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◆暗黒竜VS女神ミルラ



◆暗黒竜VS女神ミルラ



あれから数日が経ち、いい加減 釣りにも飽きたころ、前方に小さな島影が現れた。


何やら、それは大発見だったようで、骸骨船員たちがアタフタと甲板を行きかっている。



島の近くまで来ると、船員たちが上陸用のボートを降ろし始めたので、キャプテンに交渉し俺とティナも乗せてもらうことにした。


ボートは10人ほどが乗れたが、今回は6名が乗り込む。


こちらから見た島の正面は切り立った断崖で、上陸できそうにないため、島の左に回り込みながら、上陸できそうな場所を探して行く。


すると島の裏側に、砂浜が広がる場所を見つけた。


上陸用ボートは、高い波に翻弄されつつも、何とか無事にその砂浜に乗り上げることが出来た。


骸骨船員たちは、船が沖に流されないよう、すぐさま近くにあった大きな岩に、船のともづなを括りつけた。



この島の周囲はざっと2Kmくらいだろうか。


砂浜の横幅も50mもない。 その端には小さな川が海に注いでいた。


この川をさかのぼって行けば、島の中心部まで行けるだろうか。


日が暮れると真っ暗闇になるため、アレフとティナは早速 川の上流へと歩きだした。



20分ほど歩いたところで・・


「アレフ、この島には何かヤバそうなものがいるみたいです」


ティナが何だか物騒なことを言い始める。


「おいおい、脅かすなよ。  恐ろしく強い魔物でもいるっていうのか?」


「違います。  魔物ではなく・・  なんと言えばいいのか・・ わたしの力にも匹敵するような・・」


「暗黒竜と同等とか?  おい、ティナ。 すぐに引き返そう!」



アレフがティナの手を掴んで引き返そうとすると・・


「待ってください。  もう手遅れです」


ティナが そう言うと同時に、後方の木々がバキバキと音を立てて、なぎ倒されて行くではないか。



「おい、ティナ!  浜辺まで全力で駆けるぞ!」


「アレフ! 待って。 ちょっと、あれを見てください!」


ティナの声にアレフが振り向くと、そこには人が立っている。


しかも、どうやら女のようだ。



「あなたたち!  そこで待ちなさい!」


するとその声で、アレフの脚がピクリとも動かなくなる。


「くそっ、いったいどうなっているんだ」


女は徐々に二人に近づいて来る。


どうやら危害を加える様子は、なそうである。



「あなたたち。 ここへは、いったいどうやって来たのですか?」


こちらも聞きたいことは、山のようにあるのだが、先に質問されてしまった。



「船で来たんだ。 島に人が住んでいるとは思っていなかったんだ。  申しわけない。 直ぐに引き上げるから・・・」


「待って、お願いです。  わたくしも一緒に連れて行ってください」


木をなぎ倒すような怪力女が目を潤ませ、懇願してくる。



「連れて行ってもよいのだが、俺たちも初めての航海なので、どこに着くかはわからないぞ」


「結構です。  わたくしは、もう2千年もの間この島にずっと幽閉されているのです」


「2千年だと!  ティナ、お前は石棺に何年閉じ込められてたっけ?」


「500年ちょっとですね」


「おまえ負けてるじゃん!」


「アレフ何を言っているのです。 年数の問題じゃありませんよ。 わたしは不意打ち、あの女は幽閉。 つまりあの女は悪者です」


「ちょっと。 あなた何をおっしゃっているのかしら。  わたくしは女神ミルラ、悪者のわけがないじゃないですか!」



罵り合いが始まり、両者の間には徐々に火花が散り始める。


言葉の綾ではなく、本物の火花がバチバチと飛んでいる。



「おいっ!  お前たちその辺でやめとけ!  お互いの事をよく知りもしないで言い合いはよくないぞ」


アレフは、とばっちりを受けるのが嫌なので、一応止めに入る。



「わたくしは名乗りましたわ。  で、そこの女!   あなたはいったい何者ですの?」


「よおく お聞きなさい! わたしは暗黒竜。 竜一族の中の最強竜です!」


「なっ!  わたくしをこの島に閉じ込めたのは、雄の暗黒竜・・・ 確か名前は・・ アーチ・・」



「はっ!?  アーチごときに不覚をとるとは、女神さまも大したことはありませんわね」


ティアが珍しく煽る。


「な、なんですって!  あなたは、あの暗黒竜を知っているのですか?」


「アーチは、我々一族の中で最弱なのです。 一度紅神龍にも負けたくらいの弱虫ですよ」


「くっ!」


女神はプライドを傷つけられ、めっちゃ悔しそうな顔をする。


「おい、もうやめておけって!」


アレフは女どうしの、いがみ合いほど怖いものはないというのを何度も経験している。


「とにかく、船に乗せるにはキャプテンの許可がいるので、とりあえず俺たちと一緒に来てもらおうか」


「わかりましたわ」


「チッ」 ←ティナ




こうして女神ミルラは、その美貌でキャプテンを魅了し、結局船に乗り込むことになったのであった。




挿絵(By みてみん)

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