二人の少女
それから、律花は一八としばらく一緒だった。もちろん、学校に行っている時は離れ離れだったが、お互いを信頼していた。
冥界に行った音羽の事は心配だった。何度も忙がしく行き来していて、何をしているのだろう。話す機会も少なくなる中、律花は気を揉んでいた。
律花と一八は町を歩きながら話していた。ソニアの手掛かりを探す為だった。だが、どこを探しても見つからない。
「本当に居るのかな、ソニアっていう子は…。」
「さあ?でも、昴様は無茶は言うけど、嘘はあまり言わないけどな。」
一八は聴覚を研ぎ済ませていた。コウモリは超音波を検知するそうだが、一八もそうなのだろうか。
だが、一八の聴力を持ってしてもソニアは見つからなかった。そこで、律花はゾフィーと出会った白部山へと向かう。
「死人とはいえ、女の子を殺せだなんて、可哀想じゃない?」
「そうだけどな、昴様が言うなら、何か意図があるんじゃないか?」
今は人の姿をしているが、やはり怪の感覚は人のものではない。律花は困惑するが、それでも一八は淡々と言葉を述べる。
「昴様の力になりたいのなら、多少冷酷にならないとな。」
これが冥界で生きるという事なのだろう。現世よりもずっと命は危険に晒される。一八はその感覚でずっと生きていた。
「一八君は、ひいお祖父ちゃんの事好きなんだね?」
「助けられたんだ。そうでなきゃ俺はここに居ない。」
そんな一八の心の支えになったのは、やはり昴の存在なのだろう。だからこそ、一八は使命の為に冷酷になろうとしていた。
山道から少し離れた茂みに、何かの気配を感じた。二人が近づくと、そこには真っ白な少女が座っている。
「あの子が、ソニアなの…?」
「そうだろうな。気配が人間のそれじゃない。」
二人が臨戦態勢に入ったその時だった。ソニアの前にゾフィーが現れた。向き合った二人は、双子のように外見も背丈もよく似ている。
「ソニア、私はあなたという存在が憎い。」
「どうして…」
「とぼけるんじゃないわよ」
ゾフィーが手をかざすと、どこからともなく弾丸が飛び出した。ソニアは撃たれ、その場に倒れる。
「それぐらいじゃ死なないわよね。そうでなきゃここまで苦労はしないもの。」
ゾフィーはそう吐き捨ててその場を去ろうとした。それを二人は追う。
「あら、どうしたの?」
ゾフィーは二人の存在に気づき、目を鋭くした。
「どうして、ソニアを殺そうとしたの?」
「あんた達もソニアが死ぬのを望んでるんでしょう、なら好都合じゃない。私はね、あいつが憎いの。」
どうやら、ソニアとゾフィーの間には確執があるようだった。だが、それは聞けそうにない。ゾフィーの周囲には、周りのものを寄せつけない程の殺意に満ちていたからだ。
ゾフィーは、倒れたソニアを抱えたが、ソニアは蒸発してしまった。それを見たゾフィーは舌打ちすると、ソニアと同じように消えてしまった。




