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失われた世界


 この世界(せかい)に楽園(らくえん)があるのなら、何処(どこ)にあるのだろうか。楽園(らくえん)を求(もと)め旅(たび)を続(つづ)ける者達(ものたち)は何処(どこ)へ行(い)ったのだろう。この世界(せかい)に存在(そんざい)するか曖昧(あいまい)なものを何故(なぜ)人(ひと)は探(さが)し求(もと)めているのだろう。


 彼(かれ)らもまた、そのような存在(そんざい)だった。何時(いつ)何処(どこ)で産(う)まれたのは定(さだ)かではないが、気付(きづ)いた時(とき)には兄弟(きょうだい)の片割(かたわ)れとして存在(そんざい)していた。彼(かれ)らは自(みずか)らの親(おや)と名乗(なの)る者(もの)に育(そだ)てられ、何不自由(なにふじゆう)ない生活(せいかつ)を送(おく)っていた。

 彼(かれ)らの親(おや)と名乗(なの)る者(もの)はある研究(けんきゅう)をしていた。生(せい)の理(ことわり)を歪(ゆが)めかねないようなものだった。その中(なか)で検体(けんたい)と呼(よ)ばれる子供(こども)が何体(なんたい)も生(う)まれたが、生(い)き残(のこ)ったのは彼(かれ)ら三人(さんにん)だけだった。

 ある日(ひ)の話(はなし)だ。彼(かれ)らも他(ほか)の子供達(こどもたち)と同(おな)じように命(いのち)を落(お)とした。ところが、奇跡的(きせきてき)に蘇(よみがえ)った。彼(かれ)らは人間(にんげん)ではなくなっていたが、問題(もんだい)にはしなかった。

 しかし、彼(かれ)らの復活(ふっかつ)に気付(きづ)かない親(おや)は更(さら)に研究(けんきゅう)を続(つづ)けていた。そこで、兄弟(きょうだい)とは似(に)て非(ひ)なる存在(そんざい)が、新(あら)たに生(う)まれた。歪(ゆが)んだ研究(けんきゅう)を続(つづ)けた親(おや)は病死(びょうし)し、彼(かれ)らとよく似(に)た存在(そんざい)のクローンだけが遺(のこ)された。

 彼(かれ)らによく似(に)たクローンは、彼(かれ)らを嫌(きら)った。彼(かれ)らはその内(うち)の二人(ふたり)の命(いのち)を奪(うば)ったが、一人(ひとり)は彼(かれ)らを取(と)り込(こ)んだ。


 研究所(けんきゅうじょ)から出(で)た三人(さんにん)は、 自分達(じぶんたち)が生(い)きられる楽園(らくえん)を探(さが)して旅立(たびだ)った。生物(せいぶつ)の根源(こんげん)が地球(ちきゅう)にあると知(し)った三人(さんにん)はそこへ向(む)かった。彼(かれ)らが旅立(たびだ)つ時(とき)、故郷(こきょう)は既(すで)に滅(ほろ)んでいた。


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