音羽は怪の群れに包まれた。黒い塊となった怪は音羽を音羽を襲うが、音羽は全く動じなかった。
「『此岸と彼岸の理を乱す者よ、天の定めに則り、罰を受けよ、』」
音羽がそう唱えた瞬間、怪の一部が焼け焦げた。
「『暁光の矢』!」
更に音羽は無数の光の矢を作り出した。それに刺さった怪は一瞬にして消滅した。だが、怪は次々に現れ、空から降って来る。音羽が怪が湧く源へ向かおうとした時、足元が急に無くなる感覚があった。
音羽が持つ能力『風翼』は、空を飛ぶ事が出来る。だが、今の今まで自分にそのような力があるというのを音羽は知らなかった。怪との戦いの最中で目覚めたのだろう。音羽は宙に浮き、地上を見下ろしていた。
「俺は無冠の帝王だ。生まれ持った位がある訳でもないし、神に成る資格もない。でも、俺には俺なりのやり方で、成すべき責務がある。」
音羽は『黒刃』を握り締めた。『黒刃』の鼓動が音羽に伝わる。そして怪の源に『黒刃』を突き刺して抜いた。すると、源は消え、怪は現れなくなった。
「やった、のか?」
鎌を握っていたクォーツは腕を下ろした。その後ろに居た篤矢と星藍も安堵する。
そうして、音羽が地上に降りようとしたその時だった。空が破れ、中から青年が現れた。
「お前、面白い奴だな!」
青年は音羽に近付き、拳を振るった。音羽は避けたがその衝撃で地面に穴が空いていた。
「俺はアルフィ、細かい事は分かんねぇけどよ、俺達の楽園を造る為にここを潰せって頼まれたんだよ。それなのに、俺が呼び出したはずの怪は倒されちゃってるし、捕まえたはずの二人も解放されちゃったかー」
アルフィの腕は筋肉隆々で、傷だらけだっだ。戦闘に関しては相当手練だろう。
「俺は腕っぷしだけで生きてきたんだ。お前には負けないぜ?」
アルフィは破れた空から黒竜を呼び出した。黒竜は地上に降り、篤矢と星藍を襲う。音羽は二人の元へ向かおうとしたが、アルフィに阻まれた。
「ここは僕が止める!音羽君はアルフィの方を頼む!」
黒竜はクォーツが止めてくれるはず、そう信じた音羽はアルフィの元へ飛び立った。