表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
かみんちゅ  作者: さんさん
第3章 メーリ連合国編①  ~エリーシア~
30/59

雨降って、地固まる。

「おらぁ!」


ケイジが蹴りを放ち、イノシシが絶命する。


「よし、今日の昼はこいつだな。」


そして私とケイジがイノシシに近づくと…。

ぷるぷると震えている小さなイノシシがいた…うりぼうというやつだろうか。


「か、かわいいっ…!」


やばい、すごいかわいい、母親を殺しちゃったのかなぁ…ごめんね…。


「おいでおいで~♪」


そうやってうりぼうに手を伸ばそうとした瞬間…


メメタァ!


変な音が聞こえて、うりぼうは潰れた。

顔を見上げるとケイジが手刀をうりぼうに振り下ろしていた。


「なっ…なっ…な…なんで殺すの!?」


何を考えているんだろうケイジは、こんな小さな命を!


「………。

 エリー、昨日から思っていたが、甘い考えは捨てろ。」


「甘いって何がよ!」


「では聞くが、そこのでかいイノシシは殺してもいいが、その小さなイノシシを殺してはだめな根拠はなんだ?」


「~ッ! そんなの…そんなの」


そんなの決まっている…決まっているが…


「喰うために殺す、生きるものなら当然のことだ。

 お前が毎日食べているものだって、どこかで誰かが殺したものを口にしているんだ。

 それらを全部理解して、言っているのなら俺は何も言わない。

 だが、今のお前は違うだろう?一時の感情に任せている。」


「…ッ! 確かにそうかもしれない…うん、そうよ…。

 わかってるわよ!

 だったら昨日のカモーイへしたことは何なのよ!?

 昨日からずっと言いたくて我慢してたけど、言わせてもらうわ!

 あんなことをして、あれならまだ殺した方がましじゃない!

 わかんないよ!私わかんないよ!ケイジのこと、ずっとずっと優しいって思ってたのに!」



「優しい?生き物を殺しまくっているのに?

 俺がお前を助けたとき、俺は他の生物を殺して助けたんだぞ。

 お前がいう優しいとはなんだ?

 昨日のチンピラもそうだ、なぜあいつらをあそこまでしてはいけない。

 俺は昨日のチンピラを殺そうと思えば殺せた、再起不能にしてボロクソにしたのは、わけがある。

 あいつらは外道だ、クソ以下だ。

 あいつらのせいで何人が人生をめちゃくちゃにされたと思う?

 ただ生きるためというのならば仕方がない、だがあいつは違うだろう?

 "悪意"を持って他のものに害を及ぼすというのなら、それは外道だ。

 死すら生ぬるい、だから俺は殺さずに死んだ方がましな処分をしたまでだ。

 まあ見せしめというのもあるがな。」


………わからない、ケイジの言っていることがわからない…いや、わかってはいる…けど、わかりたくない!わかりたくないよ…!


「俺の言うことは、わかるだろう。

 ただ賛同しろとは言わない、人の生き方なんてそれぞれだ。

 …………。

 ………今日はもうここで野営にしよう。」


 

そういってケイジは野営の準備をはじめた…。

頭の中がぐちゃぐちゃだった…ケイジのこと、好きだったのに…ううん、好きだから、認めたくない…わかんない…、涙がとまらない。


「…エリー。」


ノゾミが私を抱き寄せ、頭を撫でてくれる。


「うちもな、いつかは言わんとあかんって思ってたんよ。

 エリー、狩をしててもどこか遊び感覚っていうところがあったんやで?

 けど、ええ機会や…しっかり自分を見つめなおそか…。


 エリー、ケイジが言ったんは間違ってはない。

 正しいとも言えんけどな…、考えは人それぞれや。

 けど、当たってるところもある。

 エリー、ハンターとして生きていくんやったら、ううん…人として生きていくんやったら、"覚悟"を決めんとあかん。」


「…覚悟…?」


「そうや。

 "奪い、奪われる"覚悟や。

 生きるっちゅうんは、何かの犠牲の上で成り立ってるんや。

 食べるために、殺す、より簡単に狩るために、強くなるために…殺す。


 いつもご飯のとき、言うてるやろ?

 『いただきます』『ごちそうさまでした』

 食材となった生き物に、それをつくった人に、それらに関わったモノ、そういったもの全部にありがとうっていつも言ってるやん。


 別にな、エリーにケイジさんみたいになれって言ってるわけやないんよ?

 ケイジさんも、うちも、エリーに知って欲しい。

 ただ、それだけや…。」


「……。

 今からでも…間に合うかな…ケイジに、愛想つかされてないかな…。」


「エリー? どんな超絶バカップルでも、喧嘩するんや。なんでかわかる?」


「………??」


「喧嘩っていうのは、仲がいいほど起こるねん。

 嫌いやったらそもそも喧嘩すらしいひん、無視や無視。

 相手に自分のことわかって欲しい、相手のこと、知りたい、こうなって欲しい、自分のこと知って欲しい……そういう思いがあるから、喧嘩になるんよ。

 ケイジさんもな、エリーを見てうちと同じように思ったんやと思う…。

 エリーのこと、好きになればなるほど、エリーのことをじっと見る。

 好きになればなるほど、エリーのこと知りたくなる。

 エリーの全部、見たくなる、見えてくる。

 だから今回の喧嘩になったんとちゃうかなぁ…?

 エリーのこと、そんだけしっかり見てるんやで。」


「………。」


わかっていなかったのは、どちらだろうか。

ケイジは私のこと、しっかり見て、考えてくれて、喋ってくれた。

なら私は?

ケイジのことを、勝手にこうだと思い込み、自分が思ったとおりでなかったら怒り、わめき散らした。

どちらが相手のことを考えているのだろうか…、今となっては愚問だった。


「……ケイジと話してくる…。」


「ん、いってらっしゃい♪」


そして今ならわかる…ノゾミは、いつも私を見てくれていた。

今日もだけど、今まで何度もこうして話してくれていた…私はいい友人だとしか思っていなかった…ノゾミのこと、見ていなかった…。

改めて考えると、なんてすばらしい人なんだろう…。

そう思うと…ついしてしまった。


「ノゾミ…ノゾミも、ありがとう。

 今日のことも、そして、今までのことも…ずっとずっと…ありがとう…!」


ノゾミに抱きついて、キスをした…。

今までのように、流されてじゃない…心の底から、したいと思った、愛おしいと思った。


「ありがとう…ノゾミ…。」







-------------------------------------------------------






あああああ…言ってしまった…!

自己中心的な考えだとわかってはいても、つい言ってしまった。

なんでエリーはわかってくれないのか、何で俺が怒られるのか、かっとなっていってしまった。

嫌われただろうか…思えば俺、ポンポン人殺しまくってたなぁ…。

とりあえず気まずいから今日はもう野営にしよう…。


そう思っているとノゾミとエリーが話し始めた。

グ…さっきの件か…!

俺は木陰に身を隠して、耳に気を纏わせ聴力を強化し、二人の会話をこっそりと聞くことにした。


……

………

…………

……………


「ありがとう…ノゾミ…。」


キマシタワァ!!


っていかんいかん、欲望が暴走した。

ノゾミはすごいな…エリーだけでなく、俺にまで言うように言葉を発していた。

エリーに偉そうにいったが、俺もエリーをしっかりと見ないとな…。

俺もまだまだ修行が足りん!



エリーがこちらに歩いてくる…。


「エリー…。」


エリーが顔を上げ、こちらを見る。


――――――ッッッ!!!


その瞳は透き通るような青で、一見深い深淵のように、けれど晴れ渡る青空のように澄み切っていた。


俺は目を見開いた…。

―化けた…!エリーの中で、何かが確実に変わった。

その瞳がすべてを物語る…そしてそれは内面でも変化を起こしていた。

エリーの気が、今までにないぐらい輝いている。

心のあり方…ここまで変わるものなのだな…そして………改めて惚れた…!!!


「いい目だ。」


コクリと頷くエリー。


「そして…改めて言おう。


 惚れたぜ!!」


その瞬間、エリーの顔がボッと赤くなった。




こうして俺達3人は、絆をさらに深く、強固にした。

なお、今回は7ラウンドしてエリーが25KO、ノゾミが3KOだった。

…………調子に乗りすぎた、エリーがガクビクアヘ顔ダブルピースになった…反省はしているが、後悔はしていない。







------------------------------------------------------------





エリーとケイジがお互いのこと、わかりあった。

本当の意味で、仲間に、そして恋人になれたと思う。

うち?うちは元からやん♪


そう思ってたら夜はケイジが大ハッスルした。

エリーがもういろんな意味でぶっ飛んでた…猿どころか獣のように叫んでた…まあうちも調子にのってケイジと一緒にエリーいじめてたからやけど…うん…やりすぎた…。

次の日はエリーが動けんくなって、グリーンドラゴン討伐はさらに次の日に延期になった。

………別に反省も後悔もしてへんよ?

「……………(ビクッ…ビクンビクン…)」


「………(うわぁ…)」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ