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救難信号

 真っ暗闇。星色の絵の具を水に溶かして、そのまま空に放り投げた。

 宙に架かる煌めく星屑の橋が眩しくて僕は目を瞑った。残留する冷気を物ともしない美しさは永遠と残るものじゃない。


 静寂をひとつ掴んで木霊させた。木霊は連鎖を生んで世界中に響き渡る。

 世界をぐるりと1周したら今度は人の心へ。心から心へ繋がる木霊は人とのふれあいによって。

 心によって派生した静寂の木霊はやがて人の言葉によって紡がれていく。瞬間に、静寂は破られて正体不明の、だけれどなんだか安心できる何かへと変化を遂げて。

 静寂は世界を渡って心に届いた。心に届いた静寂は言葉になって人に伝わった。今度はきっと言葉を文字にして僕が君のもとに届ける。


 綴った文字は誰のためでもなく君自身のもの。綴った文字に過去と現在と未来を込めて君に手渡す。

 果たしてその文字は手のひらで光っているだろうか。もしかしたら震えて動けないかもしれないけれど。

 君のために紡いだ文字はもしかしたら途中でねじ曲がって、誤解されてしまうかもしれない。それでも最後には紡いだ真意はきっと伝わると信じている。


 真意が伝わったら世界は覆る。たった1秒で299792458mを飛び回る光のように。

 感情のために言葉がある。伝えるために感情がある。生まれては消えて、消えては生まれる。とめどなく続くその行為にきっと疲れるだろうけれど。


 心と感情と言葉と文字と。僕らはこれだけしか無いけれど、こんなにも人を享受できる。

 紡いだ文字は君のもの。君が発した救難信号の救いや答えになりたいという、精一杯の僕の心。

 見つかるまで永遠に飛ぶ。見つけるまで永遠に探す。


 必ずたどり着けるから。必ずたどり着いてあげるから。

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