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かみんちゅ  作者: さんさん
第4章 メーリ連合国編②  ~幻の花嫁~
42/59

大惨事朝食前大戦

デデッデッデデン!


「…むぅ…朝か…」


デデッデッデデン!


そうだ俺は昨夜確かハクアと……フッ…朝チュンか…

と思っていたら何か聞こえる音がおかしい、なんでチュンチュンじゃねえんだ…と思っていたら…


デデッデッデデン!


「ッグ、モーニン…人間よ…」


デデッデッデデン!


体長2メートルを越す、金髪サングラスをかけた、筋骨ムキムキマッチョマンが黒いぴっちりスーツに革ジャケットを身にまとってたっていた。


あまりの事態に俺が固まっていると…天使が助けてくれた。


「………………おはよう…ケイジ………」


「あ、ああ…おはよう、ハクア」


「………ん………」


といっておはようのキスをしてくるハクア…ああかわいいなぁ…


「………ってそうじゃねえええええええええええ!!!!

 お前も何かつっこめよこの状況に!!!!」


「………………?」


言われてはじめて気づいた、と言わんばかりに周りを見渡すハクア…。


「………………別に………何も………?」


「………いや、そこの大男をだな…」


大男はプルプルと震えている、よく見れば涙を流している…一体どうしたのいうのか。

寝ているとはいえ俺の気のレーダーにほぼ反応なく入ってくる輩だ、ただものではない…どうしたものか…。




「ごるああああああ!てめえ人間の分際でえええええええ!

 何ハクアちゃんとキスしてるんだゴルァアアア!!!

 ターミネートすっぞゴルァァアアアア!!!」


大男がいきなりこちらに飛び掛ってきた。


―――疾い!


が、俺からしたら、遅い。


「おりゃあ!!」


奴の突進に合わせて、俺はカウンターの踏み込み正拳突きを放つ。


「ぶべらああああああ……」


奴はくの字に曲がって窓から吹っ飛んでいった。


「…まったく、旅館を壊す気かよ。

 こっちは寝起き襲われてイライラしてんのによ。」


「…………ケイジ………アレ………まだ生きてる………」


「………アレって…お前の知り合いじゃねえの?名前呼んでたし。」


「………知らない………不審者………………殺すべき………」


「ハイハイ…まあちょっと強いみたいだし、とりあえずぶっ飛ばしてから話聞くかな。」


完膚なきまでにぶっ飛ばしてから、お話をする…とある方から教わったO☆HA☆NA☆SHI術だ。

そういって俺は大男が吹っ飛んで行った外へと翔けた。










「………さて、全然効いちゃいないんだろう?」


寝転がったままの大男に声をかける。


「………………………ふん………人間にしてはやるようだな。」


大男が平然と立ち上がった…うむ、なんか脂汗を流しているような気もするが、気のせいだ。


「………しかし、調子に乗るなよ人間がああああああああああ!!!」


その瞬間、奴の気が膨れ上がり、巨大な…巨大な竜へと姿を変貌させた。



『ゴルアアアアアアアアアア!』



ああ、さっきからゴルァアって鳴き声のせいもあったのか、等と気の抜けたことを考えつつ巨大な30メートル程の金色の竜を見上げる。

幸いこの旅館は街のはずれにあるが…下手したらこれは大混乱になるぞ。


『さあ、ヒューマンよ…………跪け!!命乞いをしろ!!』


「まったく、どこの大佐だよ…まあ答えは、………………ほ、本当に跪いて命乞いをしたら……た、助けてくれるのか……?」


『………………ああ、そうだとも………!!』


竜がにんまりと…笑ったように見える。


「………………そうか………わかった………。

 だが……………


 断るッッ!!

 

         」



『だにぃ!?………………………な、ならば…しねえええええええええええ!!!』



何度言っても気持ちのいい言葉である。

断るといったときのあの顔…うむ、ちょっと優しくぶっ飛ばしてやるか。


「おるぁああ!!」


顎を開けて突進してきた竜に対して、"リミッター1"を解除して全力で正拳突きを放った。



ドゴオオオンンン!!



巨体と俺の拳がぶつかり、拳が竜の腹に、文字通り突き刺さった。



「あれぇ…思ったより柔らかい…竜のくせに…見掛け倒しかよ。」


幻種の竜といえば刃も通さぬ強靭な鱗と皮膚をもっているとしていたイメージがあった俺はちょっとガッカリだった。

こいつ幻種じゃないのかな。



『亜3ウェrfvtgbyふんjみこ、l@@!#!L#!Mtgy』



竜は巨体をばったんばったんとさせながら悶えていた。


「………………ケ、ケイジ…強い………のだな………」


ハクアが声をかけてきた、なぜか腹を押さえている。

なんか小さな声で「あれはくらいたくないなぁ」とか言っているが気のせいだ。




『………………ゴロスッ!!街モロトモ………消シ飛ブガイイイイイ!!!』


竜が巨大な気を体に作り上げ、口へと収縮させていく…。

おいおいそれはさすがに…



「こんなあ!」


『ブベラッ!!』


「街中でえ!」


『アワビュッツ!』


「何を!!」


『………アベシッ!!!』


「考えてんだごるああああああ!!!」


『ギャアアアアアアアアアアアアアアア!』



まずはボディに1発いれて息をとめる、さらに追い討ちで逆ボディに1発。

悶絶した相手をショートアッパーで浮かせ、止めに天まで突き上げるアッパーカット。

ボディ2発からの真・天昇拳である。


「反省…してこいやごらああああああああああ!!!!!」


そして尻尾を掴んでハンマー投げのごとく天高く舞い上がらせて…


か ら の リミッター2解除の全力全壊の………


「覇王ッ!天翔…波アアアアア!!!」


解き放たれた極大の気弾は竜を呑み込み、空へと消えていった。




「よっし、ハクア。 朝飯くいに戻るかぁ。」


「………………………………………………………………。

 ………………………………………はい…………………。」


何かハクアが蒼い顔してプルプル震えているが、まあ気にしないでおこう。







-------------------------------------------------------







私の住んでいた里は、隠れ里というやつだ。

何を隠そう、私は竜なのだ…いや性格には人間の血も混じっているのだが…。

しかも竜の中の竜、この世の頂点にたつ種だ。

そして私はその中でも長と呼ばれる両親の娘だ。

人間共は幻種などと呼んでいるようだが…。

まあとにかく、私はある日、お母様から世間を見て来いと言われたのだ。

お母様はとても優しい、お母様はとても聡明だ、お母様はとても美しい、お母様は…おっと話がそれた。

お母様は変わり者だ、人間とのハーフということもあってか、里でも少し浮いていた。

そんなお母様の子である私は、ある日お母様から言われたのだ。


「ハクア、世界は広いのよ。この里でゆっくりと過ごすのもそれはそれで楽しいのだけれど、貴方にはもっと色々なことを知って、そして楽しく生きて欲しい…。

 外の世界を、見てきなさい。そこで何を見、何を考え、何をするのかはあなた次第。

 そして、恋愛…もね?

 この里で、決められた相手と結婚するというのはかわいそうだわ。

 女の子なんだから、恋愛しないとね。

 だから外の世界で、もしあなたが誰かを好きになったのなら、里のことは気にせず貴方の好きになさい。

 ただ…たまには顔を見せにくるのよ?あと子供ができたら必ず見せにきなさい!いや私が行くわ!!!!!」


こうして私は里を出て、外の世界…人間が住む世界にシャカイベンキョウとやらをしにきたのだった。


とりあえず街に行ってみよう…里の村とは比べ物にならないほどの数がいると聞いている。

ワクワクしながら街へと続く道を歩いていると、よくわからない男3人に声をかけられた。

どうしたらいいのか、わからなかった。

私は話すのが苦手だ、いつも頭の中で考えてばかりで、上手く言葉に出すことができないのだ。


そうこうしているうちに男のうちの1人が私の肩を掴んできた…。

その時に感じたのは、嫌悪。

やけに脂ぎったその手と、私をいやらしい目つきで見てくるその視線、げひた笑い、全てが気持ち悪かった。


もういい、もう十分だ。

シャカイベンキョウとか意味がわからない、人間など、学ぶものではない。

冷めた気持ちになった私は、3匹を消そうかと思ったその時…


一陣の風が吹いた。


「大丈夫か?」


目の前に現れた男が私に問いかける…。

私はその男の魔力の大きさに、驚いた。

一見全くないように感じるそれは、実のところとてつもなく大きいことが竜の中でも、特殊な眼を持つ私にはわかった。

………勝てない、私は直感的に感じた。

父や母にしか感じたことのない、大きな存在に私は戦慄したのだ。


そして私は街まで送ってもらうことになった。

しばらく、この男についていこう…そう思っていると。


「ああ、もちろんさ、お姫様。」


まさか、私の正体を既に見切ったと言うのか…!?

強さだけではない、なんという英知…ッ!

勝てない…私は竜生2度目の驚愕を、感じさせられた。

この男に、私は竜の誇りともいえる力で負け、さらには知でさえもすでに負けていたのだ。


―お前のことはお見通しだ。


と言われているようだった…………私は決めた、この男の妻となろうと…。

そこからはトントン拍子だった。


街についてからは、一緒に廻ったのだ。

お母様から聞いていた、でーと いうやつだ。

街の食べ物はすばらしくおいしかった。

里の料理は基本焼いて食べるだけだ、それなのに人間は食べ物同士をくっつけてさらに昇華させている。

ふむ…人間と言うのも悪くはない、特にこの くれえぷ なるものはすばらしい、なんだこの白くてふわふわして甘くておいしいものは…。

つい無言で食べてしまう、しかし男―ケイジというらしい―はそんな私を黙って、優しい目で見てくれる。

その瞳にドキドキしていた私は、きっとお母様がいっていた恋する乙女というやつなのだろう…。


旅館についた、ケイジはお金持ちらしい。

お母様からもらった旅のお金の何十倍ももっていた。

旅館の料理も最高だった、とくにあの紅い身の甲殻類はすごかった…ゆでた鍋にいれられたそれはもうなんとも言えぬ…まさに至福の時だった。


ご飯のあとは、温泉とやらに入った。

異性に…ましてや人間に裸体を見せるなど恥ずかしい上に屈辱であったが、ケイジにならいいかな…と思ってしまった。

ケイジは私をちらちら見てきていたが、不思議といやじゃなかった。

ケイジと一緒に温泉に入った…最初は何がいいのか理解できなかったが、それは私が愚かだった。

温泉は最高だった…人間というのはすばらしい…是非里でも作りたいものだ。



そしていよいよ初夜の時がきた。

緊張してさらに言葉がでない…………私は、つたなく…けど私の心からの言葉をこめて、ケイジに伝えた。

ケイジは受け入れてくれた…うれしい…。


そこからはすごかった…、私は竜生3度目の驚愕を感じざるをえなかった。

もう何がすごいってナニがだ…もう最後はほとんど正気をたもっていなかったと思う…。

すごい…すごい…としか言ってなかったと思う…。

最後はケイジが瞼をそっと閉じさせてくれて、そのまま意識は暗闇に落ちていった。









朝起きたらお父様が傍にいた、意味がわからない。

この人はしつこい、お母様曰く親バカだそうだ。

しつこいし、うざいし、くさいし、最悪だ。


しかしそんな父であっても…長だ、力は私等到底及ばない…。

最初は冗談ですむかと思っていたけど、ちょっとやばいかも…いくらケイジが人間離れしているとはいえ、それは所詮人間基準…怒って本当の姿になったお父様には殺されてしまうかもしれない…。


そんな風に思っていた時期が、私にもありました…。


どうやら私の眼で見れていたのは、ケイジの表層部分だけだったようだ。

お父様はケイジの腹パン1発で悶え苦しんでいた。

私はちょっと恐怖した、なんだこの目の前にいる生物は…というか本当に人間なのか…。

ああけど私は昨日この男と…と顔を青くさせたり赤くさせたりしながら2人を見守った。


お父様が天高く舞い上がり、ケイジの極大の魔力弾でぶっ飛ばされた。

私は思考が一瞬停止した…何が起こったのか、竜の長であるお父様が赤子の手をひねるかのようにぶっ飛ばされた…。

改めてケイジのことがわからなくなった私…そんな私は…考えるのをやめて、ケイジの誘ってくれた朝食を食べることにした。







読んでくださってありがとうございます。

私情で更新できてませんでしたが、復帰しました。平成25年11月15日。

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