少し微妙な所ではあるが。でも、旅に同行するのを「なんで来るんだ」って問い詰めたり、問答無用で突っぱねたりしないのは、信用しているからだろう。
「ごめんね。やっと会えたから、つい抑えられなくて……」
「気にしなくていい。別に、嫌だと言ってるんじゃないしな。」
少なくとも、17年は気にしていた訳だし、そこは仕方ないだろう。それに、健気な美少女に好かれているというのだから、嫌な訳はない。
「……神様を普通の女の子扱いするの、ナギサだけだと思う。」
「まあ、俺の世界では、神様なんて存在しないと思ってる人が多いから、本物を見ても実感が湧かないんだ。」
神社にお参りは行ったが、行事としてって感じだし、八百万の神は、物を大切にしろみたいに捉えてた。
そんな俺が、美少女な女神を見てどう思う?普通に可愛い、だろ。今は犬耳美少女だけどな。
「私としては、畏まったりされても困るけどね。女の子として見てくれるのは、嬉しいんだよ?」
上目遣いがあざとい。だが、それがいい。しかも、ちょっと照れてるところがグッとくる。これもわざとだったとしたら、負けでいい。
いい加減、甘々な空気を変えたかったので、気になっていた話題に変えてみる。
「そういえば、フィエナ、初めての対人戦だったと思うんだが、平気だったか?」
俺の時は、耐性スキルで平気だったが、フィエナは王女だったのもあって、少しは辛いのかと思ったのだ。
しかし、フィエナは結構強い。ステータス的な意味ではなく、素の精神力の話だ。ダンジョンに放り込まれた時も、強めのゴブリンに囲まれた状態で、俺を守ってくれていたし。
「……ナギサと居る為なら、あれくらい、よゆう。」
「せっかく話を変えたのに、惚気けるのはなんで?渚沙君もニヤニヤしない!もー……私も混ぜてー!」
そう言って抱きついてきたシエラは、モフって欲しいと要求してくる。すると、フィエナも頭を近づけてきて、モフモフタイムがはじまった。
「あっ……んぅ……耳としっぽって……こんなに、気持ちいいの……?わぅ……」
「……フー、にゃギサが……触りゅの、上手なだけ……ふにゃぁ……」
フィエナの呂律が、既に回っていない。シエラは、声を我慢してるのに出ちゃう、みたいな……
結局、夕方に野営の準備で止まるまで、モフり続けていたのだった。
☆
「よーし、早速準備……といっても、魔法でやるから、あんまり大変じゃないんだよな。」
空間魔法によって囲い、魔物避けを付与してみる。すると、気配察知で見つけていた、200m先の魔物が逃げていく。
効果は抜群のようなので、夜も安心して眠ることが出来るだろう。
「よーし、料理は私がしようかな!」
「え?料理、出来るのか?」
まさか、女神に料理の心得が――
「ううん、やった事ないから分からないよ?でも、やれば出来るかなって。」
あ、やらせたら変な物出てきそう。
「今回は俺がやるから、また今度一緒にやろうな?街についてからとかさ。」
「ホントに!?やった!」
料理の約束1つでここまで喜ばれると、こっちが照れるな。
その後は、普通の肉野菜炒めを作って食べたのだが、料理スキルの偉大さを改めて感じた。
そして、寝る準備をするのに無限収納から、布団を取り出し、馬車の中に敷いて来た。もちろん俺は、外で寝袋だ。
シエラとフィエナには、一緒に寝ればいいのに、みたいな事を言われたが、さすがにやめておいた。
そこそこ疲れていたので、そのまま寝ようかと思っていた時、エニファから念話が届いた。
『主様、あの……お願いがあるんですけど……』
2人が寝るのを邪魔しないように、俺も念話で返事をする。
『どうした、何かあったのか?』
エニファは、少しだけ躊躇いながら、
『その……私も触って欲しいんです……ダメ、ですか?』
そんな事をお願いして来た。
どうやら、まだ眠る事は出来ないらしい。
次回は、エニファと仲良くなろうかなって。
いやあ、この子だけステータス低いのは何ででしょうねー?




