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人を超えしモノ~AIが溢れる中で人としてどう生きる?~  作者: ゆる弥


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26.人を超えしモノ

 律が一人で奴の元へと乗り込みに行ってしまった。一人でどうにかできる様な奴じゃないぞ。

 

 他の人を犯人にして、ノウノウと生きている様なやつだ。律が危ない。後を追おうとするが守衛に止められる。向かう先はなんとなくわかる。


 AIキーがあればなんとかなる。止めてきた守衛を殴り飛ばしてSVを奪う。それでエレベーターのロックを解除すると律の後を追った。

 

 警報が鳴り響いた。俺が脱獄したからだろう。しかし、エレベーターは動いている。このAIキーは直通で目的の階へ行けるみたいだ。扉が開くと走ってでる。目の前の部屋の扉を開け放つ。

 

「律! 止めろ!」

 

 入った先では警視総監へ電子銃を向ける律がいた。椅子に深く腰を掛けて余裕そうな警視総監。

 

「一体何事だ? 律。父親へそんなものを向けるとは?」

 

「このSVに証拠が全部あります。あなたは殺人犯です。今、この場で罰します。生きている価値はありません」


 目を潤ませて訴える律。銃を向けている手が震えていて、今にも暴発しそうだ。ダメだ。撃っては。

 

「おぉ。あのデータが残っていたとはなぁ。わかった。須藤警部は解放しよう」

 

「馬鹿ですか? 自分の罪を認めてください」

 

「私は、そうやすやすと下りられる地位にはいないのだよ」

 

「黙れ!」

 

 律は興奮しているようで銃を今にもぶっ放しそうだ。

 

「銃を下せ! この人も死ぬぞ?」

 

 突然扉が開かれて入ってきたのは理玖だった。銃を突き付けているのは、優だ。


「お前……」

 

「せっかくAIを使わせない様にしていたのに、幹部が下手に娘をバディにさせるからこんなことになるんだ。お前みたいな人間は死ねばいいんだよ!」

 

 理玖は俺へとその言葉を投げる。なぜ、俺がこんなことを言われなければならないのか。衝撃の事実を知ることになった。


 警視総監は愉快そうに口を開いた。「理玖は俺の息子だ。そして、あの日殺された女との子だ」そう言ったのだ。


 頭が混乱する。そして沸騰しそうになった。一体どんな気持ちで理玖を育ててきたのか。真犯人は……。

 

「貴様が母親を殺したんでしょう! 汚らわしい!」

 

 律がそう叫ぶと理玖は眉をひそめた。

 

「どういうことですか?」

 

「戯言だ」


 警視総監はなんでもないようにそういう。

 

「証拠ならあります! これです!」

 

 律がAI装置の機能を利用してプロジェクターのように動画を投影した。そこには、女性と口論している警視総監。


 そして、苦笑いしながら銃殺する姿が映っていた。「あぁ。大変だぁ」とのんきに構えている。誰にも知られないと思っているのだろう。

 

「近藤さん、どういうことですか!?」

 

「喚くな。どうせこんなのもみ消すことになる。お前は俺の為だけに動けばいい」

 

「ふざけるな! 今まで騙していたのか!?」

 

「騙されるお前が間抜けなだけだ」

 

「なんだと!?」

 

「娘も役立たずとはな」

 

 そう口にすると律へ銃口を向けた。まずい。勘でわかった。本当に撃つ気だと。慌てて律の元へ駆ける。だが、何者かに行く手を阻まれて弾きとばされた。


 うめき声が聞こえたかと思うと理玖の胸の裏あたりから血が溢れていた。

 

「理玖!」

 

 駆け寄ると理久は口から血を流しながら、笑っていた。

 

「すみません。……下手打ちました」

 

「何やってんだ!」

 

「腹違いでも、妹を守りたかった。……そして……ぐふっ…………もう少し大我さんの部下でいたかった」

 

 アイツに利用されて俺を監視していたんだな。それはいい。生きてさえいればいいのに、コイツはもう助からないだろう。


 明らかに心臓を打ち抜かれている。横目に警視総監を見ると電子銃を撃って倒れた所を律が確保していた。優は無事だ。なんとかなった。

 

 実は、この会話は全て署内へと映像で流れていた。これで警視総監は終わり。律のお爺さんが当時の事件をもみ消したことがわかり、非難を受けた。


 だが、当人はすでに亡くなっている。なんとも都合のいいことだ。苦しむのは殺人犯の娘となった律だけ。その後、後任の警視総監が着任した。


 律は変わらず警部補のまま、俺とのバディも組んだままだった。ただ一つ変わったことがある。

 

「まさか、須藤警部が、私のお父様になるとは」

 

「その方が生きやすいだろう?」

 

 自分の父親の無実が証明された俺は、晴れて日の下を堂々と歩ける。そして、優と結婚して養子として律を迎え入れたのだ。そうすることで、律を守ることができる。

 

「そうですが、なんか癪に障ります」

 

「まぁ、そう言うな」


 煙草へ火をつけて紫煙を燻らせる。全部解決した後のこれは最高だなぁ。


「体に悪いですよ? ……お父さん」


「んっ? なんつった?」


「なんでもない!」

 

 俺が律と親密そうに話をしていると真ん中へと割って入る優。

 

「なぁんか仲が良さそうだから入っちゃおっ!」

 

 この明るさに俺達二人は助けられている。

 

 そうそう。メデューサだけど、あれは前の警視総監。つまり、律のお爺さんが使っていたらしい。今は逮捕され解体された。

 

 今は、理玖の墓参りだ。アイツは殺人犯の息子というレッテルを張られて亡くなった。手を合わせるとアイツの顔が浮かんでくる。


 俺は、老化していないからこのまま律のお爺さんになることだろう。


 その人種を世は、人を超えしモノと呼ぶ。

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