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荒地の神


 アゲートとショールは、話(はな)しながら歩(ある)き出(だ)した。アゲートは怪(かい)と死神(しにがみ)の間(あいだ)に生(う)まれた存在(そんざい)で、今(いま)までずっと一人(ひとり)で旅(たび)してきたらしい。

「だけど驚(おどろ)いたね、僕(ぼく)と同(おな)じように旅(たび)してるなんて。」

アゲートは自分(じぶん)と同(おな)じように旅(たび)をしている子供(こども)が居(い)た事(こと)に驚(おどろ)いている。それはショールもそうだった。




 アゲートは名(な)の通(とお)り瑪瑙(めのう)の死神(しにがみ)で、目(め)は透明(とうめい)だった。ただ、瑪瑙(めのう)が様々(さまざま)な色(いろ)をしているように、アゲートの目(め)も文字(もじ)通(どお)り色(いろ)が変(か)わるのだそうだ。アゲートによるとこれも奇形(きけい)の一種(いっしゅ)らしい。


 

 その話(はなし)を聞(き)いたショールは、自分(じぶん)の奇形(きけい)と両親(りょうしん)の話(はなし)を始(はじ)めた。

「生(う)まれたばかりの私(わたし)はまだ小(ちい)さかったけど、手(て)と足(あし)の指(ゆび)が五本(ごほん)ずつあって、自分(じぶん)と同(おな)じだってお母(かあ)さん喜(よろこ)んでたんだ。」

「そっか、僕(ぼく)のお母(かあ)さんは生(う)まれたばかりの僕(ぼく)を見(み)て、蹄(ひづめ)がないから歩(ある)きにくそうだって言(い)ったんだよ。」

「蹄(ひづめ)?」

「だって馬(うま)だからさ。僕(ぼく)は馬(うま)の怪(かい)から生(う)まれたんだ、変(へん)な話(はなし)だろ?」

「ううん、全然(ぜんぜん)変(へん)じゃないよ。」

ショールは首(くび)を横(よこ)に振(ふ)った。

「それにね、お父(とう)さんとお母(かあ)さんは首(くび)が外(はず)れるけど、僕(ぼく)はそうじゃないんだ。それは似(に)なくて良(よ)かったって思(おも)ってる。」

「そうなんだ。それでもお母(かあ)さんとお父(とう)さんの事(こと)は好(す)きなんだね?なんかずっと嬉(うれ)しそうに話(はな)してるから。」

それを聞(き)いたアゲートは

「うん、ずっと一人(ひとり)だったから時々(ときどき)二人(ふたり)を思(おも)い出(だ)すんだ…。」

アゲートの目(め)は海(うみ)よりも深(ふか)い青色(あおいろ)になっていた。



 二人(ふたり)でずっと話(はな)しているのを聞(き)いて痺(しび)れを切(き)らしたのか、ショールの首元(くびもと)のエルが大声(おおごえ)を上(あ)げた。

「なぁなぁ、俺(おれ)も混(ま)ぜてくれよ」

「喋(しゃべ)る蛇(へび)、ひょっとして怪(かい)かな?飼(か)ってるの?」

「エルとは兄弟(きょうだい)っていえばいいのかな。ずっと一緒(いっしょ)なんだよ。」

「蛇(へび)と兄弟(きょうだい)なんて、変(か)わってるね…。」

「アゲート程(ほど)じゃないよ。」

ショールはエルを手(て)に巻(ま)きながら話(はなし)を続(つづ)けた。




 そんな時(とき)だった。遠(とお)くの砂(すな)が盛(も)り上(あ)がり、そこから巨大(きょだい)な爬虫類(はちゅうるい)が顔(かお)を出(だ)した。どうやら、二人(ふたり)の気配(けはい)を察知(さっち)したらしい。

「あれは、怪(かい)?」

「なんとかしなきゃ…」

アゲートは鎌(かま)を手(て)に持(も)ち、真(ま)っ先(さき)に向(む)かう。

「私(わたし)もいくよ!」

ショールは同(おな)じように鎌(かま)を持(も)ち、アゲートを追(お)った。



 そして、二人(ふたり)の手(て)で怪(かい)は一瞬(いっしゅん)にして倒(たお)されてしまった。アゲートの目(め)はいつの間(ま)にか土(つち)のような赤色(あかいろ)になっている。

「もしかして、感情(かんじょう)で目(め)の色(いろ)が変(か)わるの?」

「そうみたい。自分(じぶん)では分(わ)からないけどね。」

アゲートは自覚(じかく)していないが、一瞬(いっしゅん)の戦闘(せんとう)で感情(かんじょう)が昂(たかぶ)ったらしい。穏(おだ)やかそうな見(み)た目(め)だが実(じつ)は戦(たたか)うのは好(す)きなのだろうか。ショールは不思議(ふしぎ)がった。



 先程(さきほど)の怪(かい)はどうやらトカゲらしく、巨大(きょだい)な尻尾(しっぽ)が残(のこ)されている。アゲートはそれを拾(ひろ)った。

「異変(いへん)の影響(えいきょう)はここまで来(き)ているらしい。気(き)をつけないとね。」

どうやらアゲートは今(いま)までもそうして怪(かい)と戦(たたか)ってきたらしい。次(つぎ)の場所(ばしょ)へ向(む)かおうとするアゲートをショールは追(お)った。

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