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一つの願い


 律花(りつか)と一八(いちはつ)は真由(まゆ)の治療(ちりょう)を受(う)けていた。二人(ふたり)はゾフィーとの戦(たたか)いの中(なか)で想定(そうてい)よりも消耗(しょうもう)していたらしい。

「はい、これで治(なお)ったよ」

「ありがとうございます…」

一八(いちはつ)は人間(にんげん)ではない為(ため)、肉体(にくたい)が異(こと)なるはずだが、真由《まゆ》は律花(りつか)と同(おな)じように治(なお)している。

「律花(りつか)と同(おな)じくらいの頃(ころ)、倒(たお)れたビガラス君(くん)を助(たす)けたんだ。」

今(いま)は律花(りつか)の母親(ははおや)である真由(まゆ)にもかつては小学生(しょうがくせい)だった時代(じだい)がある。そこで真由(まゆ)はビガラスと出会(であ)ったそうだ。


 家族(かぞく)揃(そろ)って過(す)ごす律花(りつか)を見(み)ながら、ビガラスは自分(じぶん)の両親(りょうしん)を思(おも)い出(だ)していた。今(いま)何処(どこ)に居(い)るのだろう。この戦(たたか)いが終(お)わったら帰(かえ)れるのだろうか。何(なに)も分(わ)からない。

 だが、今(いま)すべき事(こと)は分(わ)かっている。それは、律花(りつか)と共(とも)に現世(げんせ)を守(まも)る事(こと)だ。

「この町(まち)をゾフィー達(たち)から守(まも)るんだって、決(き)めたの。」

「俺(おれ)も、それが昴様(すばるさま)から与(あた)えられた使命(しめい)っていうのもあるけど、律花(りつか)が大切(たいせつ)にしている青波台(あおなみだい)を守(まも)りたい。」

一八(いちはつ)がそう言(い)うと真由(まゆ)は立(た)ち上(あ)がった。

「じゃあ決(き)まりだね。私達(わたしたち)も一緒(いっしょ)に戦(たたか)う。」

どうやら全員(ぜんいん)答(こた)えは同(おな)じだそうだ。五人(ごにん)は家(いえ)を出(で)る。

「それじゃあ、行(い)こう」

傷(きず)が治(なお)った二人(ふたり)は、改(あらた)めてゾフィーと戦(たたか)う決意(けつい)を固(かた)めた。この世界(せかい)には律花(りつか)達(たち)と同(おな)じ願(ねが)いを持(も)つ者(もの)が居(い)る。だが、それを律花達(りつかたち)が知(し)る術(すべ)は無(な)かった。


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