12話 働き始めからの 日常
お願いしまふ!
あれからの一日の流れを説明しておこう。
朝四時手前に起床、学生という事で配布だけして6時頃に終わり。
一度家に帰った後、色々な準備をしてから学校へ向かう。
此れ迄なら其の儘学校へ直行していたのだけども最近は違った。
俺は喫茶店川柳を一時間程、手伝っていた。
多くて10人ぐらいの老夫婦やシニア世代の人間なんかがコーヒーと軽食が付いたセットを頼むので、パパッと作って出す。
その後で苦学生と言う事を知った店長がボリューム満点の朝御飯を振るまってくれるので、其れをガツガツと食べていると。
「ユウ君は良く頑張って暮らしているねぇ...」や
「今度、ウチの店食べに来なさい。お腹一杯食べさせてやるから。」
等と言った事を事情を知ったお客さん達が言って来るので、礼を言いながら食べていた。
...そう、何故か俺は御老体達に気に入られていたのだった。
話を聞く限り、最近の若い学生達とは違い今を必死に生きてるから苦労していた昔の事を思い出したとかだそうだ。
.....中々に、哀しいことを言われた様な気がしながらも取り敢えず笑っていたら、更に何でか気に入られて殆ど毎日同じお客さんが来る様になっていた。
なので、どちらかと言われれば厨房を手伝うというよりご飯を食べさして貰いながらお客さんと会話するのがメインに近い。
良くお客さんが何か奢ってくれたりもするので、食費が助かるという事もあり毎朝行く様になっていた。
そんな訳で何だかんだ言って、毎朝固定客が増えたという事で繁盛はしていた。
...まあ、という訳で自分でも何してるのか分かんないぐらい役には立っていなかった。
其れから8時ぐらいになると柳さんが急ぐ様に制服姿で降りて来るので、一緒に登校的な?流れで運良く学校へ向かって行く。
当然何故か柳さんと登校している俺を見た学生さん達が
「誰だこいつ...柳さんと一緒になって学校に来てんぞ..」
「おい、鏡見て出直せやブサイク」
等と言いながら人でも殺せそうな視線を向けて来るので、何時もゴリゴリに精神が削られていきながらも止める事はなかった。
其れなのに何で止めないのかだって?
決まってるじゃないか。
何時も目立たないという事で同じ学生という身分の癖してあいつは上だ下だといった様な視線を向けて来る奴等に対しての嫌がらせだ。
...まあ、そんな事してたら最近良く分かんない人に突っ掛かれる様になった。
のだけど、柳さんと一緒に登校すると言う事の方が重要なので気にせず続けていた。
そして校舎の前に着くと図ったかの様に背後から声を掛けられる。
『おい、そんなドヤ顔で何時も来てんじゃねえよブサイクっ!!』
柳さんと登校する様になって3日目から俺はこんな風にドスを効かせた声を掛けられていた。
初めて声を掛けられた時は正直に言って、心臓が止まりそうになる程、体が恐怖に包まれた。
此の学校には、チャラそうな格好をした不良や学校の制服とは違う長ランを来た生徒とかが居ない事は知っていたというのに、其れでも怖かった。
そりゃあ、滅茶苦茶頭が良いような金持ち学校とかではそんな事は無いのかもしれないけど。
基本的になんか悪そうな人間というものはどの学校にも存在する。
だから俺は恐る恐ると言った様に背後を振り向いていたのだけども、声を掛けて来た人間の顔を見て即座にそんな気持ちは消えていった。
...俺に声を掛けて来た男、其れは眼鏡を外した只の晃だった。
色々と恐怖に駆られて、心臓が止まりそうになっていた俺は怒りに任せて晃に走りながら近づいて行く。
握り拳を作ることは忘れずに...
『...俺と変わんないぐらいの顔面偏差値のお前がそんな事言える立場なのかあぁぁぁっ!!』
『何でお前ごときが先に、クソみたいな夢の一歩を踏み出してんだよぉぉっ!!』
こんな言葉の後は何時も変わらずお互いの頰に熱く硬い拳を喰らわせあって吹き飛んでいた。
取り敢えず最近は教室内流血事件は起こることなく、朝の会話?は、一発ずつ喰らわせてあって数分踠き苦しんだ後に教室へ二人仲良く?目指した。
そして10分後、栗林先生が来て。
『おはようございまーすっ!!』
と言いながら煌めい何かを背後に振り撒きながら挨拶した所を確認した後で、俺は何時も通り爆睡を始めた。
『…もう授業を聞けなんて言わないからさぁ、私の話ぐらい聞いてよぉ..』
そんな呟きが聞こえた様な気がしながらも寝た。
丁度昼頃になると、俺はムクリと目を覚ます。
今迄なら放課後迄寝て過ごすのだけども、此処でもまた俺の生活は変わった。
教科書なんか何も入ってない鞄を取り出して、たった一つだけ入っている弁当箱を取り出した。
何時も周りの運動部の男子生徒達が食べるぐらいの大きな弁当箱。
炭水化物の米がぎゅうぎゅうに詰められて、米の上には濃く味付けされたソボロや卵、ほうれん草を載せた三食丼。
そんな夢の様な物が今、手元にあった。
誰かに作って貰った事なんか無い、弁当を店長に貰った時の感動は今でも忘れられない。
俺は感動を胸に抱きながら、味わって食べていた。
『高榊が弁当を続けて持って来ている...だとっ!?しかも5日続けて...まさかっ!柳さんに作って貰った何て...事は』
此処でも晃が羨ましそうに俺を見て来る。
柳さんが作ってくれている訳ではないのだけども、意味深に最高のドヤ顔を送ってやる。
『ふっ...』
『クソオオッ!!逝くぞグラ男!!此奴が大事そうに食べてる弁当を奪えええっ!!』
『おうさっ!!(血涙)』
何故か、晃だけでなく近くに居たグラ男も飛びかかって来る。
晃は俺を背後から羽交い締めにして動けなくする。
『ちょっ!?お前ら止めろっ....うわああぁぁあだ!?』
『柳さんの...愛に最大の感謝を込めていただきますっ!!』
俺の言葉に止まってくれる様な奴は一人も居らず、動けない俺の弁当箱を奪ったグラ男が30秒ぐらいで完食してしまった。
空っぽになった弁当箱をグラ男が机に置くと二人は俺から離れていく。
『ふぅ、うまかったぜぃ。….これに懲りたらもう、こんな物持ってくんじゃねえ!!』
『くそぅ..守れなかった..また最後まで食べられなかった』
『はっ!!』
『フッ!!』
『.....ブチッ。』
俺を嘲笑うかのような二人の声が聞こえて来る。
次の瞬間、何時も通り何かがキレた俺は二人を殺しかかるような勢いで殴り掛かった。
『ふざけんなよおおおおっ!!』
『高榊いっ!!お前が先に挑発して来たんだろうがあああっ!!』
『弁当美味かったからぁああ!!!また明日寄越せいいい!!』
『『何でいっつもお前が全部食うんだよっ!!!』』
この後、滅茶苦茶にしてやった。
晃と一緒にグラ男を。
そんなこんなで、昼の授業が始まったらまた寝る。
そうやって、五限目、六限目、七限目迄終わり放課後になり教室に殆ど誰も居なくなった時に漸く目を覚ます。
『……ふわぁっ、よく寝た。』
俺は身体を起こして、固まった身体をほぐしているとポキポキと背骨あたりを鳴らせる。
...そろそろ川柳に行かないとなぁ
そう思いながら机の上に鞄を置き、中に入っている空の弁当箱を暖かくなる気持ちの侭数秒眺めていると、声を掛けられた。
『漸く、起きたのかい?高榊。』
『………』
俺は嫌々机の前に立っている、男に視線を向ける。
其処には、華がある地毛だか分からない茶髪を軽く遊ばせた..........THEイケメンが立っていた(怒)
あざした!
明日の0時に投稿します!
なんか評価ヨロシクお願いしやす!