氷塊
俺がゾンビ化して死ぬことになるXデー、それを回避することができたのか。事実はあと16年くらい経ってみないとわからない。
今俺は、3Fにあるメアリーの居室で家デートしている。
ちなみに3Fが女子寮で2Fが男子寮だ。
俺はまだ精神的に男女どちらかわからない年頃にカテゴライズされているので、所構わず移動できる。4歳の利点だね。
小さなシャワーブースにインテグレイテッド・デスク、ベッドに小窓が一つ。そしてこぢんまりとしたクローゼットが一つ。
大体俺の部屋と構造が同じだった。
二人でベッドに並んで座っている。
メアリーが手に持ったカップアイスの蓋を開けた。
「柔らかいアイスは美味しいので、少し溶かして柔らかくすると美味しいんです」
彼女はプラスチックの小さいスプーンで、白いバニラアイスをすくい取って俺の口に運んでくる。
まあ、鉄板だよな。ちょい溶けのアイス。
「味の美味しさは美味しいですか?」
「うん」
彼女が一体何のサブプロジェクトをしようとしているのか、その探りも入れようとしているのだが、あまり上手くはいかない。
「最近部下が円滑に働いていて、特にマイケルのサブプロジェクトがとても順調です。スムーズなため快調らしいです。でも、部下のマイケルは部下なんです」
「それには俺も少し噛んでるよ」
「羨ましい羨望もありますが、ちょっと妬ましいです。私のサブプロジェクトは秘密なので、ジョニーさんには内緒にして一緒にできません。でも成功して上手くいったら……」
メアリーが言葉を濁した。
俺がそこに何か口を挟もうとしたところ、スプーンのとろけたアイスを食べさせられてしまった。
「私、マイケルの研究は、危ないので危険だと思います」
「なんで?」
「心臓はポンプなので全身に血を送ります。血液を循環させるのが心臓です。それを強くしていないのに強くするのは、弱くしてないのに弱くするということなんです」
「相対的、的な?」
「はい。だからこそ、普通の心臓は普通に血管に血を流すことになるんです」
うーん、どこに危険があるのか分からない。
専門的すぎる話にあまりついていけないのは、しょうがないことだろう。
危険だからやめるべきとは、メアリーも言ってないしね。
たぶん。
「ほら、アイス貸して」
今度は俺が、メアリーにアイスを食わせてやる番だ。
一口食った後、彼女は盛大に顔を赤らめて、焦りながら言った。
「私たちが同じスプーンでアイスを食べたということは、一緒のスプーンを口に入れたということです。直接的ではないからこそ、間接的です。私たち、キスしちゃいました……」
「もっとする?」
と言って、俺はちょっと意地悪に笑った。




