終業式の後
遅くなりました
今回から新章に入ります
夏の暑い日、俺は校門の前である女性を待っていた。
「みさきく~ん」
その待ち人は唐突に俺の後ろから現れ、俺の背中に抱きついてきた。
制服越しでも分かるような豊満な胸と長い黒髪をサイドポニーにまとめた元気な女の子が今俺の背中にいる。
「立石さん、抱きつかないで下さい」
俺はそういうと後ろにいる立石美優にそう言った。
「で、今日はどちらに向かうんですか?」
「う~ん何も考えてなかった。歩きながら決めよっか」
そう言いながら隣にいる美優は俺の手を握り歩き始めた。
俺はこの前約束した美優と出かける約束を今果たしている。
そして、学校が終わった後校門で待ち合わせてこうしてこれから駅前のショッピングモールに向かっている。
「立石さん、ちょっと手をつなぐのは恥ずかしいので、手をお互い話しませんか? 恋人同士ってわけでもありませんし」
「じゃあこれならいい?」
そういうと、今度は俺の腕に美優の手を絡めてきた。
ちょっとまった。
当たってる、当たってるって。
「ダメですって。色んな人に誤解されますんでやめてください」
「じゃあこれで行こう。レッツゴ~」
「俺の話を聞いてくれー」
俺の話を聞かない美優に腕を引かれながら俺等は駅前のショッピングモールを目指した。
「何よ雄二、あんなに美優といちゃいちゃして」
「うぬぬ……雄二め。何鼻の下を伸ばしておるのじゃ」
私と真奈は現在駅前のショッピングモールに来ていた。
目的?
もちろん、美優と雄二のデートの尾行である。
あの朴念仁でどんな女の子も最終的には手篭めにしてしまう婚約者の雄二を見張るためである。
そのことを真奈に話すと真奈も喜んでついてきてくれた。
あらかじめ今日のことは真奈も私も知っていたのでこうして隠れて尾行していたわけである。
「美雪よ。雄二達はあっちのショップに入って行ったぞ」
そう言い真奈が指をさしたのは可愛い小物が人気の雑貨店だった。
「美雪、何しておる? 童達も入るぞ」
「分かってるわよ。真奈もそんなに焦ってはいると見つかるわよ」
私は真奈に注意を促しながら、雄二達が入って行ったショップに向かった。
「岬君見てみて。このぬいぐるみとか可愛くないかな」
「あぁ、確かに可愛いですね」
「私とどっちが可愛いかな?」
「どっちも同じくらい可愛いですよ」
さっきから美優は俺にこんな質問ばかりしている。
今俺と美優は駅前のモールのファンシーショップにいる。
中にはくまのテディーベアーやパンダのぬいぐるみなど女の子の好きそうなものがいっぱいあり、確かに美優が好きそうな可愛いものがたくさんあった。
「うわ~このパンダのぬいぐるみかわいいな~」
そう言いながら笑顔でパンダのぬいぐるみを抱いている美優は確かに可愛かった。
ただ、俺には美雪と言う大事な人がいる。
美優とは付き合うわけにはいかない。
「岬君はどう? このぬいぐるみ可愛いと思わない」
そう言い、パンダのぬいぐるみを見せてくる美優。
確かにこのぬいぐるみは可愛い。
でもその横でパンダと顔を並べている美優の方が何杯も可愛かった。
でもそんなこと本人には絶対俺は言わない。
美雪に後で怒られるしな。
「可愛いと思いますよ。立石さんにすごく似合うと思います」
「本当? じゃあ買っちゃおうかな」
そういい、美優はぬいぐるみを胸に抱きこちらに振り返る。
「じゃあ私レジ行くからそこで待っててもらってもいい?」
「分かりました。じゃあ俺は外で待っています」
そういい、俺はファンシーショップの前で美優を待つことにした。
「美雪、雄二が出ていくぞ」
「私達も出るわよ」
私と美優はファンーショップの陰で2人のことをずっと見ていた。
美優が可愛いものが好きなのは知っているが、雄二は美優に対してデレデレしすぎだと私は思う。
それは美優は可愛いし、胸も大きしい性格もいいから分からないことでもない。
でも、もう少し雄二は私のことを見てくれてもいいと思う。
「美雪よ、雄二の様子はどうじゃ?」
「う~ん特に何も動きがないようじゃな」
さっきから雄二は店の外に立ったままボーっとしている。
その姿は何か考えているような顔もしているが、何を考えているのかまでは分からない。
「美雪。雄二がまた店に入って行くぞ。追うのか?」
「いいえ、やめましょう。今ここで入ってもはち合わせる可能性が高いわ」
また入ったってことはすぐ出てくることもあるはず。
私達が入って行くときにはち合わせたら色々大変なため、ここは外で待つのが無難だろう。
でも雄二は本当に自分の仲間にはすごく優しい。
美優にしても、友梨亜ちゃんにしてもすごく優しく接している。
ただ、時より誰よりも冷酷な目をすることがある。
由良に対してがまさにそう。
いっそ殺してしまうんではないかと言うほどの目で由良を睨んでいる。
だからこそ私は雄二の過去を知りたかった。
私と出会う前、私が知らない雄二のことを私は知りたかった。
「今日はありがとう。買い物に付き合ってくれて」
駅に着いた途端、彼女は俺にそう声をかける。
ファンシーショップを出た俺等は、駅前のコーヒーショップに入った。
そこで彼女とたわいもない話をし、時間も夕方になったため、俺等は駅へと向かった
「それにしてもこんな感じで良かったのですか?」
「うん、私は楽しかった。それにこれ、ありがとう」
そういい、美優は俺に向かって携帯のストラップを見せる。
パンダのマスコットが特徴の可愛いキャラクターのものだ。
これは俺が美優に買ってあげたものだ。
遊びに行った記念にはちょうどいいと思い美優に買ってあげたものだ。
「立石さんが喜んでくれるならそれでいいですよ」
なるべく気味悪がられないように俺は美優にに対して笑顔を向けた。
しかし、何故か美優の機嫌は悪くなる一方だった。
俺は何か悪いことでもしたのだろうか?」
「なんかさ……岬君って私に対してよそよそしいよね」
「そんなこと無いですよ。僕は決してそんなこと」
「ほらまた敬語で話す。葛城君と話しているみたいに私にもため口でいいのに」
そういうと美優はふてくされたようにそっぽを向いた。
「わかった。これでいいか? 立石さん」
「後、私の子と美優って言ってくれなきゃやだ」
どうやら俺はまた、美優のご機嫌を損ねてしまったみたいだ。
女の子って本当に分からない。
美優だけでなく、美雪や沙耶や真奈もそのようなことがあるから本当にかなわない。
「分かったよ、美優。これでいいか」
そういうと美優の顔がぱあっと輝いた。
「うん。私も岬君のこと雄二君って呼ぶね……それと」
そういうと美優は俺の方に近づいてきて自分の携帯をこちらに出してきて。
「携帯のアドレス交換しよう」
そう言い、俺に携帯を見せてきた。
「ただいま」
「お兄ちゃんお帰り。ご飯は今日いるよね」
友梨亜は玄関で俺を迎えてくれた。
今の友梨亜の姿は、学校の制服にフリルがついたエプロンをきている。
多分男が見たら魅力的に映るんだろうが、友梨亜を毎日見ている俺は何とも思わない。
そうして、リビングに入ると何故か見知った顔の奴がいた。
「お帰り雄二。今日はさぞかしお楽しみだったようで」
「雄二よ。今日は忙しかったらしいな。詳しくその話をきかせてくれぬかのう」
リビングのソファーに仲良く2人で座り、こちらをじとっとした目で見る真奈と美雪。
そう言えば真奈には学校の用があるって言ってたっけか。
「悪い悪い。それよりも2人にお土産があるんだけど」
首をかしげる2人をよそに俺は鞄に入っていたあるものを2人に渡した。
「真奈にはこの熊のキーホルダーで、美雪にはこっちの馬のキーホルダー」
そういい、俺は可愛らしいマスコットのデザインのキャラクターのキーホルダーを2人に渡した。
ファンシーショップの外に出た後、2人が喜ぶかなと思い俺は店の中に入ってキーホルダーを購入した。
他にも沙耶にはパンダのキーホルダーを買い、友梨亜にはコアラのキーホルダーを買った
2人は驚いていたが、すごく喜んでいてくれたようでよかった。
やっぱり買ってきて良かったな。
「今日、お店によった時2人に合うかなって思ったんだ。いらなかったらどこかに捨ててくれ」
「そんなこと無い。これは大切にするから」
そういい、美雪は自分のバッグにキーホルダーをつけていた。
「今日は真奈ちゃんがリクエストしたビーフシチューですよと……あれ、皆さんどうしたんですか?」
そう言い、友梨亜はリビングを見て驚いていた。
この光景の何がおかしいのだろう。
2人とも喜んでくれて、最高の光景だろ。
「いや~今日お兄ちゃんがデートだって聞いていたから今から修羅場になるのかなって思って……」
その言葉にはっとした表情をする2人
友梨亜の馬鹿野郎。
何を余計なことを言っているんだ。
「そう言えばそうよ。雄二、あなた達が何をやっているか利かせてもらいましょうか」
「そうじゃ、あのファンシーショップで何があったのかも詳しく聞こうかのう」
「ちょっと待て、俺が今日ファンシーショップに行ったことをお前らは知ってるんだ?」
そういい、2人ははっとした表情をした。
さてはこいつら俺の後を今日1日ついてきていたな。
「しょうがないでしょう。夫の動きを把握するのは妻としての務めなのだから」
「お主は童の所有物なのだから童が監視していないとだめじゃろう」
2人ともよくわからないことをいっている。
それにさ、美雪。
最近妻って……俺とお前はまだこの世界でまだ結婚していないぞ。
真奈、俺はお前の所有物になった覚えはないぞ。
「とにかく雄二、今日のことを洗いざらい話しなさい」
「そうじゃ。そうじゃ」
俺は嘆息しながらも2人に向き直る。
ビーフシチューを持ってきた友梨亜は、「修羅場、修羅場」と楽しそうにこちらを見ている。
さてと、どこから説明すればいいのか?
怒っている真奈と美雪と楽しそうにしている友梨亜を見ながら俺は今日の話をどう説明しようか考えていた。
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ストックがきれました。
何とか今日中にストックを作ってきます。




