順調
ジョニーとしてゾンビと戦う術を探っている俺は、今日も頑張って学業と仕事の両立をした。
「設計も上がってきたもので一旦凍結にするし、廃棄物の処分も終わったところだ。私は順調に進んでいると持っているが、どうだ?」
ボブがアジトについてホロモニター越しに言う。
「その通りだな。建設には1年か。待ち遠しいよ」
「いや、中の資材を整えたりしてさらに半年は見ておくべきだろう。私の部屋も創り込まなければならんしな」
俺は肩を竦める。
「そっちが本筋だろ。ボブにとっては」
「ィグザクトリィ! ところで、この計画に大量の資金流入があったんだが、どういうことか知ってるか?」
「AIソサエティからの支援だよ。上がってきた設計にそこそこの改変が無かったか? なぜか知らんが、彼らが手を加える代わりにカネをくれるって話だったからな」
「そういうことか。妙だな。普通はこちらがカネを払う側な気もするが」
「AIの考えることさ。俺たちには理解できないだけなんだろう」
「私の部屋に影響は無かったからな、丸儲けだ」
「そうすか」
ボブとの通信を切る。
アジトも順調、第一ステージ・サメリア合衆国西海岸の敷設も始まった。武器の開発についてはマリアからの報告待ちといったところ。
Xデーに対する準備は粛々と進められなくてはならない。
だが、その日が訪れる前にどうしてもやっておきたいことがある。
メアリーの救出だ。
あの人工島の現状は、スロープ社でもあまり詳細に把握できていない。AIソサエティの調査によれば、システムが生きていることは確かであるらしいが、何者かが保守しているような形跡は無いようだ。
俺はいくつかの仮説を立てている。
一つ目は、10年経った今でも島の中ではテリーをはじめとしたゾンビたちが健在であること。
二つ目は、『ある特定の組織』が島に関与して、ゾンビが増えたり凶悪化したものが彷徨いていること。
そして最後は、ゾンビたちはとっくに死滅しており、ただの無人島になっていること。
マリアンやAIソサエティの考えでは、ゾンビたちは死滅しているようだ。マイケルの残したウィルスの研究データからは、共食いの果てにタンパク質不足で餓死するというのが容易に考えられるシナリオではある。
スロープ社は一つ目のスタンスでいるため、島にはノータッチで、臭いものに蓋をしている状態だ。
で、俺は。
もちろん二つ目の仮説を考えている。いちばん厄介なケースだからだ。
島に上がってみたら拍子抜けだった、というのは別に悪いことじゃないしね。
「本当にそのケースを想定して動くのですか?」とマリアンが言う。
「もちろんだ。俺は身体能力を強化してあるし、新しい武器もそろそろ上がってくるだろう」
「私も同行することになるでしょう」
「きみは俺の部屋でリラックスしてていいんだぞ」
「いいえ。私の介助が必要になることもあるはずですので」
マリアンはそう言って、何やらAIソサエティとのやりとりを始めたようだ。
さて、今日も決意の正拳突き一万回、やっときますか。




