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夏目碧央の長い一日~大阪・関西万博ボランティア面談~  作者: 夏目 碧央


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新大阪駅の大騒動

 新大阪駅に着いた。新幹線への乗り換え口はすぐに分かった。ああ、ここまでJRで来てしまったから、このままだとSuicaが困った事になる。一度改札を出て、新幹線の切符を買ってから入ろうかという考えが、チラッと頭をよぎった。だが、今日来る時に品川駅の新幹線改札口で、紙の切符を入れつつ、何かをピッとやって入っている人がいたのを思い出した。そうか、最近は切符と交通系ICカードと併用できるようになっているのだな、と思った。

 それなら、このまま乗車券はSuicaで、特急券だけ券売機で買えばいいのではないか。そう思った私は、券売機の列に並んだ。券売機はたくさんあるので、数人並んでいてもすぐに順番が回ってきそうだ。一方、隣の有人窓口にはかなりたくさんの人が並んでいた。そちらは時間がかかりそうだ。外国人とか、何か特別な切符の人が並んでいるのかなと思った。

 券売機で特急券だけを買った。その時に「目的地までの乗車券はお持ちですか」という文字が出てきて、まあ、持っているとは言えないけれど、Suicaを持っているからOKでしょ?と思って「はい」を押した。

 切符を買った後、Suicaの残高が足りないかもしれないので、チャージする機械で1万円をチャージした。もう帰るだけだし、現金はほとんど持っていなくても大丈夫だろう。最近はスマホ決済やクレジットカードなど、現金以外での支払いでほとんど事足りるから。

 さて、切符も買ったしトイレに行って、それからお土産も見ようか。

 最初は新幹線の改札の中へ入ってから買うつもりだったが、手前にたくさんお土産屋さんがあったので、そちらへ寄ってみる事にした。出来れば19:18の新幹線に乗りたかったが、もう19時を少し過ぎてしまったし、まあ19:30でもいいだろう。

 家に帰ってから酒を飲もうと思っているので、ちゃんとした夕飯は食べないつもりだが、既にお腹が空いるのに10時過ぎまで食べないのはキツイから、何か少し食べようと思い、お弁当などが売っているところへ行ってみた。するとこれが良い。お弁当だけでなく、焼き鳥とかサラダとか、ポテトとか、ちょっとだけ食べたい人にちょうどいい物がものすごくたくさん並んでいた。要するにおつまみだな。ああ、どれにしよう。ポテトサラダも良さそうだし、温野菜のお惣菜も良さそうだ。

 迷った挙句、買ったのが「ムネネギ串レモンペッパー」と「クルクルポテト」。別々の店で、1本ずつ買った。なんか、レモンペッパーにそそられた。また、クルクルポテトならコリアンタウンで食べられたのに、なんだかやっぱりそれが食べたくて。もっとおしゃれな感じのポテトも売っていたのに。

 食べる物は買ったし、後は家族へのお土産だ。しかし、甘い物ばかりで家族全員の好みに合う物が見当たらない。冷凍のたこ焼きを買おうかと少し迷ったが、こういう美味しいのではないにしても冷凍庫にはたこ焼きが入っているしな、と思って辞めた。うん、やっぱりうちの家族が喜ぶのは551だよな。かつて、大阪にとんぼ返りした時に、珍しく全く並んでいなくて買おうかどうしようかと迷った551の豚まん。あの時は次男が何も食べられない状況だったから、そんな時に、いくらいつも行列のできる店が空いているとしても買うのは憚られ、買わなかったのだ。

 ということで、新幹線の改札を入ってから、豚まんを買おうと思った。だから、お土産は買わずに改札を通る事に。

 改札機に特急券を入れ、Suicaをピッとやろうとした。けれども、Suicaは全然反応しない。画面には「乗車券を入れてください」と出ている。おやおや、困ったぞ。後ろに並んだ人も注目している。どうしよう。

 すると、一定時間が過ぎたのか、入れた特急券がまた入れた所から出てきた。窓口へ行けと書いてあった。

 改札横の窓口のところから入ろうとした。そこは出てくる人の列があって忙しそうだったが、入る人が1人窓口へ行ったので、その後ろに並んだ。前の人は何か青いカードを持っていて、スマホにSuicaが入っているみたいで、両方を読み取ってもらって中へ入って行った。

 私の番になった。Suicaでここまで来た事と、特急券を入れても入れなかった事を話した。すると、駅員の若い女性は、

「新幹線の乗車券が必要です。Suicaで買えますよ。」

と、すぐ横にある券売機を手で指示した。私は、ああ、そこの券売機で買えるのか、と思った。

 だが、そこは普通の券売機ではなかった。予約した切符の発券機だった。じゃあ今の駅員さんの手は何だよ、と不満に思いつつも、やっぱりさっきの券売機に行って、乗車券だけ買えばいいと思った。

 というわけで、再び券売機へ。さっきよりも空いていて、並んではいなかった。ちなみに券売機は7つか8つくらい並んでいる。

 そのうちの1つのところに行って、財布を出し、乗車券のみの購入へと進んだ。すると、特急券とSuicaを入れるようにと促された。入れた。すると、

「このお手続きは、この機械ではできません。有人の窓口へお越しください」

と画面に出てきた。え、そうなの?つまり……この長蛇の列に並ぶのか!すぐ横の、例の列だ。

 仕方ない。もうそろそろ19:30だが、どうせ豚まんも買うし間に合わない。まあ、帰る時間が遅くなるというだけだ。諦めて、列に並んだ。本を読んでいればさほど苦にならなかった。ずっと、男性の駅員さんの日本語訛りの英語が聞こえていた。やはり外国人が多いのだろう。

 そして、15分程並んだ頃、そろそろ自分の番が来そうだからと、本をしまって財布を出そうとした。そうしたら、ない!財布がバッグに入ってない!

 エコバッグの中も見た。乱雑に色々入っているから、瞬時にないと判断できなくて、周りをキョロキョロしたり、もう一度バッグを見たりして、またエコバッグの中を探る。が、やっぱりない。あ!そうだ、さっき券売機の前で出して、そこで買えなかったからそのまま置いて来てしまったのだ。動揺していたから……。

 急いで列を抜け、券売機の元へと走ったが、当然財布はなかった。ああ、どうしよう。

 とにかく駅員さんに聞いてみよう。キョロキョロして、新幹線の改札口にいるのを確認し、駅員さんの元へと急いだ。すると、手前で誰か他の人が駅員さんに話しかけ、その話がなかなか終わらない。居てもたってもいられず、改札口のもう少し奥にいる駅員さんのところへ行った。

「15分くらい前に、券売機のところにお財布を置いてきてしまったんですけど。」

と言うと、

「こちらには届いていないですね。券売機のよびだしを押してもらうか、東口の改札のところへ行ってみてください。」

と言われた。東口?よく分からないので先程の券売機のところへ行き、よびだしボタンを押した。これ、いつもどこから顔が出てくるのか分からない。すると、やっぱり予想外な所がガタッと開いて、男性の駅員さんが顔を出した。

「あの、15分くらい前にこの券売機で……」

と言い始めたら、

「お財布ですか?」

と聞かれた。そうだと答えたら、

「届いてますよ。」

と。良かったー!東口の改札にあると言われて、どこ?という顔をしたらご案内します、と言ってくれて、すぐに駅員さんが出てきた。どこから出てきたのか分からなかった。あまりにあっという間に横にいたのでびっくりした。

 改札口に行く道すがら、

「財布の中にも外にも身分証明書があって良かった。」

という話をした。それならば、自分のだという証明が簡単だから。外へ出る改札口横の部屋に駅員さんが入って行った。鍵を開けて金庫、じゃないか。ロッカーみたいなものを開けたが、何も出さずにまた閉めて出てきて、

「少々お待ちください。」

と言って、どこかへ行った。その間に、別の女性の駅員さんが出てきて、名前や住所などを書く紙を渡された。どちらの駅員さんも親切で優しい。名前などを書き終えた頃、さっきの男性の駅員さんが私の財布を手に戻ってきて、

「身分証明書が入ってるんですよね?じゃあそれを、開けて出してください。」

と言われ、私は自分の財布を開けてマイナンバーカードを出した。それを駅員さんに渡すと、駅員さんは名前や住所などを照合していた。そして、

「中身、確認してください。」

と言われ、

「クレジットカードもあるし、大丈夫です」

と言うと、

「お金は大丈夫ですか?一応金額はこちらで5,923円だと確認していますが。」

と言う。そう、さっきチャージしたから万札はなくなっていた。なんか、こんなところで所持金が少ない事を恥じる事になるとは思わなかった。やっぱり、さっきチャージしたから、と言い訳してしまった情けない夏目碧央である。

「ありがとうございました!」

と、心からお礼を言って、ああまた並ばなきゃと思い、窓口の列に並んだ。そう、後で思い出したのだが、お財布を届けてくれた人に対するお礼の事を、すっかり忘れていた。交番とは違うから、お財布を拾ったらお礼に1割もらえるというのはないのだろうか。先日私の父が、飲食店でお財布を拾って店員に渡したら、そこへちょうど持ち主が現れて、この方が拾ってくださったんですよと店員が言ったのに、お礼なしだったと言っていたのだ。しかし、実際お財布を落としてアタフタしていると、見つかった時にお礼の事まで思い至らないものだ。だが、父の話では、お礼の言葉すらなかったという事だった。私なら届けてくれた人にも感謝の意を存分に示したと思う。いずれにしても、1割では600円にも満たない額だったのだが。

 さて、今度は10分くらい並んで、自分の番になった。Suicaでここまで来たと言ったら何かピッとやってくれて、もう大丈夫だと言われた。そして特急券を渡して乗車券をくださいと言うと、

「東京駅から乗り換えますか?」

と言われたので、

「品川です。」

と言った。品川から最寄り駅まで行く旨を伝え、最寄り駅まで使える乗車券をもらった。

 そう、前回新幹線に乗った時は特急券と乗車券と2枚だった気がするのに、今日行きの切符を買ったら1枚だったのだ。そういうシステムになったのだろう。ま、今は手違いにより2枚になってしまったが。

 ああ、20時を過ぎてしまった。とんだ時間ロスだった。色々と間違え、財布まで落とすなんて。

 新幹線の改札を無事通過し、電光掲示板を見ると20:06の“のぞみ”があった。だが、これから豚まんを買うので無理。その次が20:15の“のぞみ”。うん、それにしよう。

 ウロウロしたら、551を見つけた。少し並んでいるが、まあ15分までには買えるだろう。

 と思って、店員が立っているところへいくと、

「あちらのドトールの横にお並びください。」

と言われた。何の事かと思ってあちら、と示された方を振り向くと、向かい側にあるドトール(コーヒーショップ)の横に行列が出来ていた。うわぁ、そっちか!10人以上並んでいる。とにかく時間ギリギリまで並んでみるか。

 最後尾につき、そういえばウエブ連載中のエッセイの、今日の分の宣伝を流していない事を思い出し、Xを開いて書き込んでいると、前の人に番号札が渡された。私の前で一度切られ、

「お次にお呼びしますので、もう少々お待ちください。」

と言われた。列の一番前まで歩いて移動する。案外あっという間に最前列だった。ふと、何を買うか決めねばと思い、看板を見た。豚まん4個入りと焼売10個入りがあるみたいだ。

 すると、もう私の番になった。私は1の番号札を渡され、そしてほんの少しの後、551の前に移動していいと言われ、すぐ番号札を回収され、1のレジへと進んだ。一番奥だ。つまり、番号札の数だけレジがあるようだ。だけど、なんかおかしくないか。番号札を渡してすぐに回収するなんて。番号札は本当に必要か?札がないと何番のレジだか分からなくなって混乱するのかな。

 レジへ行き、豚まんと焼売を注文した。そこで、有料の保冷バッグを付けるかどうか聞かれた。そこにはでかでかと書いてある。3時間以内なら無料の袋、3時間以上なら有料の保冷バッグと。

「ちょうど3時間くらいで着くので、無料の方で。」

と言うと、紙袋に豚まんなどの箱を入れてくれて、それからビニール袋に入ったからしを入れ、上からポンと小さい保冷剤を置いてくれた。うん?チルドという事は要冷蔵で、今も冷たい状態なのに、どうしてこれで3時間も常温に置いて大丈夫なのだろうか。箱の中に保冷剤が入っているのだろうか。いや、それならこの上からポンと置いた保冷剤は不要ではないか。それより、551の保冷バッグなら持っていたのだから、それをここへ持ってくれば良かった。今度大阪に来る時には持って来よう。あ、いや。嵩張るから持ってこないかも。(ちなみに、箱の中に保冷剤はなかった)

 まあ、今はそれどころではない。時刻は20:10だ。乗るべきのぞみが27番線だという事は覚えていたのに、さっき27番線はちょっと奥まっているけれどもここだ、と見つけておいたのに、方向が分からなくなった。あれ、こっちだっけ、あっちだっけ……。

 何とか見つけた。そして、小走りに向かう。エスカレーターか。また申し訳ないが左側を歩いて上る。そうだ、飲み物を買っていない。さっきお総菜屋さんでコーン茶でも買おうかなーと思ったが、結局その店では買わなかったのだ。

 自由席は1~3号車だ。ホームに着いてからその3号車までが長い。そこもさーっと小走りしながら途中の自販機で爽健美茶を買い、またさーっと小走り。おう、もう1分か2分しかないぜよ。

 3号車にたどり着いた。混んでいる。2号車へ行ってみよう。まだ混んでいる。時間は大丈夫か?でも一応1号車まで行ってみよう!

 頑張った。1号車に乗れた。よかった、こっちはまだ座席に余裕があった。3人席が全て空いているところを見つけたので、そこの窓際の席に座った。そして新幹線は発車した。おー、間に合った。


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