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かみんちゅ  作者: さんさん
第4章 メーリ連合国編②  ~幻の花嫁~
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キマシタワー

「………ケイジ………私怒って………るんだから………!」


「…ケイジさん…どういうことか、説明してもらえますか」


今俺の目の前にいる2人、無表情に近い、けれどツンとした感じがかわいいハクア。

そして目のハイライトがない、若干怖いカレンさん。

うむ、俗に言う修羅場というやつだな。


「………ふむ、2人とも何を怒っているんだ?」


「「雪月花のこと(です)っ!!!」」


「うむ………雪月花な………雪月花………。

 2人ともよく似合っているぞ…綺麗だ。」


2人の髪には宝石のような花…俺が贈った雪月花が添えられていた。


「………(ポッ)」


「あ、ありが…………ってっちっがーう!

 何なんですか!昨日いきなり雪月花を贈ってくれたと思ったのに!他にも贈っている娘がいるなんて!

 期待したのに!めちゃくちゃうれしかったのに!どういうことなんですか!」


ハクアは惚けている。ちょろいん。

ソレに対してカレンさんは目のハイライトが戻って激昂した、まあ頬が赤いからかわいいんだけどな。


「あなたは!一体どういうつもりで…私にこれを贈ったんですか!?

 遊びですか?贈られて一喜一憂していた私を笑ったんですか!?

 最低でs…あふぅん…♪」


とりあえず落ち着け、と俺はいっぱいの癒気をこめてカレンさんの頭をもふる。

その瞬間カレンさんは恍惚の表情でびくびくとなる。

うむ、今日もいい質感である。



「………(ビクン…ビクン…)………………ハッ!?」


「落ち着いたか?」


「え、ええ…」


たれた涎を裾でぬぐいなぐうカレンさん。

平静を装っているが、尻尾がはちきれんばかりに振られている。


「まず…ハクア、お前はカレンさんのことどう思う?

 というかほら、触ってみろ。」


「………?………うん………」


そうやっておずおずと手を伸ばすハクア、そしてまあじっとしてくれるカレンさん。



さわ…


~~~~ッッッ!?!?!?


この時ハクアに電流走る。


さわさわ…

さわさわ…

さわさわ…ッ!


もう夢中である。心なしか顔がグニャア…っと歪んでいるような気がするが気のせいだ。


ハクアは言葉を発さず、ただただ無言でケイジに送る…サムズアップを。

その返事に満足した俺はうんうんと頷き、次にカレンさんに言う。



「ところでカレンさん…ハクアを見てくれ…こいつをどう思う?」


…ジッとハクアを見つめるカレンさん…ハクアはきょとんとカレンさんを見上げる。

そこにいるのはまさに絶世の美少女…息を呑むほどのそれは例え同性であろうとも…。


「すごく………綺麗です………」


このとき、ここに新たな塔が建ったのであった。


「というわけで、2人とも俺のもんだ。異論はないな?」


「わかった………。

 カレン…さん………また耳とか………障らせ………て?」


「しょうがないわね…いいわよ。私の負け。

 ハクアちゃん…いいけど…条件が、あるわ。」


「………なに………?」


「………………………………………お姉さまって、呼んで。

 そうしたら、気が向いたら、触らせてあげる。」


「………お姉………さま?」


きょとんとした、けれどその無表情は精巧な人形のように美しい、そんな顔で見つめられたカレンは…。


ブフォ…


鼻から赤い汗を噴出させてぶったおれたのであった。








チュンチュン…


小鳥のさえずりと共に目がさめる。

重みを感じて横を見ると、俺の左胸の上にはハクアが覆いかぶさるように、そして右腕にはカレンさんが抱きついている。

絡まれたその腕の柔らかい感触と、そして尻尾に絡まれ朝から至福の時である。


ちなみに昨日は2ラウンドしてハクアは8KOしたのだが、カレンさんは3KOでダウンしてしまった。

仕方ないね、初陣だったみたいだし。

あと俺がもふもふのために気合を入れすぎたせいもある。

どうやら俺が癒気をこめて耳や尻尾をもふもふすると、通常では感じられないほどの快感があるそうだ。

しかも激しくはないが、ずっとビクビクと震えてしまう…そんな終わりのない地獄のような…されど天国のような快感だそうだ。

そんなカレンさんは獣のような咆哮をあげて果ててしまった。仕方ないね獣人だし。

うん、仕方ないのだ…シーツどころか床の絨毯までえらいことになってしまったが、そこはほら高級旅館。

金さえ払えば何事もなかったかのように元に戻っていた。





その日の朝は結局旅館でまったりした。

カレンさんは有休をとったようだ。

起き上がることもできず、病人のようにベットでぐったりしている…やりすぎたようだ。

ハクアも疲れているようであったので、今日は2人ともベットでスヤァ…としてもらうことにした。


そして俺は…金稼ぎである。

うむ、高級絨毯の交換代金はちょっと出費が痛かった。

今後もこの酒池肉林の日々を楽しむためにも稼ぐことに決めたのだ。






「というわけで、ルルさん。なんかいいクエストないですか?」


「こんにちは、ケイジくん。

 昨夜はお楽しみだったわね…。」


「デュフフwww」


「グフフwww」


この人はカレンさんの同僚のルルさん、カレンさんと同い年みたいだが、えろい話大好きー恋バナ大好きーな人妻である。


「うーん…Bランクとはいえ、ケイジくんの希望にそうような金額のものは…ないかなぁ…?」


「そうですか…わかりました、ではこのスノウウルフの討伐でお願いします」


「おっけー、じゃあ受理手続きをするわね。

 あ、ケイジくん。このウルフの生息地帯の奥は竜種がいるから気をつけてねぇ。」


「わかってますよ。」


正攻法で金は稼げない、ならばどうするか?正攻法でいかなければいいのだ。

クエストがなくても、レアな素材は高く買い取られる…だから俺はAランクPT推奨クエストであるホワイトドラゴン…その生息地近くのクエを受け、ドラゴンを狩る。

そしてその素材で金を稼ぐ…ふふふ…よくアニメとかでランクが足りず、とか言う話を聞くがそんなことは別の方法でどうにでもなるものだ。


Sランクでなくてもいいのだ、最低ランクでも、勝手に狩にいって買い取ってもらえばいいのである。

怪しまれようが素材がある事実は事実、欲しい人物がいる限り金は手に入る。

そこから襲われたり難癖つけられても、撃退すればいいだけの話。


俺は鼻唄交じりにホワイトドラゴン…ついでにスノウウルフがいるところでスキップしていくのだった…。

なお、本来は馬で2日ほどの距離なのであるが、2時間ほどでついたのは気にしないでくれと言っておこう。





「ケイジさん………行ったね………。」


「………………うん………………。」


「昨日みたいなこと…毎日………?」


「………………うん………………。」


「………………そっか…………そっか…。」

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