エリーシア・ヴォッカ
エリーシア・ヴォッカ…それが私の名前。
メーリ連合国の上級議員であるヴォッカ家次女。
そして…一族の出来損ない…。
メーリ連合国には国家の下に上級議員と下級議員がある。
基本的に上級議員は血統を重んじる、国を動かしているのは自分だという傲慢な人間ばかりだ。
まあ中には普通もしくは良い人間もいるだろう…しかし、少なくともヴォッカ家は前者になるだろう。
領地を任され、税を巻き上げ、自分は私腹を肥やす…民は不満ばかりをためるが、兵を動かす上級議員には勝てない、どんどんと差は広がり、もはや手はつけられない。
下級議員というのは、ようは後付けの議員だ。
戦争や研究で功績を挙げた民に対して、形だけの身分を与える。
もちろん、下級とはいえ普通の民より全然待遇はいい…しかし議員とは名ばかりで対した権力は与えられない。
それでも、民にとっては夢のような生活がおくれるのだ…だから戦争では名をあげようと頑張るし、研究だって血肉を注ぐ。
国は痛くもない金を多少その下級議員に払うだけでいいのだ、winwinに見えるが、どちらが勝っているかなど、確定的に明らかだ。
ヴォッカ家は何代も続く上級議員だ、たどればその昔戦争で多大な功績を挙げたことによることらしい…詳しくは知らない(そもそも出来損ないの私にはそんなことは教えてもらえなかった、これらの知識は侍女学校で学んだことだ。)
火系統の魔法を得意とし、代々すばらしい魔法使いを輩出している。
そして5歳上の兄はそんな中でも最高と呼ばれるほどの魔力を有していた。
3歳上の姉も兄ほどではないにしろ、希少な2系統の使い手だ、魔力量も常人よりはるかに多い、何より彼女は…天才を呼ばれさまざまな魔法を開発していった。
弟もおそらくはそこそこの力のはずだ、なぜなら父親が甘やかしているからだ。
そして私は…
「………なんか、いやなことばかり思い出しちゃうな…。」
イーグルベイブに行くこととなり、昔のことばかりを思い出してしまう…。
買出しも終わり、いよいよ明日出発することになった。
「………ケイジは…目を背けるなって言った…辛いことかもしれない、けど自分を、過去を忘れるなって言った…どういうことなの……なんなのよ…なんでヴォッカは私をいつも苦しめるの…ッ!」
ケイジと一つになってから、はじめて別々の部屋で寝た。
首都に行くといわれた昨日こそ思わずケイジを求めてしまったが、今はそんな気分ではない…。
何度目になるかわからない寝返りをうった、その時…。
「ムグッ!!?」
私は口に何かをあてられ、意識を失った。
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「ノゾミ、今夜俺の部屋に来てくれ。」
ケイジがぼそっとエリーに聞こえないように、うちだけに言うてきた。
「あ、あんなケイジ…気持ちはわかるけど、エリーがあんなに沈んでるのにさすがにそういうことするんはどうかと思うで…?」
「…違う、激しく違う。ちょっと大事な話があるだけだ。
べ、別にお前とちゅっちゅしたいわけじゃないんだからなっ!」
大事な話か…エリーがらみかな…。
「わかった、どうでもええけどきしょいでケイジ…。」
「………言うな、俺も思った。」
ケイジの部屋に来て、大体のいきさつを聞いた。
実はエリーの家の話は結構知ってた。
エリーが以前、話してくれたんや…「実は私…」ってな、けど、ケイジから改めて実情を聞いて、びっくりした…。
そして、怒りが爆発しそうになった、あれや、一撃で怒りゲージがMAXなった感じや。
これはもうエリーだけの話やない、というかもうヴォッカ家だけの話でもない…メーリ全体を巻き込みかねん話や…。
「一応聞いておくぞ、ノゾミ。
今回は冗談抜きで危ないことになる、全てが終わるまでここで待っててくれてもかまわん。」
「ふふ、もうわかってるくせに。
うちが行かへんわけないやろ?親友っていうか、うちの嫁の一大事やで!
ここで指くわえて待って、全部終わってさあおかえりエリー!ってなってもそんなん愛とちゃうで!」
というか、一応ってつけてる時点でもうあれやんなぁ…。
ほんまエエ男やで、ケイジは…。
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「じゃあ、ちょっとジジイのところに行ってくる」
「お昼の話ってこのことやったんやな…」
「そういうことだ、じゃあなノゾミ。おやすみ。」
そう、ことはもうエリーの実家だけの話ではない…腐敗した上級議員、それを叩こうとメーリの中の一部が動き出している。
俺はそういったことに関わるのは大嫌いだが、エリーが関わるとなると話は別だ。
エリーに害をなすものは全て屠ろう…そしていい機会だ、エリーも過去の自分と向き合って欲しい…知らぬまま墓場まで行けばそれはそれで幸せだろうが、俺としては知って例え苦しむとしても、知って欲しい…それがたとえ俺の我侭であろうと、である…我侭かい?我侭だなぁ…。
「来たぜジジイ」
「ジジイ言うなガキめが」
「はいはい、そこまでにして2人とも」
「おお、久しいなシエルさん!!!!」
「あら、覚えててくれました?」
忘れるわけがない!あのEランクの大きさのシエルさんを!…ああハンターランクはAランクだっけか。
こまけえことはいい、大事なのは今彼女が黒いタイツに全身を包まれているということだ、ボディラインが強調されたそれはもうなんというか、辛抱たまらん!
「この大事なときに貴方はどこを見ているんでしょうね」
にっこりと笑ったその顔に、ハイライトがない。
「すみませんでした」
ジャピング土下座を決めた俺に隙はなかった。
「まったく…私はいつでもokなんだから…」
「ん?何か言いました?」
「なんでもないわよ!と、とにかく!報告するわ!」
ハイライトが戻り頬を赤くした彼女が話しをはじめる。
ヒーヅルの西都、ハンナリの人気ギルド受付嬢、元Aランクハンター。
弓と短剣を使うが、その真髄は…諜報。
風の魔法を使い、まさに風のごとく駆け抜け、密偵として活動をする。
「まず、状況は膠着状態よ。
ヴォッカ家を含む、上級議員の不正や横領等をまとめた資料、今回のキーとなるそれを持つ彼女が、ほぼ幽閉状態…あちらの手にあるわ。
そして最悪なことに、彼女の病状は悪化の一方…。」
「その資料というのは、どこにあるんだ?」
「それはヴォッカ家の有する領地内にある、ただそこをあけるための鍵がないの。
この国の最高の魔法使い達が幾重にも編んだ魔法より、さらに上を行く障壁に守られた鉄壁の倉庫。
天才と呼ばれた彼女が作ったその中に、資料はある。
ただ、それをあけるための鍵だけが…ない。
ヴォッカの奴らも、こじあけてでも中のものを処分したいでしょう、しかしあける方法を知っているのは彼女だけ、だから殺すわけにもいかないし、かといって外に出すわけもない。
私たちとしても、鍵をあけるほうほうを見つけないと踏み出せない…。」
「なるほどな…ところでその倉庫とやらなんだがーッッッッ!!!」
その瞬間、俺は久方ぶりに自分の愚かさを呪うこととなった。
宿屋にあったエリーとノゾミの気が…消えた。
なんかシリ×アスな方向に…、エリーのお話が終わったら、もとのまったりエロに戻るんだ…。




