作戦
俺はジョニー。ゾンビどもの溢れるこの島で、どのようにサバイバルするか考えているところだ。
本来なら、20歳くらいでケツにゾンビピラニアが刺さって死んでいた。その運命はおそらく変わり始めたのだろう。なぜなら、俺はここで死ぬかもしれないのだ。
たとえ俺が死んだって、メアリーは守る。絶対だ!
俺は彼女に頼んで、俺の統括AIであるブ・ソアが接続できるようにしてもらった。これから作戦を練らなきゃいけないからだ。
「ブ・ソア、この島にいるゾンビたちの数を調べられるか?」
「監視カメラの映像分析から、ゾンビ化されていると思われる人数は、16名です。うち4名が動かなくなっています」
どこかからAIの合成された音声が聞こえてきた。
「ほう。生存者は?」
「7名」
「なるほど。俺とメアリーを含めて25人この島に残っていたんだな」
「いえ。ここを離れた記録を参照すると、1名、数が足りません」
「それはおそらくマイケルだ。そうだろう?」
「あなたが仰るならそうなんでしょう。あなたの中ではね」
なんやこいつ。俺はブ・ソアにキレそうになったが、こらえた。
「ゾンビの最新の座標をこの島の地図にピン留めしたものを俺に寄越してくれ」
「御意」
俺たちのいるこの人工島は真上から見ると船着場の部分が若干かけているが、アーモンドのような形をしている。全体的にステルス領域を展開するためにこういった形状になっているらしい。
ど真ん中に大きく研究施設があって、発電設備や倉庫なんかがその南北に置かれている。
ゾンビはほとんどが南の方に分布しており、これは逃げた人々を追いかけたからだろう。南に船着場があるのだ。
4人分のゾンビが、この研究所の周囲におり、うち一人はおそらくテリーだ。
「ブ・ソア。テリーがどうなっているのか分かるか?」
「6Fの中を動いています」
「エレベーターに近づいたり、操作しようとしている気配は?」
「全くありません」
「なるほど」
どうやら、ゾンビにはエレベーターを操作するだけの思考力は無いらしい。
ひとまずこの地下室に留まっていれば安全だということ。しっかり作戦を考える時間はありそうだ。
「メアリー、きみは自分が感染していると思うか?」
「いえ。感染していないので、未感染だと思います。心肺を強化するウィルスなので、心肺機能が強化されているとは感じないからです。私のヘルスメジャーメントも変化をキャッチしていません。いつもと健康状態が変わらないんです」
ゾンビがこれだけ一気に発生しているのを鑑みるに、感染したら即発症するのだろう。つまり、生き残っていて逃げ回っている人の中で特に元気なやつらは、感染している可能性が高くて、事故ったりして死ぬとゾンビ化してしまうんだね。
「うーん、厄介だな。生きているうちからゾンビ扱いはできないし」
「生存者の人はまだ生きているので、ジョニーさんのように身体能力強化ウィルスを打てばいいと思うんです。身体能力が強化されている人は、普通の人よりも体を動かす能力や筋力が優れていますし、遺伝子が変化しているため、変化した遺伝子のおかげで免疫が変化して新しい免疫を獲得するので、このマイケルの心肺機能強化ウィルスに感染しなくなります。だからこそ、身体能力強化ウィルスを打って心肺機能強化ウィルスに感染しないようにするべきなんです」
「うん。それはアリだな。でも、既に感染している人に打ったらどうなる?」
「わかりません。心肺機能強化ウィルスに感染している人は身体能力強化ウィルスに罹らないか、心肺機能強化ウィルスと身体能力強化ウィルスの両方に感染するか、どちらかだと思います」
「下手するとすごいゾンビが生まれるな。タ●ラントみたいな」
「はい」
メアリーはタ●ラントに関してはスルーした。
そもそも The Dead In The Water のパブリッシャーとは別会社のゾンビものなので、この世界では概念として思考することもできないといったところだろう。
あっちみたいに、効果覿面の葉っぱがあればいいんだけどな。
「メアリー」
「ジョニーさん」
「危険かもしれないけど、これからきみに身体強化ウィルスを打ちに行こう」
「はい」
「メアリー」
「ジョニーさん」
「怖くはないか?」
「平気なので大丈夫です」
「よし、じゃあ行こう」
ということで、俺たちはエレベーターで上を目指す。




