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創星のレクイエム  作者: 有永 ナギサ
1章 第3部 運命の出会い 

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34話 謎の少女との出会い

1章 第3部 運命の出会い

 時刻は午後十四時ごろで、空はみ切った青空が広がっている。

 灯里やクレハと過ごしたのが昨日であり、現在陣は海沿いの道を一人で歩いているところ。ここは工場地帯に近く、大きな店もとくにないため人通りが少ない。辺りは波の音が響き渡るだけであり、なにか考え事をしながら歩くのにはなかなか最適な場所であった。今のところとくに仕事など予定は入っておらず、完全にフリーの状態。そんな中陣はじっとしていられなかったため、こうやって外をぶらついているのであった。


「ダメだ。落ち着かない。ははは、これは昨日のあれが原因なんだろうな」


 陣は歩みを止めないまま、昨日の灯里たちと別れたあとの出来事を思い返していく。





 夕日が沈みかけている中、陣は人通りの少ない路地裏の奥へと進んでいた。

 突然現れた謎の銀髪の少女であったが、話しかけようとした瞬間ふと消えてしまったのだ。ただその時感じた並々ならぬ気配が、足跡のように路地裏の奥へと続いていたのである。まるで陣を誘いこんでいるかのように。


「ふふっ、やっぱり来ちゃうんだ。ほんと、キミは面白い男の子だね」


 あとを追っていると、少し開けたところに出た。

 するとそこには先程の銀髪の少女が。歳はやはり十歳ぐらいだろうか。透き通るような長い銀色の髪で、白いワンピースに身を包んでいる。非常にかわいらしい顔立ちの女の子だが、どこかはかなげそうな雰囲気を感じられた。


「オレを呼んだのはあんたか?」

「うーんと、そうだねー。確かにキミに興味が()いて誘う形になったけど、実際のところはその逆。ジンくんがわたしを呼んでいたから、会いに来たって感じかな?」


 少女はアゴに手を当てながらかわいらしく首をかしげ、意味ありげな言葉を口にする。


「オレがだと? 何者だあんた?」

「ふふっ、とりあえず今は、通りすがりの占い師とでも言っておこうかな? リルって呼んでくれたらいいよ」


 少女はリルと名乗り、いたずらっぽくほほえんでくる。


「ははは、胡散臭さ満天だな。それでその占い師様がなんのようだ? 変な宗教の勧誘とかならお断りだぞ?」

「信じてないなー。なら、その証拠を見せてあげるんだよ」


 リルは陣の上着を両手でぎゅっとにぎりしめながら、まっすぐに見つめてくる。

 まるでこちらの瞳の奥から、()(じょう)(じん)のすべてを見透かすように。


「ジンくんは力が欲しいんだよね。その(かわ)きを(うるお)すことができるほどの、常識では計り知れないなにかを……」

「ッ!?」

「ふふっ、図星かな? ジンくんは普通の人々が見てる世界のさらに向こう。本来観測できない裏側が見えてしまってる。だから常識にとらわれた程度の力では満足できない。求めるのは自身の身を焦がし、滅ぼすかもしれないぐらい強大な力の源泉。そう、まさに世界の真理そのものだよね?」


 自分のすべてを見透かされていることに、軽く恐怖を覚えてしまう。もちろん彼女とは初めて会ったばかり。ゆえにリルは陣のことを知るよしもないはずなのだが、ここまで正確にこちらの心情を読み取ってしまうとは。

 もはやただ者ではないリルに、陣は臨戦態勢を。


「もう一度、問う? あんたは何者だ? 返答次第では、ただじゃ済まさないぞ」

「そんなに警戒しなくても大丈夫だよ。わたしはジンくんの敵じゃない。むしろ味方であり、キミが求める答えそのものだよ」


 するとリルは陣から数歩離れ、迎えるように両腕を広げながらほほえみかけてきた。

 彼女の言う通り敵意や、はめようとする策略めいたものがなにひとつ感じられない。ただ陣を気にかける、慈愛のようなものだけだ。どうやら害はなさそうなので、とりあえず警戒を解くことに。


「――はぁ……、わかった。相変わらず怪しさは半端ないが、嘘を付いてる気配はないしその言葉を信じてやるよ。たとえなにか企んでいたとしても、こんないかにもぼけーとしたトロそうなガキに、遅れをとるとは思えないしな」

「このミステリアスさあふれるわたしの、どこからそんなイメージが出てくるのかな!?」


 陣の素直な感想に、リルは目を丸くし腕をブンブン振りながら抗議を。

 この状況も相まって、彼女から出るミステリアスさは本物。だがそれ以上にリルからにじみ出るゆるふわ感が半端ないのだ。


「そうか? こうしてリルを改めて観察してみると、抜けてる感じがにじみ出てるぞ。どことなく残念属性というものがな」

「ちょっと、ジンくん、お姉さんに向かって失礼じゃないかな!? たとえ見抜いていたとしても、そこは言わない優しさをだね!?」

「ははは、背伸びしたい気持ちはわかるが、年齢的に少し無理があるぞ。お嬢ちゃん」


 リルの頭にポンポンと手を置き、笑ってさとしてやる。

 かわいらしい少女の背伸びはほほえましく話を合わせてやりたくもなるが、さすがに年齢的に厳しいだろう。


「年下じゃないもん! これでも一つ年上!」


 むねにバッと手を当て、涙目でうったえてくるリル。


「いやいや、冗談も休み休み言えよ。こんなちんちくりんなガキが、オレより年上だって? ははは、ありえないな」

「この外見にはわけがあるんだもん! 本当は大人びた、はかなげふうの美少女なんだからー!」


 リルは陣の上着を両手でぎゅっとつかみ、ぴょんぴょん飛び跳ねながらくい下がってくる。

 なんだかその光景は彼女の愛くるしい外見から、あまりにほほえましく感じてしまう。だが今思うとそんな話、陣にとってはどうでもよかったことに気付いた。なのでさっさと話を進めていくことに。


「あー、はいはい、お姉さんぶってる子供とかそんなのどうでもいいから、それよりさっきの話の続きをだな」

「――ど、どうでもいいって……。――はぁ……、ジンくんのあまりの容赦なさに、心が折れそうだよ……。これは少しあの件を考え直した方が……。あれ?」


 リルはショックのあまり、がっくりうなだれる。だがすぐになにかに気付いたのか、陣とは別の方を向き始めた。


「どうした?」

「えっとね、そろそろお別れの時間みたいなんだよ。思ってたより、止まっていてくれなかったようだから。そういうことでバイバイ、ジンくん」


 なにやら別れを告げ、リルは後ろを振り向こうとする。

 おそらくこのままだと、さっきのように姿を消してしまうだろう。ゆえにすぐさま呼び止めた。


「おい、待て。まだ話はおわってないぞ!」

「大丈夫、ジンくんがわたしを求める限り、きっと運命はわたしたちを(むす)び合わせてくれるんだよ。そして願わくは、キミが彼女のもとにたどり着き、すべての決着をつけるまでにいたってほしい。わたしのマスターとして、ね……」


 リルはいのるように手を組み、慈愛に満ちた瞳を向けて伝えてくる。まるで心からの願いと言いたげに、万感の思いを込めてだ。


「ッ!?」


 次の瞬間ふと強い風が。それにより一瞬リルから視線を外してしまう。


「――いない……、か……」


 再び目を開けると、そこにリルの姿は消えているのであった。


次回 残念お姉さん?

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