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11話 クビ。 ガソリンスタンドが...

お願いします!!

『凄いですっ、高榊君!!』


『...まさか、此れほどとは。』


大皿に載せた焦げ目が一切無い黄金色の巨大オムレツを前に二人は良い反応をしていた。


柳さんがナイフを恐る恐るといった感じで、未だ湯気が立ち上る黄色い物体に載せてスッと引っ張る。


其れだけで簡単に切れ、中からドロっと半熟の卵が出てくる。


比率は表面の固まった所が6で、半熟の部分が4といった所だろう。


うん、こんなちゃんとした料理は最近作って無かったけど中々の物だと思う。



『おお...初めにオムレツって何かなんて聞いてくるから、どうしたもんかと思ってたよ』


『オムレツが分からなかったんですか?高榊君。』


『ちょっと...最近作ってなかったから、忘れてただけだよ。』



不思議そうな顔で見詰めてくる俺は柳さんの目を見て話せない。


其れがいけなかったんだろう。


柳さんが何かあると思って、俺の顔に近づけて質問を続けられる。


『最近作ってなかったんですか...でもだからってオムレツの名前を知らない人なんて中々いないと思うんですけど..』


『う、うん。ま...まぁ、俗世とは掛け離れた生活を送ってたんで、ね。』


『俗世って、テレビとかは流石に在りますよね?』


『………無い。』


『其れって....あ。』



俺の答えを聞いた柳さんは、そう言って固まってしまう。


多分、俺の財政状況を理解したのだろう。


柳さんは慌てた様に訂正しようとする。


『ご、ごめんなさいっ。そう言うつもりで言ったんじゃ..』


『うん分かってるよ柳さん。別にテレビを買うぐらいのお金はあるけど買ってないだけだから気にしないで。』



確かに最近は豪遊して喫茶店に来ていたが、基本哀しい食生活をして出来るだけお金を貯金していた。


だからお金が無くて買えないという訳では無かったのだが信じようとしない。


『本当に、ごめんなさい。去年何時も頑張って働いていた高榊君を見ていたっていうのに余り考えないで口にしてました..,』



柳さんは頭を上げようとはせず、謝り続ける。


...此のやりとりさっきもしてた様な気がすると俺は思いながらも何とかしないといけないと考えていた。


結果、色々とメンド臭いので話を変える事にした。



『あっ!そう言えば柳さん。オムレツ、早く食べないと美味しくなくなるからさっ食べようよ。』


俺が適当に厨房から持って来たフォークを柳さんに手渡す。


柳さんは無理矢理、渡されたフォークを見つめて呟く。


『...オムレツ。』


『そうだよ、早く食べないと其れとも食べたくない?』


初めは固まりながらフォーク一点を見続けていたのだが、俺の言葉を聞いてピクッと反応した。


『...食べたい、です。』


『なら、ね。早く食べようよ。もういいからさ。』


『...はい。』


コクンと一度だけ首を縦に振る。


其れを見て俺は、何とかなったなぁと思いながら食べていった。




そして数十秒後、卵10個使ったオムレツは速攻で無くなった。


目の前にいる柳さんは少し前の最底辺にまで落ちていたテンションとは違い、元気良く感想を言ってくれる。



『高榊君、おいしかったです!!』


『う、うん。ありがとう….........

...あれだけ大きかったのに、速すぎるだろう』


お礼の後から言葉が小さくなってしまいながらも空っぽになった大皿を見る。


このオムレツは俺と柳さんたった二人で、 食べた訳では無く。


殆ど...いや、一口以外は全部柳さんが食べ切っていた。


殆ど呑んでるんじゃないだろうかというぐらいの速さで食べる柳さん。


俺は其れを見てスプーンが、止まってしまっていたのだった。




『其れで、お父さんっ!高榊君は厨房で良いんだよねっ?』


『…っ!、ああゴメンゴメン他の事を考えてたよ。何っだって?』



そう言えば途中から反応してなかった店長が柳さんにもう一度言葉を求めていた。


きっと、俺の作っていた時の作業を思い出して料理を任せられるかの判断をしていたんだろう。


流石、料理人と思えた瞬間だった。



『高榊君に料理を任せても良いのかって聞いてたのよ。もー 何考えてたのよ。』


『ゴメンゴメン。ちょっと考え事をしていたんだよ。うん、技術的な所は大丈夫だから少しうちのメニューを覚えてくれたら即戦力になると思うよ。』


『ホントにっ?やりましたね高榊君っ!!』


何故か自分の事のように喜ぶ柳さん。


俺は其れを見てやっぱり可愛いなぁと思っていた。



『うん。店長に認めて貰えて良かったよ。』


『なら、一通りのメニューのレシピを教えるからもう一回厨房に行こうか。』


『分かりました、お願いします。』


『頑張って下さいねっ!』


俺を合わせた三人はもう一度厨房へ入った後で、店長の簡単な説明を聞いて回っていく。



こうして翌日から俺は、殆ど毎日店長と一緒に料理を作って行く事になるのであった。





川柳で働き始めて3日目ぐらいの夜の事、今更ガソリンスタンドの事を思い出し嫌々電話をして見た所、クビにされてしまいました....



ありがとうございました!


明日0時に出します!

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