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灰色の存在
…ソニアは何処でもない場所を無心で歩いていた。彼女から見える世界は灰色だった。一度死んで蘇った少女には子供の純粋さも、大人の聡明さも残されてはいなかった。ただ、恐ろしい程の力だけが、彼女にはあった。
ソニアには過去の記憶は全く残されていなかった。生前はどのような暮らしをしていたのか、家族は居たのか、それすらも覚えていない。それに、ソニアとよく似たゾフィーはどのような理由でソニアを憎んでいるのだろう。ソニアは何も知らなかった。
そんなソニアの前にゾフィーが現れた。
「あんたには何もない。全てを失った灰色の存在なの。」
ソニアは肯定も否定もしなかった。ソニアはゾフィーを置いて一人歩いていく。
何処へ向かおうとしているのか。何故蘇ってしまったのか。その理由は分からない。だが、行かなければならないという使命感だけはあった。




