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麗人の告白

「急に止まって、どうしたの?」


不思議に思って見上げると、フロレンスは目を泳がせていた。


「そういえば、ジークヴァルトはどうしたんだ?」

「はい?」

「いや、病気だと聞いたから…」

「ああ、お兄様は少し重い流行り病を患ってしまって…しばらくは社交界に出られないと思うわ」


心配してくれているフロレンスを騙してしまっているのかと思うと、胸が痛む。

罪悪感で顔を上げらずにいると、急に両肩を、がっちりと掴まれた。


「ジークは大丈夫なのか!?命に別状は?」

「お、落ち着いて、フロレンス。お兄様は大丈夫だから!」


驚いて、思わず大きな声が出してしまう。

僕の肩を掴むフロレンスの手は震えていて、怖いぐらい真剣なことを伝えてきた。


「すまない、驚かせてしまって」

「本当に、どうしたの?」


僕の声に正気を取り戻したフロレンスの手が、肩から離れていく。

まるで動揺を隠すように、彼女の顔は僕から反らされた。


「…、…君は知ってるだろう、私がジークヴァルトのことを、好きだって」


───初耳ですが?


心の声が外に漏れないようにごくり、と飲み込むと、僕はゆっくりと頷いてみせた。


「そう、だった、わね?」

「とにかく、無事なら良いんだ。動揺してすまない。行こう」


───僕は今、無事じゃなよ。フロレンス


目茶苦茶に吹き荒れる嵐の中に一人で取り残されているような気分だ。


フロレンスに手を引かれながら部屋を後にする瞬間、僕は盗み見るように、ドレッサーの鏡に目を向けた。

そこには、頬を林檎みたいに真っ赤にした僕が映っていた。

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