表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
10/14

第九章 六次元界 ― 見えない導き

五次元界を後にした健一は、さらに高い世界へと進んでいきます。


そこでは、これまでの世界とは違う静けさと、不思議な感覚が広がっていました。

目に見えるものだけではなく、言葉にもならない何かが、健一を導いている。


それは、偶然なのでしょうか。

それとも、魂には目に見えない導きがあるのでしょうか。


六次元界で健一を待っていたものとは――。

第九章「六次元界 ― 見えない導き」。


健一の旅は、さらに深い魂の世界へと進んでいきます。

五次元界を後にすると、健一は不思議な感覚に包まれた。

空へ向かって歩いているのに、足はしっかりと大地を踏みしめている。


目の前には、巨大な光の階段が続いていた。

一段一段が水晶のように透き通り、踏みしめるたびに澄んだ音色が響く。

まるで魂そのものが歌っているようだった。


「この階段は……。」

健一が尋ねると、妖精は微笑んだ。

「心の成長を表す道です。」

「誰かに登らされるものではありません。」


「魂が成長すると、自然と次の世界が見えてくるのです。」

健一は静かにうなずいた。

「つまり、地位や知識ではなく……。」

「はい。」

妖精は言葉を継いだ。

「どれだけ愛を実践したかが、魂を高めます。」


階段を登り終えたとき、健一は思わず立ち止まった。

目の前には、巨大な都が広がっていた。


白く輝く神殿。

青く澄んだ湖。

どこまでも続く光の庭園。


しかし、一番驚いたのは人々だった。

白い衣をまとった人々が、忙しそうに行き交っている。

誰も休んでいない。


ある者は光の巻物を読み、

ある者は地球を映した巨大な光の球を見つめ、

ある者は祈りを捧げていた。

「ここは……。」

「六次元界です。」

妖精は静かに答えた。


「地上の人々を支える守護霊や指導霊が学び、働く世界です。」


健一は一人の男性に目を留めた。

年齢は五十歳ほどに見える。

優しい眼差しを持つその男性は、光の球を見つめながら何かを書き記していた。


妖精は近づき、頭を下げる。

「お久しぶりです。」

男性は穏やかに微笑んだ。

「よく来られましたね。」


健一も慌てて頭を下げる。

「こんにちは。」

男性は健一を見つめると、どこか懐かしそうに笑った。

「あなたを知っています。」


健一は驚いた。

「私を?」

「ええ。」

「あなたが生まれる前から。」

健一は言葉を失った。


男性は光の球へ手をかざした。

すると映像が浮かび上がる。


そこには、生まれたばかりの赤ん坊が映っていた。

「……私です。」

健一は思わず声を上げた。


映像の中には若い父と母がいた。

涙を流しながら、小さな命を抱いている。

男性は優しく言う。


「あなたが地上へ生まれるとき、多くの存在が祝福しました。」

「一人の命は、それほど尊いのです。」


健一の胸が熱くなった。

「私は……そんなふうに迎えられたんですね。」


映像は次々と変わっていく。

小学校の入学式。


初めて転んで泣いた日。

仕事で失敗して落ち込んだ夜。

妻と出会った日。


健一は驚いた。

「全部……見えているんですか。」


男性はうなずいた。

「人生の大切な節目です。」

「私たちは、あなたの自由を奪うことはできません。」

「しかし、勇気を送ることはできます。」


そのとき、映像の中に若い頃の健一が映った。

仕事で大きな失敗をした夜。


公園のベンチで一人うつむいている。

「あの日……。」

健一は忘れられない出来事だった。


会社を辞めようと考えていた。

生きる意味さえ見失っていた。


すると映像の中で、一人の老人が近づいてくる。

「君、大丈夫か。」

見知らぬ老人だった。


缶コーヒーを一本差し出してくれた。

「人生は長い。」

「今日だけで決めるな。」

その一言で、健一は救われた。


映像が消える。

男性は静かに微笑む。

「覚えていますか。」

「もちろんです。」

「でも、あの人は……。」

「私たちが導いた人です。」


健一は息をのんだ。

「偶然じゃ……。」

「偶然と思う出来事の中にも、静かな導きがあることがあります。」


妖精は健一を見つめた。

「守護霊は奇跡ばかり起こす存在ではありません。」

「ほんの少しの勇気。」

「ほんの少しの希望。」

「その小さな光を届け続けています。」


健一の目には涙が浮かんでいた。

「あのとき……私は一人じゃなかった。」

「はい。」

男性は穏やかに答えた。


「あなたが気づかなくても、見守っていました。」


そのとき、都の中心にある大きな鐘が鳴り響いた。

澄み切った音色が世界中へ広がっていく。


人々が一斉に空を見上げた。

妖精も静かに頭を下げる。


「何が始まるのですか。」

健一が尋ねる。

妖精は静かに微笑んだ。

「これから、地上へ新しい命が生まれます。」


健一は驚いた。

「そのために……。」

「はい。」

「守護霊たちは、その命が使命を果たせるよう祈ります。」


遠くの空に、一つの小さな光が現れた。

それはゆっくりと地球へ向かって降りていく。

都中の人々が、その光を祝福するように静かに祈りを捧げていた。


健一も自然に胸の前で手を合わせる。

命は偶然ではない。


誰もが願われ、愛され、この世へ送り出される。

その光景は、健一の心を深く揺さぶった。

妖精は静かに空を見上げる。

「健一さん。」

「はい。」

「この六次元界のさらに上には、あなたがまだ想像もできない世界があります。」

「そこには、人類を長い年月導いてきた、高級霊たちが暮らしています。」


健一は息をのんだ。

七色の光に包まれた、さらに高い天空。

そこからは、言葉では表せないほど神聖な光が降り注いでいた。

「次は……。」

妖精はゆっくりうなずいた。


「七次元界――人類を導く光の都へ向かいましょう。」

健一は静かにその光を見つめながら、大きく息を吸った。

魂の旅は、いよいよ最も神聖な世界へと進もうとしていた。

第九章を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


六次元界での旅を通して、健一は「見えない導き」というものについて考えるようになります。

人生の中で起こる出来事には、偶然に見えても、後になって意味があったと気づくことがあります。


誰かとの出会い。

心に残る言葉。

人生の大きな転機。


それらは、私たちをどこかへ導いているのかもしれません。

健一の旅は、さらにその先へ続いていきます。

次章も、どうぞお楽しみください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ