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でも、でもそうしたら・・・。
「お母さんは?お父さんは?あんたが死んだらどれだけ悲しむと思っているのよ!私が死んで、あんたまで死んだら、一体誰が老後を見てあげるの?」
左京は私の気持ちの迷いを言ってくれた。いや、老後の心配までは気が回らなかったが・・・。
「私の分まで生きてよ。私ができなかったこと、たくさんして。それが私の望みだから。右京だけ楽しんだって、私は恨んだりしない。むしろ楽しんで、笑って・・・。そしたら、安心してあの世に逝けるからさ。」
私はずっと勘違いしていた。
生まれてから離れたことがない左京。
隣にいるのが当たり前で、この先離れることなんてないと思ってた。
嬉しい時も悲しい時も、笑って泣いて、怒って楽しんで、いつも一緒だった。
その左京がいないのに、一人で笑えるだろうか?
笑うことが罪。
楽しむこともまた、同じ。
『私が死んだのに、なぜ右京は笑っているの?』
そう言われている感じがして。
笑うことも、楽しむこともできなかった。
でも、左京は恨んじゃいなかった。
今、ようやく心から笑顔になれるような気がした。
「うん、うん。生きるよ。頑張って生きる。左京の分まで、たくさん笑うよ。」
泣きながら、笑った。
もしかしたら、左京が私を呼んだんじゃないだろうか。
いつまでも笑わない私のために。
生きることに罪悪感を感じている私のために。
生きていて良いと、伝えるために。
笑っていて欲しいと、伝えるために。
「おい、感動のところ悪いがもうすぐ電車が来るぞ。」
「えっ、本当に?」
慌てて駅のホームへと向かう。
震の言うとおり、徐々に電車が近づいてくる。
別れの時が一刻一刻と近づいてきている。
「右京、元気でね」
「うん」
涙が次から次へと溢れて止まらない。
「泣かないのっ。」
そういってる左京の瞳からもたくさんの涙が流れて止まらなかった。
「左京だって泣いてるじゃん。」
「これはっ、涙じゃなくて塩水なの!」
「じゃあ私だって。」
二人、目を合わせて笑った。
「マネすんなよー。」
「左京こそ嘘つくなよー。」
そんな風にしているうちにとうとう電車が目の前で止まった。




