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時を超える者


 星藍(せいら)は一人(ひとり)になった。もう誰(だれ)からも声(こえ)を掛(か)けられなくなった。身体(からだ)は透(す)けていく。このままでは、本当(ほんとう)に消(き)えてしまうかもしれない。星藍(せいら)は心細(こころぼそ)かった。


 そんな星藍(せいら)は何処(どこ)でもない場所(ばしょ)を歩(ある)いていた。今(いま)までの記憶(きおく)は薄(うす)れ、今(いま)自分(じぶん)が何(なに)をしているかも分(わ)からなくなった。

 その時(とき)だった。自分(じぶん)ではない誰(だれ)かの記憶(きおく)が次々(つぎつぎ)と蘇(よみがえ)っては消(き)えていった。怪物(かいぶつ)に襲(おそ)われた瞬間(しゅんかん)や大切(たいせつ)なものを取(と)り戻(もど)そうとする誰(だれ)かの姿(すがた)だった。

 その記憶(きおく)が誰(だれ)のものかは知(し)らないが、星藍(せいら)には覚(おぼ)えがあった。一体(いったい)何故(なぜ)だろう。その答(こた)えは分(わ)からなかった。


 歩(あゆ)みを進(すす)めていた星藍(せいら)は突然(とつぜん)止(と)まった。そこはとある山(やま)だった。星藍(せいら)はそこを登(のぼ)っていくが、異変(いへん)に気付(きづ)いて空(そら)を見上(みあ)げた。あの記憶(きおく)で見(み)た怪物達(かいぶつたち)が星藍(せいら)を見下(みお)ろしていた。


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