野ウサギ狩りのプリメーラ
「あらープリメラちゃんおはよう。今日もクエスト?」
そうやって優しい声をかけてきてくれたのは、ハンターギルドのアイドル受付嬢シエルさんだ。
おっとりした雰囲気を持つ彼女の人気は高い、彼女はなんと元Aランクのハンターだ。
引退した理由は、不明である。
私が聞いたときには、「膝に…矢をうけてしまってね…」などと言っていたがわけがわからない。
まあそんなことより今はケイジの登録だ。
「いえ、それもあるんですけど、今日はこの人の登録にきたんです。」
「あらあら、彼氏さん?かっこいいわねぇ。」
「やだぁ、そんなぁ♪彼氏だなn「違います」……アレ目カラ液体ガ…」
超反応で否定された…うん、まあ…まだ出合って1日だもんね!
ふふん、こんなことではクヨクヨしない私なのだ!
「えっと、この人はケイジさん。なんか僻地の村から来たみたいで、しばらくこの街にいるからハンター登録したいんだってー。
で、ケイジさん、この人はハンターギルドの受付をしてるシエルさん。
受付のなかで大人気!しかもなんと元Aランクなんだよ!」
ケイジさんは私の説明を聞いて、じっとシエルさんを見ている。
さすが元Aというだけあって、感じるものが違うのか注意深く見ている。
なんか「…E…か…」とか聞こえたけど気のせいだ。
うん気のせいだ、彼女はAランクだ。そして私はCだ。
いや何を考えてるんだろう、落ち着け私、大きさがすべてではない。
「それで、彼を紹介したいんです。彼強いみたいだし、Eからで!
そんでもって粗品ください!!!!11!」
-------------------------------------------------------
プリメラが紹介してくれた女性はシエルさんというらしい。
なるほど、確かに人気があるのはわかる身のこなしが確かに一般人とは違っている。
シールたんほどではないが、鍛えられた肉体というのがわかる。
そして何よりあの破壊力のある…Eか…。
戦いにおいて視線というのは大切なものである、それを拡散させる…これは胸囲だ…いや脅威だ、まだまだ俺も修行が足りない。
シエルさんの案内の下、ハンター登録を行った。
登録といっても紙に名前や年齢、戦闘スタイルなどを書くだけだ。
ケイジ・カミンチュ 25歳 徒手空拳
っと…そこまで書いているとシエルさんが覗き込んできた。
「徒手…ですか…?」
「ああ、俺は格闘家でな、武器は己が拳だ。」
地球ではライオンとか、マンモスみたいなアフリカ象も狩った。
海では巨大鮫も屠ったし、鯨だって食われはしたが、逆に体内から食い破ってやった。
Tレックス等と戦っていた原始人とも戦った、俺の拳は彼らにも通用したし、手刀も容易く硬い皮膚を切り裂いていた。
それにたとえ皮膚を切り裂けなくとも、衝撃は殺せまい。
何より気をまとえばダイヤモンドであろうが砕けるし、チタン板だってバターのように切り裂ける、大丈夫だ、問題ない。
「ま、まあスタイルは自由に変えたらいいので、とりあえずこれで登録しますね。」
彼女の顔は引きつりつつも、笑顔を維持していた。さすがプロだ。
彼女から、粗品―コンパスや荷物袋、携帯保存食糧、砥石等ハンティングに必要な小物セット―をもらった。
「では、早速クエストとやらを受けてみるか…プリメラ。
俺はよくわからないから、任せてもいいか?」
------------------------------------------------------------
ケイジさんはスタイルが素手らしい。
格闘家?何をいってるんだろう…魔獣相手に素手とか常識がなさすぎる。
ここは私が先輩ハンターとしてかっこいいところを見せないといけない。
んでんで!華麗な私のハンティングを見て…
プリメラ…すごいな!おまえの舞踏のような狩りに見惚れた!
俺に…色々教えてくれないか…?この世界のこと…
そして…おまえのこと…//顔真っ赤//
ぐへぐへぐへへへえへへ♪
彼が生暖かい目で、何か声をかけてきている…「やっぱりまだ…」とかいって顔を横に振っている。
何がまだなのか、ああそうか私が引っ張ってあげないと!
「シエルさん!このCランクのビッククマタンの討伐クエでお願い!」
「え?大丈夫…?これCランクだよ?」
「大丈夫!なんたって私はCランクだからね!これくらい余裕よ!
さあケイジさん!行くわよ!怖がらなくてもいいから、私についてきなさい!」
そう、私はCランクだ!といっても3日前にあがったばかりで、Cランクは受けたことがない。
ちまちまDを受けてきて、やっとあがれたのだ。
実は私には""かっこいい二つ名""も、実はついていたりする。
ふっ、私の計画は完璧だ…これで彼の心は私のもの…いざ!
私は彼を連れてビッククマタンのいる森へと向かったのだった。