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藤村君と鈴村さん。  イケメン男子とその幼馴染  作者: るい
小田翔真は知っている。
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小田翔真は知っている。②

小田翔真は知っている。はこの話で終わります。

俺は紗彩から告白された。


俺はその頃、運動神経は抜群だがちょっと背が伸びない、八重歯がかわいいラブリー顔だけど童顔で落ち着きがない、人気者でたくさんの義理チョコをもらえたけど本命チョコはもらえない、という、自分の人生にちょっと残念な気配が漂ってきていて焦っていたので、本当に驚いた。


「俺のどこが好きなの?」


告白してきた紗彩にちょっとカッコつけて聞いてみた。


「運動神経がいいとこと、八重歯がかわいいとこと、やさしいとこ。」


「やさしい?俺が?」


「うん。いつも皆が楽しい気持ちでいれるように気を使ってくれるでしょ?そういうところが好き。」


「へえ、そうなんだ・・・。」


「そうなんだって・・・。」


「あ、ごめん!いや、まさか俺がやさしいとか、そういうふうに言う人がいるとは思わなかったからびっくりして。」


「・・・で、私と付き合ってくれる?翔真君。」


「あ、うん!喜んで!これからよろしく!」




それからというもの、俺の人生は順調そのものだ。



そして俺は、身長で負け、勉強で負け、モテ度で負け、俺が得意な運動でもなかなか簡単には勝たせてくれないハルに唯一勝てた事として自慢しまくった。


「彼女、いいぞー。彼女、作んないの?あ、ハルは欲しくてもできないのか、彼女。」


俺がそんな風にからかうと、ハルは唯一の負け要素に不愉快さを隠して無表情かつ無言で俺の髪の毛をグシャグシャにする。


そのやりとりが俺は気に入っていた。




そして、高校2年の冬休み。



紗彩とのデートに行くために駅に向かっていたらハルとヒナが歩いてきた。



ハルとヒナはいつも登下校を一緒にしているが、それは部活が一緒で家が隣だからだといえばそうだろう。


ハルとヒナは毎朝一緒に犬の散歩をしているようだったが、それも子供の頃からの習慣と言えばそうだろう。


ハルとヒナはよく一緒に買い物をしているのも見かけるが、それは母親を小さい頃に亡くして「母ちゃんが勝手に洋服を買ってくる。」という思春期には超迷惑なシステムがないハルが洋服などの生活に必要な物を買う時には、ヒナの付き添いが必要なんだろう。なんてったってハルは本来物欲がないから積極的に下調べとかもしないだろうし、センスもないし(多分)、コミュニケーション能力もないから店員にアドバイスも聞けない。弟がいてセンスもいいヒナに付き添ってもらわなかったら買い物なんてできないんだろう。


だから、俺はハルとヒナが一緒に歩いているのを見ても特に驚かなかった。





「お!ハル!お?ヒナ、何?二人で出掛けんの?」


俺の想像通り、嫌そうな顔をしてハルが言った。


「なんだよ、翔真。」


いつもクールで無表情なハルだが、ヒナと一緒にいる時間を邪魔されるとあからさまに嫌な顔をする。


俺はハルのその顔を見るのが楽しくてからかいながら歩いた。



「翔真君、今、誰と付き合ってるの?」



その会話の中でヒナが俺に聞いた。


夏にケンカをして紗彩と一度別れた時、俺が騒いでいたのを覚えていたのだろう。


俺と紗彩の運命の話をしようとしたが、いつものようにハルは聞く気がない。


ヒナも女子高生にしてはあまり恋愛に興味がなく、聞く気がなさそうだった。



悔しかった俺は、ハルの手をひっぱってヒナに聞こえないように言った。


「協力するぜ、ハル。」


俺は、普段は俺がハルのヒナへの気持ちに気付いている事を口には出さないが、この時はつい口走ってしまった。


ハルはその事に気付いたのか気付かなかったのか、無表情なまま俺の手を振り払い、ひなたの手を取って歩き出した。


やばい。


ハルから出ている不機嫌オーラがハンパねえ。


なんとか持ち直そうとしていたら、俺はふと気づいた。



あれ?今日のヒナはすごくかわいくしている。


あれ?ヒナがこんなにおしゃれしているのは珍しい。


あれ?そういえばハルとヒナが大きくなってから手を繋いでいるのを初めて見た気がする。


あれ?二人の関係に変化を感じるぞ!


俺はハルとヒナに詰め寄ったがあっさりかわされ、逃げられた。



まあ、いいや。


二人の事はまた時間がある時にゆっくりからかおう。



ハルは将来医者になるはずだし、ヒナは栄養士の資格をとって子供たちにおいしい給食を食べてもらうのが夢だと言っていたから、高校から先の進路は違ってしまう。だから、一緒にいられる高校生のうちに二人の関係は何かしらの変化を見せるはずだ。


俺たちの高校は普通科で表向きは「進学校」とされているが、影では「受験校」と言われる進学率がイマイチの学校で、医大に合格するためには本当の進学校に通っている奴らよりもそうとうな自発的な努力がいるだろう。


だから今年、ハルは受験勉強に忙しくなるはずだ。用意周到なハルの事だから本格的に忙しくなる前には告白する算段をしているだろう。


もちろん、相談された事なんてないけれど。


恋愛に興味の薄くて天然鈍感のヒナに告白してOKをもらうというのは、イケメンモテモテで、いつもヒナと一緒にいるハルでも、いや、ハルだからこそ?苦労するだろう。


その過程にはものすごく興味がある。



いや、しかし。



とりあえず、今からの紗彩とのデートのほうが大事だ。







小田翔真は知っている。



人生で大事な事は何なのか。




小田翔真は知っている。


ハルが一途にヒナを想っている事。



だから、ハルとヒナには幸せになって欲しいと思っている。



成功者の余裕ってやつだな。うん。




俺の青春もまだまだ続く。










小田翔真は知っている。を読んでいただいてありがとうございます。


どうして小田翔真は藤村君と鈴村さんのデート現場をみても学校でいいふらさなかったのか?がわかりにくいかなあ、と思い書き足しました。


でも、この話でもわかりにくかったですかね・・・。


すみません。


藤村兄と鈴村さんが付き合っているという話もわかりにくいかと思うので、頑張れたらそれも書き足すかもしれません。


需要とあっているかは甚だ不安ではありますが・・・。


それでは、また、お時間がありましたらお付き合いくださいませ。

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