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デートに始まり

 昼食とおしゃべりを済ませ、一服ついた僕たちは再び『ウィンドウショッピング』を楽しんでいる。

「で、肝心な事を聞き忘れているんだが?」

「何?」

 雑踏を歩きながら問答再開。

「アカリって、僕の何処に惚れたの?」

「!!!」

 (おとこ)に変化球は要らない、いつでも全力火の玉ストレート!

「…お、お、応援している姿。」

「オウエン?」

 アカリは確か運動部ではない、まして他校の生徒。

 僕が応援団に所属していることは周知とは思うけど、その活動と彼女との接点が思い当たらない。

「そうよ!

 アンタが人を応援している姿に一目惚れしたの!」

 腕を引っ張り、自分へ振り向くよう強制するアカリ。

「いやいや、僕が応援団で活動してる姿って見たことないでしょ?」

 思わずおどける僕。

「覚えてる?

 ここで貴方が、迷子になって泣いていた小さな兄妹を励ましてた事。」

 往来の中、二人の歩みが止まる。

「しかも、白い長ラン(正装)姿で、大きな声とリアクションで…。」

 何となく思い出してきた。

「可愛そうに兄妹揃って、泣くのもやめて震えてたのよ。」

「あちゃー、そうだったんだぁ…」

 覚えてますよ、変な笑顔が張り付いた幼い兄妹の姿。

「まぁ、その騒動で程なく親御さんも見つかり、万事解決ってなったのよね。」

 人差し指を立て、可愛くウインクするアカリ。

「…見てたんだ。」

「ええ、物陰からバッチリ!

 だいたい、あんな大きくて聞き覚えのあるモノがこだませば、気にもなっちゃうでしょ?」

 ああ、黒歴史の一部を見られていた事を知り、うなだれる僕。


 その瞬間、肩に何かがぶつかってきた。

「よぉ、兄ちゃん。

 先程はどうも♪」

 気がつけば20人くらいのチャラいお兄さん達に囲まれている。

 往来もすっかり途絶え、闘技場(コロシアム)状態。

「お礼参りに来たぜ。

 隣のお嬢ちゃんもこちらにもらい受けるぜ。」

 ニチャニチャと嫌な笑みを浮かべ、僕らに語りかける男達。

「はぁ~…ごめんなアカリ。

 こんな喧嘩に巻き込んで。」

 ホント、申し訳ない。

「良いわよ♪

 アンタの彼女になったんだし、『パンチでデート』ってのもオツね。」

 アカリ、普段の戦闘モードに遷移完了…気になる発言が耳に残るが。


「野郎ども、かか…!」

 リーダーらしき男が右腕を振り上げ合図を出そうとした刹那、その右腕を掴む一回り太い腕。

「せ、先輩?」

 見覚えのある長ラン(正装)姿の高校生六人組がチャラ男達の後ろに立っている。

「な、なにしやが…ぐへぇっ!」

 リーダーは振り返り先輩に殴り掛かるが、顔面を潰され気絶する。

 先輩方が口上を述べる。

「我等これより修羅に入る。

 鬼を見れば、鬼を蹴散らし。

 仏を見れば、仏を殴り倒す。

 草木一つに至るまで、尽く平らげるものなり!」


 この口上が合図となって、六人全員がチャラ男さん達に殴り掛かる。

「あ~あ、始まっちゃった。」

 アカリの肩を叩いて緊張を解く。

「この喧嘩は先輩方が買上げた。

 もう、見物するしかないよ。」

「はっ?」

 アカリの目が点になり、視線をこちらに向ける。

「ねっ♪」

 眼前に広がるチャラ男さん達の地獄絵図にはあえて目をつむり、僕はただアカリに笑顔を返すばかりだった。

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