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認められないと嘆きたいけど嘆くひまあったらどうにかしよう。

この世には「努力」という言葉が存在する。しかし、それが実るのは大抵は容量のいいやつとある一つの才能があるやつだけだ。それ以外は、ただの言い訳でしかない。しかし、それでもなお認められるものもいる。しかし、それも容量のいいやつしかいない。必死にそれしかできないやつはただの使い捨ての駒のように捨てられる。時には人として扱われなくなってやがて壊れる。

だがそれでもなお、人は認められようと努力する。


とある夏前の梅雨。雨上がりの学校。放課後の屋上で少年が決意をした。つまり好きな人への告白だ。まぁ、ある意味最初の話の始まりの鉄板でもある。

少年、大宮巧海(おおみやたくみ)。高校二年。趣味、筋トレ。

この屋上で入学して間もない頃から一目惚れをしていた少女、柊谷要(ひいらぎかなめ)に告白を決意しここに立つ。

「柊谷さん。俺は入学して間もない頃から一目惚れしてました。是非俺と付き合ってください。」と誠心誠意心込めて言ったものの、

「はぁ?なにいってんの?あんたみたいな努力とか鍛練とか汗くさくて、おまけにどんくさい、キモい、時代遅れのような筋肉ゴリラ、誰が付き合うのよ。まぁ、どうしてもっていうなら……」と柊谷の合図でそこかしこからその取り巻きや手下が出てきた。

「皆のストレス発散のサンドバッグをやりきれたら考えてあげる。」と普通なら〈ごめんなさい、付き合ってる人がいるから〉と断るところなのに、これは明らかなるいじめである。いや、巧海にとっては、凄く残酷な侮辱と屈辱である。

それから先は、生徒全員に殴られ蹴られ、さらには鉄パイプやバット、机や椅子などあらゆる暴力の雨に打たれた最悪の誕生日になった。

その後それぞれがスッキリした顔で、

「いいストレス発散になったな。」

「あいつでもこういうことに役立つならまたやろうぜ。」

「しかも、柊谷さんに告白とか柊谷さん可哀想。」

「あんた彼女になってあげれば?」

「ムリムリ。あんな、ひたすらがむしゃらに努力する泥臭いやつは誰に言われても無理だから。」 とそれぞれはまるで何か一つをやりとげたように笑い合いながら、去っていった。

そこから何とか立ち上がり、その時に見た夕焼けはむごい姿になっている巧海を照らした。

巧海は血だらけのぼろ雑巾になった姿で家に帰った。家と言っても、捨てられた子供を預かる養育施設である。

「おかえりなさいって……どうしたの!?全身血まみれじゃない!?」とこの施設、〈白鳥庵(はくちょうあん)〉の施設長の信楽真美(しがらきまみ)に声をかけられた。

「なんでもないです。ただ、階段でこけて落ちただけです。」

「こけて落ちただけでそんな傷負わないでしょう!?」と涙を浮かべた信楽に、

「大丈夫です。包帯巻いてちゃんと食事と睡眠取れば一、二週間で元気になりますから。」と笑顔で答えた。

すると、奥の方から子供達が走ってきた。

「あっ、たくみにぃおかえり。」と無邪気な笑顔で迎えてくれたのは、巧海と同じこの施設に預けられた子供たちだ。ちなみに巧海がこの施設に来たのは十二年前。当時五歳の時に両親や親戚がなくなり天涯孤独となった。

「おう。お前らちゃんといい子にしてたか?」と聞くと、

「うん。だけどたくみにぃのおやつ亮くんが食べちゃったけど……。」

「ああ。いいのいいの、亮は食いしん坊だから仕方ねぇよ。」

「もしいるなら、私買ってくるけど?」

「良いですよ。俺には学費と最低限の食事だけで十分です。あとのお金は、この未来が有望なこいつらに使ってあげてください。」というが、

「巧海君。前から言ってるけど……」と言いかけたが、

「別に我慢してませんよ?我慢してるなら俺はこの施設にすら来なかった。だから、あまり俺を甘やかさないでください。俺みたいなのがこの子達からでないように。お願いします。」とそういって部屋に入った。それを見るたびに信楽は泣き崩れた。

「私は、この施設長失格だわ。この子達の笑顔を絶やさないようにしようとしたけど、あの子の無邪気な笑顔を今も出させずにいるなんて。」と泣いている信楽のまわりに集まり子供達は慰める。


一方巧海は部屋にこもり筋トレを始めた。ちなみにこの部屋は完全防音対策をしている。理由は2つ。一つは筋トレ器具を落としたときの音で子供達を不安にさせないため。もう一つは……。

「くっ、……うぅっ……うっ。」自分の泣いているところを見せないよう、信楽や子供達を不安にさせないため。

「はぁ、何でうまくいかないかはあえて言わないでおこう。また泣きそうだ。そういえば明日、里親になる人たちが俺たちを引き取りにくるんだっけ。まぁ、おんなじ結果になるが期待せず待っておこう。」と巧海は部屋を出て、風呂に入り眠った。

一方、白鳥庵の窓の外から白ローブを纏った女性が巧海の部屋の窓を覗き込み、

「ついに見つけました。世界は救われる。そしてこの子の残酷すぎる運命も変えられる。」そういうと光となって消えた。


翌日、まだ日が昇って間もない時間に巧海は起きた。

「さぁ、今日も元気に張り切って行きまっしょい。」と毎朝やるトレーニングを始めた。そして、一通りやって白鳥庵に帰った。

「たくみにぃ、おはよう。」と子供達が眠い目を擦りながら階段を降りてきた。

「おう、おはよう。」

「今から朝風呂?だったらもうちょっと待った方がいいよ。今信楽さんが入ってるから。」

「そうか。ならあがってきたら俺に教えてくれ。部屋でまだトレーニングやってるから。」とまた部屋にこもった。

ちなみにこの施設の子達は小学生と中学生が多い年長者は信楽を合わせて巧海と二人しかいない。

「千里と翔は?」と聞くと、

「二人とも部活に行ってるよ。」と昨日の食いしん坊の亮が答えた。すると、

「巧海君おはよう。お風呂空いたよ。」と風呂上がりの信楽から声をかけられた。

「ありがとございます。」

「それと今日里親になる人たちが来るから、準備しといてね。」と朝食の準備をし始めた。

そして、朝食を終えてみんなが着替え始めた。お昼頃に先ほどまで部活に行った千里と翔も帰って来て、準備し始めた。


この白鳥庵では毎週土曜日に里親になる人たちが、子供達を引き取りに来る。だが巧海にはこの時間は地獄でしかない。

実は巧海が里親に引き取られたことはここ十二年一回もない。どこがどうって訳でもない。ただ何か気に入らないと言う理由と巧海の経歴を話すと、大抵「そんな子をよくうちに勧めましたね。」とか「そのうち犯罪を犯しかねないような子引き取れるわけないでしょ?どこかの国に捨てに行ってはどうです?」と信楽と共に言われ続けた。


恐らく今回もそうだろうと思いながら、まつと、次々に今までいた子供達は引き取られ最後の組も引き取って帰った。そして巧海だけがまた残ってしまった。

「やはりな。俺はこの施設以外では誰からも愛されないんだ。」と狂気に顔を歪ませて笑った。いや、笑うしかなかった。

「ひゃははははははははははははははははははははははははは。俺は一生独りぼっちぃ。誰からも愛されることなくただのクズとしてこの世に見捨てられたんだぁ。あははははははははははははははははははははははははははははははははははははは。」とその姿を見た信楽は、涙を浮かべながらもある決意をした。

「ねぇ、巧海君。」と巧海は狂気の笑顔を向けた。そしてなぜか頬赤くしている信楽。何かいつもと違うことを感じ取った。

「私のお婿さんにならない?」と聞かれた。彼女がこの施設をたてたのは、まだ彼女が中学生の時、彼女の両親と共にこの施設を始めた。そして彼女の両親がなくなった二年後に巧海が来た。当時、彼女が十五歳の時だ。

「マジで言ってるですか?こんな俺ですよ?こんな馬鹿でなにやっても否定される俺ですよ?そんな俺をお婿さんにするよりももっと……。」としゃべれなくなったのは、信楽が巧海にキスしたからである。

「どう?これでもまだ本気だと信じてもらえない?」と長いキスを終えて聞いた。

「ここまでやられたら信じるしかないじゃないですか。」と巧海も答えた。すると信楽は巧海を抱き寄せた。しかし、ズブリと巧海の脇腹辺りからいやな音がした。なんと信楽が巧海の脇腹に包丁を刺していたのだ。巧海は痛みを感じる前に疑問に思った。

「えっ?何で?信楽さん。」と聞くと、いつもの優しい信楽ではないことを判断した。何かに操られているようだ。

さっきまで屈んでいた信楽は禍々しいオーラを纏い不気味に笑った。

「は……ははは……ははははは。はーっはっはっはっはっはっ。乗り移ることに成功。やっぱ人間の体は動きが違うわ。」と信楽の声とダブって別の声が聞こえる。

「お前誰だ?」

「俺か?俺は種族はオーバーゴースト。名はシメノニアスってんだ。十二年待ち続けてやっとだ。やっとおめぇを殺せる。」と以前からいたような発言をした。

「お前いつから俺のことを知っている?」

「お前がこの施設に入った時からだ。それと因みに言っとくが、この女を助けようとしても無駄だぜ?何せ俺を倒せば、この女も死ぬからな。」と宣告された。しかし、彼女を助けないわけにはいけない。

その時、どうすればと選択を迫られるそのとき、一筋の光が降りた。その中から女神が現れた。

「なんだ?あんた誰!?」

「説明してる暇はありません。私の言うとおりにしてください。」といきなりだったが従うしかなかった。

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