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第36話 Ultimate

 黒刀の切先を向け、三色入り混じる不気味な眼光を輝かせ、ナリトモは突進する。

「【迅雷の閃】ッ!」


 テオボルドはその場で側転し、紙一重で回避する。

 勢い余ってナリトモは、テオボルドの背後にあった建物を一棟貫通し、さらに先にある建物の壁でようやく止まる。


(そりゃそうか。奴も制御できないか……)

 と、テオボルドは思った刹那、ナリトモは桁外れの膂力で、建物を飛び越し、彼を見下ろした。


「【雷降の撃】ッ!」


 テオボルドは隆盛を敷くトキワの斧頭のボウガン部をナリトモへ向けた。

「【ストロングアロー】、一気に五発だ!」

 放たれた魔力の矢五本は、ナリトモの付近で焼き焦げて、消える。


 テオボルドは斧を地面に叩きつけると同時に、魔力の矢を連射、その反動で跳び上がった。


 間もなく、ナリトモが地面に落下する。一瞬、稲光が巻き起こったのち、まるでスプーンでえぐり取ったようにそこに穴が生じた。


(あそこまでなら、かすり傷も許されない……だろうな)


 テオボルドが着地してすぐ、ナリトモは逆手持ちした黒刀を、三日月状に振るった。

「【火焔の斬】!」


 ナリトモの手前で炎が舞い上がり、野火のように放射状に広がった。

 テオボルドは瞬間を見極め、炎を飛び越す。

 空中で一回転したとき、ナリトモは己の身体でそれを隠すように、両手で黒刀を握りしめていた。


「【凍牙の閃】!」

 ナリトモが放った突き上げに対し、テオボルドは斧頭を盾にして防ぐ。柄を持つ右手と、裏で支えとした左手がかじかむような震えが走る。

 このまま押し貫かれる前に、テオボルドは得物に魔力を注ぎ込む。


「【レコンキスタインパクト】!」

 その斧頭に埋め込まれた魔石から、魔力の爆散による衝撃波が巻き起こる。

 二人はそれに呑まれて、互いに後ろ斜め下へと落下した。


 テオボルドは斧を地面に食い込ませながら、反動を逃がす。

 だがナリトモは、そのまま背中から落下した。ある意味最も多用する技術は着地であるかもしれない、忍者の彼が。


「さっサとくタばれ……テオボルド……!」


「おお、やっぱお前、介錯を選んでたほうがよかったんじゃないのか……」

 と、口では軽そうに言うが、テオボルドはこの事態に強い危機感を抱いていた。

 やはりナリトモでも、鬼の力をもってしてでも、魔王の力は御しきれない。それどころか逆に、魔王が彼の力を取り込んでいるようにも見える。

 ここまでの異常な戦闘能力と、行動の不安定さ。今に至っても、子どもの人形遊びのような不気味な体勢の立て直し方が、その不吉さを強めていた。


(元より、一回負けた魔王を無理くり蘇らせたものを使おうとしたんだ……あんな異常中の異常、これ以上ほったらかしにしていたらまずい)


 身分が変わろうとも決して変わらないその心……警戒心と友情が、テオボルドをさらに奮い立たせた。

(最悪の場合、アイツが、勇者軍への反逆者のオレを踏み台にして、歴史上の邪悪として名を残しちまう)

「……そんなことはさせねえよ!」

 テオボルドは斧の柄を伸ばし、地面に突きたて、あたかも固定砲台のような形にしてから、魔力の矢を連射する。


 ナリトモがこちらに手をかざす。たちまち吹雪が巻き起こり、魔力の矢は凍てつき、そして粉々になって消えた。


「許さヌぞ、人間どモ……【幻雪の陣】ッ!」

 ナリトモの両隣に分身が一体ずつ並び立ち、即座に向かってくる。


 そちらにも矢を撒き散らすと、二体の分身は黒刀を操り、矢を弾いた。強化によって実体を得たようだ。

 テオボルドは柄を元の長さに縮めて構え直し、

「【ディアスポラショット】!」

 周囲を薙ぐように斧を振り回し、同時に矢も連射した。分身の片方は蜂の巣になって、もう片方は斬撃を直接食らって消えた。


 その時、ナリトモは両手を真正面に伸ばし、握っていた黒刀を手放す。

 黒刀は、彼の両手を中心点として、独りでに回転する。やがてそれは、火、氷、雷の属性を帯びる三本に分裂し、突風を浴びる風車のようにさらに回転していく。


「【恐腐古の終世】ェェェ……ッ!」

 まだ浴びてもいないにも関わらず、全身が軋むような震えを錯覚してしまうほどの膨大な魔力が、回転する刀から一本の魔光となって放出される。

 回避しても間に合わない。このままでは塵一つも残さず消されるのは明白。

「……オレはもうとっくに決めてるんだよ。安易な運命は取らねえ……!」

 魔王と勇者を同時に戦った盟主として、もはやこれくらいのことは不可能ではない。

 テオボルドはそう言い聞かせながら、柄を伸ばして戦斧のようにした隆盛を敷くトキワに、ありったけの力を込める。そして得物を後方への魔力の奔流で加速を加えて豪快に振るい、挑みかかる。

「勇者奥義【ダムナティオ・メモリアエ】ァァァッ!」


 己の最大出力をもってして、光線へとぶつかったテオボルド。

 全身の至るところが裂けるような激痛が走る。魔力の流動の凄まじさから前後左右の感覚さえも無くなっていく。視界も白黒のみに変わっていく。

 だが、そんなことには構っていられない。

 勝つ。脳内ではその言葉のみを唱え、肉体の総力は全て、アーティファクトに向けた。


 ――やがて、テオボルドは、自分が地面に立っていると実感する。視界には、振り切った隆盛を敷くトキワと、文字通り目を点滅させているナリトモの姿があった。


 ここからはテオボルド自身も何をしたか実感がない。彼の長年の勘が突き動かした、一瞬の判断と行動だからだ。


 彼は斧を携え、ナリトモに突進した。


 ナリトモが黒刀を袈裟に振るう。それを怪力で押し返し、彼を仰け反らせる。

 すかさずがら空きのみぞおちに、斧頭を打ち込み、ナリトモを押し飛ばした。


 後ろへと吹っ飛びながら、ナリトモが黒刀を前へ伸ばす。あの大技の予備動作だ。

 その前に、テオボルドは、トキワを投げつけた。黒刀に激突し、その魔力の刃が一瞬消える。


 再びトキワを引き戻す暇もない。テオボルドは、自分が最も使い慣れた武器――短弓を手に取り、一本の矢を放った。

 その矢には用意周到に、加圧ぼっくりが引っ掛けてある。


 ナリトモは成す術無く、爆風に包まれる。

 手にしていた魔王の柄は、完全に灰となった。当人の身体は舞い上がり、丘の中腹に叩きつけられた。


「……終わった、か……」

 ここでようやくテオボルドは、完全に自分の感覚を取り戻した。

 テオボルドは、丘へ、ナリトモの元へと急いだ。

 魔王の力に触れた代償は重かった。全身のダメージが重篤なのは見るだけでわかる。さらに、テオボルドでもその能力盤が読み取れなくなっていた。

 余命幾許もないのは火を見るより明らか……そんなナリトモを、テオボルドは背負い、坂道を駆け上がる。

 自分自身も本日二度の勇者奥義発動によって、かなりガタが来ているが、そんなことを気にしている余裕はなかった。


 そして、テオボルドは、丘陵の最高峰――ロスデモ島全体を見下ろせる地で、ナリトモを下ろし、安静に座らせた。

 魔王軍も撤退を始め、勇者軍も勢力が落ち着いてきたためか、辺境の島の昼らしい、穏やかで透き通った風が、二人の傷だらけの身体を撫でた。


「……ナリトモ、これが、これこそが、オレが守っている島の姿だ。

 ……生憎自然は見飽きてるから、これが絶景なのかありふれてるのかは知らんが……とにかくこれがオレのロスデモ島だ」


「……そうかよ……生憎、俺の国も起伏の多い土地と、木々ばかりでな……何とも言えん」


「……せめて夕暮れにでもなりさえすれば、お前への最期の贈り物として、マシになったのかもな」


「……それを何とかするのがお前の使命だろ、ロスデモ島の盟主さんよ……」


「……ああ、そう、だよな。ここから、オレがこの島をより素晴らしいものにしていくんだな……」


「……そういうことだ……たとえ誰が相手だろうと、これ以上汚すな。さもなくば、化けて出てでもまたお前を殺しにかかるからな……」


 二人は、クスクスと笑いながら、時間の許す限り、この光景を目に焼き付けた。


*


 ロスデモ島最大の危機は、ロスデモ島の勝利で終わった。

 テオボルドたちはこの奇跡に歓喜した。そして戦禍と向き合うことを余儀なくされた。


 テオボルドがまず急いだのは、ロスデモ島北東部での業務。

 この土地を根城としていた、かの戦いの最大の功績者にして犠牲者、パトロクロスを讃える石像を作り上げた。

 この島を背に、海より来る脅威へ真っ先に立ち向かえるように……テオボルドの僅かな美的センスをどうにか搾り出した出来栄えであった。


 それからは、要塞建造。ベルゼブブの町と、海賊団の町の修復。侵攻前にも行っていた作業に勤しんだ。ゆっくりと、着実に、この平和を噛みしめるように。


 終結から一ヶ月経ったが、勇者軍と魔王軍に目立った動きはない。

 魔王軍は『また来たらぶん殴ってやる』程度の気概でいるが、気になるのは勇者軍の方。


 テオボルドは、一応の古巣への義理立てとして、指揮官を失い途方にくれた捕虜を、程々に手厚くもてなし、『二度とこっちに迷惑かけるなよ』という旨の書状を持たせて、大陸へと送り返してやった。


 なのに返事は何も無かった。未だに協議が続いているのか。五代目勇者リクゴーを殺されたことを根に持っているのか。まだこの島を侮っているのか。

 いずれの理由かはわからないが、その対応がロスデモ島の住民たちを歯がゆい思いにさせたのは間違いなかった。


「だから我はその場で藻屑にしてやろうと言ったのだ。それが勇者軍の本質なのだから」

 それを特に根に持っているのは、モランである。


「けど、あそこに残ってたのは、ちょっと脅かしたくらいで武器ぶん投げてペコペコした、イキリ野郎ばっかだったから。むしろ殺すメンドーが無くなってよかったんじゃね? って思いなよ」


「貴様も甘い考えだな、ベルゼブブ。だが、テオボルドならどう転がろうとも何とかなるだろう……」


「ま、キッツい形になるかもしんないけどねー」


 モランとベルゼブブは、森を歩き、島の北方面へと進んでいた。

 目当ての物は、間もなく姿を現した。

 この森に調和するように建てられた、大きすぎず小さすぎない、家屋一軒。


 二人がその玄関を開けると、騒々しさがまず耳に入った。

「お先失礼してましたぜ! モランさん、ベルゼブブさん!」


「あまり調子に乗らない方がいいですのよ、エウポルさん」


 中央に配置されたテーブルには、エウポル、ハザ、バリスタン……そしてこの家の主、テオボルドが座っていた。

 本日はテオボルドの新居のお披露目会だったのだ。


 モランとベルゼブブも、すぐさまそのテーブルの一辺を塞ぐ。海賊団が手配した豪勢な料理が並んでいたが、そちらはさておいて、二人はテオボルドに礼を述べた。

「本日は我々を招いてくれて感謝するぞ。テオボルド……それと、一ヶ月経過した記念に、また言わせてもらう。先日の戦勝、真に感謝するぞ、テオボルド盟主」


「あーしからも。ホント、ありがと。ロスデモ島を守ってくれて。ロスデモ島を、ここまでいいところにしてくれて」


 テオボルドはしばしキョトンとしてから、二人へ会釈する。

「おう。こちらこそどういたしまして。けど、これはオレの家がやっとこさ出来た記念の会なんだから、そっちに専念してくれ!」


 ハザはテーブルの中央にある肉にナイフを入れながら言った。

「そうですの。せっかく手塩にかけて皆様が用意してくださったのですから、冷めないうちに召し上がって欲しいですの」


 バリスタンはその一切れをしがんでから言った。

「それと、もう少し我々に対する感謝の頻度を増やして頂けないだろうか。勇者軍の頭を討ち取ったのは我々のおかげなのだぞ」


「それは失敬。感謝するぞ、シモンズ海賊団」

「あとテオボルドにあんなバケモノ武器をあげてくれたのもね。どーもでした」


 そして一同はようやく本題に戻り、料理に舌鼓を打ち、これまでの思い出話に花を咲かせた。

 勇者軍と魔王軍への抵抗、カルキリッパーの迎撃、海賊団との協定、そして四領主の和睦。どれもこれもが、まるで昨日起こった出来事のように彼らの目に浮かび、相応に盛り上がった。


 それに加えて、テオボルドは、もう一つの出来事を思い出す。

(……で、ここからだ。ナリトモに言われた通り……だからって限らないけど、この島をさらに良きものにするんだ。

 この世界に歪とされたコイツらが認められる。その居場所としてガッチリ固める。

 で、さらにそこから……とにかく、オレは戦い続けるんだ……このロスデモ島の盟主、テオボルド・レギサモンとして……ってか)

 

 テオボルドは、この新しい故郷の、新しい家の温かみをしっかりと噛み締めた。


「……ん、どうしたんスか、テオボルドさん。なんか涙出てますけど、舌でも噛んだんです?」


「……ち、ちげーよ……」

 エウポルの指摘に続いて、お披露目会の参加者たちが自分をまじまじと見つめてくる。

 何かいい言い訳はないか。と、テオボルドは考えながらギョロギョロと視線を泳がした……それで、名案を見つけた。


「ってかオイ! ロッシーいねえじゃんか!?

 アイツに連絡したよな!?」


「またいつぞやの決起集会のように、自分の研究を優先したのか……?」


「けどあの時みたいに、切羽詰まった状況じゃないから、流石にそれはないっしょ……多分」


「わたしは前に会ったときに、ちゃんと念押ししましたのよ?」


 段々と場がロシュフォールへの不義理に対して熱気が漂い始めていく。

 それに耐えかねエウポルが『俺が呼んできましょうかい?』と、名乗り出ようとした……その時、

「遅れてすみませんでありましたー!」

 当のロシュフォールがお気楽にやってきた。


 テオボルドたちは揃ってこの遅刻の訳を問いただす。

 ロシュフォールは珍しく焦り顔をみせて、手をバタバタさせながら釈明する。

「そ、某もこんな大きな行事をすっぽかすわけありませんですよ!

 予定の時間から逆算して、丁度いいころに着くための出発の直前、研究所でドエラいトラブルがございましたのでしてね……!」


「内容によっては貴様! 我の新要塞の再建造に強制参加させるからな!」

「さあ、どうなったって話!? さあ、言いなよロッシー!」


「それはですね……人がいたんですよ。某の研究所の、某以外立入禁止にしている部屋に」


 テオボルドはしんどそうに尋ねる。

「人……? なんだ、またどっちかの残党がいたのか?」


「某もまずそれを疑って質問しましたが……どうもどちらでも無いらしいです。というより、彼女、記憶がないようで……」

 百聞は一見にしかず。そのことわざに則り、半端なところで立ち話をするのをやめるべく、ロシュフォールはその少女を家に招き入れた。


 背丈はベルゼブブとハザの中間程度。淡い躑躅色に、額から木の実ほどの短い角が覗いていた。

 その少女は、背筋をピンと伸ばして、恥ずかしさを押し込んだ反動で、過剰な大声を出して名乗る。

「は、初めましてェ! アタシ、スズカって言いまァす! 以後お見知りおきをッ!」 


「いや嘘だろオイィッ!?」

 それと同時に、テオボルドは椅子ごと後方へ倒れ込んだ。


 テオボルドは、スズカの名乗りに合わせて、彼女の能力盤を覗いていた。

 そこにある一文【種族:ホムンクルス】。それが彼を驚かせた原因であった。


 ロスデモ島。そこは異常が創られた島ではなく、異常が勝手によって来る島……なのかもしれない。


【終】







「ホランダー隊長。オリヴァー殿は、今はどうにか、勇者としての歩みを再開しております。ご安心くださいませ」


「それはよかった……立て続けに四人の仲間を失い、うち一人は【第二のイバラ】と揶揄される悪人となったのだから……いっそ私も帰郷の手紙を出そうかと逡巡しておりました……」


「杞憂でしたよ、それは。私が新たに集めた逸材と共に新パーティーを結成し、前以上に目覚ましい戦果を積み上げております」


「貴方には感謝してもしきれません……さて、そろそろ陛下がいらっしゃるとのことですので、私は失礼致します。この場においては、あからさまな部外者ですから」


「別に見聞きするだけなら構わないよ? こんな機会、滅多に無いんだから、自慢話として活かしてしまいなよ?」


「いえ、遠慮致します。伝説の再集結に水を差すことなど、私には到底出来ません!」

 やや濁りの混じった白い翼と馬耳を持つ偉丈夫は、そそくさと客間から退出した。


 それからほどなく、一人の老人が杖を突きながら入室する。

 既にいた客人二人を見るなり、その杖を適当に転がして、

「久しぶりだな! ヨハネス、キルデリクよ!」


 合わせて立ち上がった二人の背に手を回して、この再会を激しく喜んだ。

 大陸内最大の王国『ヴェロナ』の国王、エイダン・ラーマン。

 勇者士官学校理事長、ヨハネス・フィンチャー。

 勇者軍総司令、キルデリク・ヴィルヌーヴ。


 現在存命の二代目勇者パーティーの三人が、ここに集結した。


 彼らは茶を交えつつ、世間話で場を温めた。

 話を切り出したのは、キルデリクである。


「ロスデモ島のテオボルド。彼とはこれからどう対処すればいいと思う。エイダン、ヨハネス?」


 先にヨハネスは言った。

「様子見でいいと思うよ。

 こちら側はリクゴーを失うという手痛い被害は被ったが、あの島もあの島で相応の被害は被っている。

 なにせ、一人のホムンクルスを犠牲にしつつ、魔王軍幹部四体を倒していたというのだからね。

 私は学校で何を教えているのかと保護者会で怒られそうだよ」


 ヨハネスの性格の悪辣さが漏れるような、クスクスという笑い声が落ち着いてから、エイダンは意見する。

「しかし民は不安がっている。連日、彼のことをかつての【勇者千殺】のように扱い、恐怖心を煽る報道が流布されているのだ。

 挙げ句の果てにはテオボルド氏がイバラと同一人物という眉唾ものの噂まで流れている。

 それに、あそこでは魔王軍も事実上の敗北を喫した。八つ当たりじみた行動を起こすかも知れない……」


「「だったらこっちは……」」


「……この年になって口癖が変わらなくてごめんよ。

 久々にあの『八人』のお世話になろうかと思っているんだ」


 ヨハネスとキルデリクはお互いの顔を見合い、そしてゆっくりとエイダンに合わせ直す。

「ほう、あの『八人』に、再び救援を求めるのかい……? 君の息子じゃなくて?」

「魔王が同時に九体も現れた、脅威度で言えば未だ最大の勢力を誇った第三次魔王戦線。その打開の鍵となった八人……のことだな?」


「ああ。一人ひとりが魔王に一対一で勝った、天才中の天才……彼らがまた人里に戻ってくれば、民は至極安心してくれるはず。

 また手を貸してくれるとは決まっていないけど、どうかな?」


 ヨハネスとキルデリクは、ただ首を縦に振った。

 真似るようにエイダンもうなづく。

「よし、じゃあそうと決まったら……ええと、アレはどこまで話したっけ?」


 そして三人は、茶会の続きを行った。


【To Be Continued…?】

 ここまでご愛読いただきましてありがとうございました。


 本作は私なりに執筆いたしました『追放モノ』となっております。

 イマイチパッとしない年齢高めの男が主人公として、『おじさん無双モノ』も意識しております。(いってもテオボルドは二十九歳なのでそこまでおじさんでもないけど)


 話の発想の元としたのは『勇者と魔王の対立構造に風穴を開ける』という点です。


 そこからアイデアを広げていき、ファンタジーの王道からズラした種族『ホムンクルス』をメインキャラクターとすることを決めました。

 同時に、ゲームで言うところの『通常のストーリーでは行けないステージ』というイメージもも思いついていきました。

 こうして本編における『ロスデモ島』が出来上がったというわけです。


 今まで勇者が勝つか魔王が勝つかのどちらかしかなかった世界に、第三の選択を切り開こうとするテオボルドの覚悟の奮闘……お楽しみ頂けた。と、私は一応信じております。


 そしてラスト。

 予め保険をかけさせていただきますと、ご覧の通り、露骨なクリフハンガーとなってしまいました……

 現時点ではテオボルドとホムンクルスたち、それから勇者軍と魔王軍の主要キャラの『ここからのこと』はモッサリ考えてあります。

 ただ今からすぐに続きを書く……となると、なかなか負担が大きく、満足の行く物語を提供できる自信がないため、現時点で一番収まりのいいところで完結とさせていただきました。

 もし私の意欲が湧くか、(これはよっぽどありえない事態でしょうが)親愛なる読者様の熱い要望があった場合は執筆しようかと思います。


 ここからは本作とあんまり関係がない話になります……が、それにしても本筋が何なのかわからなくなるくらい長くなってしまったので、こちらは別なところに置いておきます。


 とにもかくにも、きっとどこかにいるであろうと信じたい親愛なる読者の皆様へ。今後とも、本作ともども、よろしくお願い致します。


 作者:都Pより

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