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漢数字じゃなくて、アラビア数字で書けば良いものを。阿久津麻希(あくつまき)は頬杖をつきながら引いたばかりの割り箸を見据える。狭いスペースに無理くり収めるように記された「四」の字は、木目にインクが滲み歪んでいる。書いた者の癖と絶妙にマッチして何とも不気味な歪みだ。じっと見ていると、何か(まじな)いの類に用いられる(ふだ)だとか、そういう感じのものにおどろおどろしく描かれるタイプの眼の絵にも見えてくる。嫌なものを引き当ててしまった。くじ運の悪さは今に始まった事ではないので驚きはしないが、良い気もしない。ぶらぶらと弄べば、小指の先ほどもない小さな数字がぐにゃりと一層歪に崩れるようで、あぁほら、瞼が震えて、ゆっくりと目が開ーーーなんて、どうにも飲み過ぎただろうか。アホらしいとかぶりを振って、麻希は割り箸を机に伏せた。暇になった利き手に持たせたグラスの中身はもう半分も残っていない。



「王様だ~れだ?」



楽しそうに尋ねる声に、こちらもまた大層愉快そうな王の声が返された。続いてわざとらしく悩む素ぶりと、それを囃し立てる面々。思わせぶりに散々唸ってから「よし」と王が笑って顔を上げた。下知が決まったようだ。番号4の庶民は下されるかもしれない命令に備え、余計な空想を追い出すように薄くなった酒をぐっと呷った。

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