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ゲイジュツ

お題:これはペンですか?違うわ、それは芸術 制限時間:15分

 子供の頃、美術館に連れていってもらったことがある。

 春の陽気が眠気を誘う今とは違い、その温かな陽射しに心を躍らせ元気に野原を駆け回りたい気持ちの方が高かったあの頃。

 今では授業中の天敵とも言えるべき旧友が、あの頃は眩しかった。

 両親は、というより父親の方が芸術に関して好んでいた。

 子供の自分からしたら意味の解らない彫刻に絵画。

 自分の方が上手いと思うへんてこな絵に、色の線が組み合わさっているだけの作品。

 どれを見ても感動することはなく、どれを選んでもいらないモノばかりだった。

 それらを見て、素晴らしいとか口ぐちに絶賛する大人たちを見て、子供心ながら憐れに思ったのを覚えている。

 こんなものも作れなくなるのか、大人は……と。

 大人になれば色んなことが出来ると思っていた。

 夜更かしも沢山できて、好きなご飯も好きなだけ食べられると思った。

 集めていたカードゲームもいっぱい買えて、寝たい時に寝て、遊びたい時に遊ぶことができると思った。

 次第に、大人になるにつれ、子供から離れていくにつれそんな幻想は朽ちていく。

 夜更かしはテスト前の勉強のためになり、栄養を考えた食事を取らなければニキビが出る。

 大きくなるにつれ、不自由になっていく。

 そんな時、思い出すのだ。

 あの時、美術館で大人たちが素晴らしいと絶賛していたのは、皮肉だったのではないかと。

 今は失ってしまった子供のような感覚を、今も持ち続けている作者に対する皮肉だったのではないかと。

 失って初めて気づく大切なモノというのが、解ってきた。

 だからこそ、自分はなくなってしまったのに、お前は持っていてずるいと、大人たちは偽善者の仮面をつけて、素晴らしいと言ったのだろう。

 自分が子供の頃も、こんな作品が作れたことを誇らしげに、遠まわしに自画自賛しながら、褒めていたのだと思った。

 そのことを懇切丁寧に分量として約二十倍に拡張した即興の妄想の産物を美術の教師に伝える。

 自分は居眠りをしていたのではない。より深く、子供の心を思い出すために無心になっていたのだと。

 そして辿りついたのがこのシンプルかつ、子供から大人まで使えながらも、子供の時にはなかなか使わず、大人になればなるほど使用するペンこそが、この世の人間を端的に表している作品となるのだと。

 周囲が粘土や針金といった芸術っぽいものを作成した中、俺はあえてこれを選び、そして何もしないことで子供の無邪気さと大人の偽善的な感情を表したのだと。

 だが大人である教師は呆れた顔で再度問うてきた。

 その言葉に、俺も再度言い返す。

「これはペンですか?」

「違う、それは芸術」

 課題として出された作品を指差し、俺と教師の問答は続く。

 早く終わること願いながら、芸術とはなんと理解されないことなのだろうと嘆きながら。

 たまたま落ちていた古ぼけたペンを前に、俺は芸術に敗北した。

お題が長い&ひどい!

それだけは言い訳にしたい。

完全に文章じゃないですかーしかも英語の教科書じゃないですかー。

まぁでも、その分いろいろと発展させることができそうなお題かもしれません。

出た瞬間に突っ込んでしまいましたが。

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