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米国騒乱 ~CNC Breaking News~

18時00分 ジョージア州アトランタ CNC ニューススタジオ


奇麗にクリーニングされたスーツに身を包んだ男性がイヤホンを耳に付ける。すると聞こえるのはカウントダウンだ。きっかり1秒ごとに秒数を伝える。

5、4、3…最後の2秒は声に出されない。この時点で”映像”は流れ始めているのだ。かっこよさげな幾何学模様のCGがうねり動き、一つの文字を最後に出す。

”CNC News Report”…と。


次に、床に置かれたモニターには、スーツに身を包んだ男性を俯瞰で見た様子が映し出される。そして画面は切り替わり、男性のアップになった。その時に、彼が見つめるカメラに赤いランプが付く。それが、カメラにより撮影されていることを示す。

それを確認した男性は真面目な表情になり、カメラの向こう側にいる数千万の人々に語り掛け始めた。


「こんばんは、ビル・メイです。では引き続き、南部で発生している異常事態に関する詳細をお伝えします。アニー?」


カメラが切り替わる。アニーと言う、500ドルのブラウスに身を包んだ女性だ。彼女が立つのは合成用スタジオで、実際には何もない。だが、映像にはCGで米国の地図が映し出されていた。その地図はテキサス州中心の図に移り変わる。それと同時に女性も話し始めた。


「昼過ぎの事態急変から、南部一帯は大混乱となりました。相手の仕業と思われる通信障害や電子機器の不調もあり、情報の入手は困難を極めています。」


アニーは少し歩いて場所を変える。そしてカメラに姿勢を向けた。


「ですが、時間の経過とともに、徐々にでは映像が入っています。まずはそちらをご覧いただきましょう。」


放送映像は再び切り替わる。映し出されたのは画面いっぱいの木。ただ次の瞬間には明るさが変わる。カメラマンが非常に慌てているのか、光度やフォーカスの調整に手間取っている様子だった。映像ではあらゆるところがズームされ、またぼかされ、暗くなり、明るくなる。それも10秒程度で終わり、ある光景が映し出された。

画面には10人程度の人影が映る。


「最初に、これはCNCと提携するカメラマンがニューメキシコ州ロズウェルにて撮影したものです。一部残酷な描写があるため、処理を施しています。」


アニーがナレーションを付ける。映像も徐々に安定し、映し出された人影の詳細が判別できるようになった。


「最初に映ったローブ姿の人物ですが、これは現在の騒動の主犯である帝国の人物と思われます。それに相対するのはロズウェル近辺で避難誘導に当たっていた州兵です。」


黒と紫を基調にしたローブと思われる衣服を纏った数名の人物が、迷彩服に身を包んだ兵士を取り囲んでいた。


「帝国の人物は州兵の数名を跪かせ、何か話をしています」


カメラのマイクでは兵士たちの話している内容を正確には収録できなかった。四方に反響して判別が難しい声らしき音だけが木霊する。ただひとつわかることは、状況が悪い方向へ向かっているという居心地の悪い雰囲気だけだった。

映像の音声のみの状態が十数秒続いたのち、画面にはモザイク処理が現れる。それと同時にアニーの深刻そうなナレーションが被さった。


「その後、帝国の人物が手をかざすと、州兵は火に包まれました」


モザイクでその詳細な様子は見えないが、赤みがかった橙色が囂々と揺らめき始めた。州兵が火に包まれる。普通、人が火に包まれるときは、その熱さと痛みからそれなりに”動き”があるが、映像では燃え上がった瞬間にほとんど動かず絶命している。つまり、この炎は非常に高温で、特殊な方法で生成されたことを物語る。

モザイク越しでも微動だにしない州兵だった”影”が、その異様さを強くしていた。


衝撃的な情景を映した映像は突然乱れる。カメラマンが潜んでいたと思われる建物の内装が右に左と流れた後、映像は唐突に終わった。


「カメラマンはこの後に避難を開始。奇跡的に帝国勢力に見つかることなく、アルバカーキまでたどり着きました」


放送ではスタジオを映す画になり、アニーが神妙な面持ちで映像のその後を語った。映像はさらに切り替わる。別スタジオで椅子に座るビルを映す。彼は次の映像を紹介した。


「次は視聴者からの提供映像です。サン・アンジェロ近郊にて撮影されました」


次の映像は、車中から撮影されたものだった。撮影者は助手席に乗っていると思われ、車窓を走行しながら撮っている。


「撮影者は避難の途中でこの場面に遭遇しました。道路上を奇怪な装備をした車両が走行しています」


ビルのナレーションが続く。撮影者から少し遠くに見える道路上に、こちらの世界では見慣れない造詣の車両が連なって走っていた。撮影者はその異様な光景に息をひそめている。


奇怪な車両群は、少しすると速度を落とした。そして、砲身…と思われるものを動かし上に向けた。


「車両が上空に向けて光弾らしきものを発射しました。光弾は弧を描いて空中を進みます」


ナレーションの前に映像が一瞬止まり、情景を説明すると動き出す。その説明通り、青紫色の光の弾が砲身から射出され空中を飛翔する様子が映し出されている。


「光弾は少しして破裂したように拡がります。ここで映像は終わりです」


映像は終わりスタジオのビルに再び戻る。ビルは”いつもの角度”に体勢を向け、話し始めた。


「このような報告は、避難者から複数寄せられています。この映像に関して専門家に意見を聞きました」


さらに新たな映像が流れる。今度は白髪頭で髭面の、一癖ありそうな初老の男性が話す映像だった。男性は憮然としているような様子で質問に答える。


「推測にはなりますが、これは信号弾のようなものではないかと思います。」


インタビューの映像は非常に短くすぐに終わる。そして三度スタジオに画は戻った。

スタジオではビルの横にアニーが移動して座っていた。カメラはアニーのみを右側に映し、放映を続ける。


「現にこの光弾が確認されたサンアンジェロ近辺で、新たな勢力が出現したとの報告がSNSで見られています」


アニーの横には合成で、SNSの投稿が流れる。投稿の内容は、帝国の魔の手から逃げる一般市民の報告、映像、画像で溢れていた。その中でもセンセーショナルな文章や画は、協調して映し出される。


「では、この騒乱における影響を…」


放送される映像はまた変わり、2人のキャスターが並ぶ。そしてビルが話を続ける。

CNCだけではなく、全米、いや、全世界中のメディアが米国で巻き起こる騒乱を逐次に、そして細事に関わらず追っていた。


すごい今更ですがTwitter始めました。

https://twitter.com/shinmindoshi

あと活動報告も少しずつ入れていこうと思っています(思うはタダ

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― 新着の感想 ―
[良い点] 読んでいて、本物のニュース映像を見ているような現実感の薄い不安を覚えた事がよかったと思います。 [気になる点] 現地の混乱した状況が報道されることでホワイトハウスはますます追い込まれそうで…
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