世界○見えテレビ―森林のボス!ビックモンキー編―
「ふむ…リミッターは完璧なようだな。」
横たわる大きな猿…おそらくビックモンキーだろう、それを見ながら俺は呟いた。
リミッター95%制限は完璧だ、その上で俺はさらに気を押さえ込み、久々に肉弾戦を楽しんだ。
圧倒的な力で無双をするのもいいが、コレもまた修行、気が出ない状況下での肉弾戦というのもいいものだ。
俺は気をめぐらせ、目の前で横たわる大猿よりひときわ大きな気を持つものを発見した。
ふむ…ボス猿的なものだろうか…俺はニィっと唇を吊り上げてその気のある方向へと駆け出した…道中襲いくる何十匹という猿共をワンパンで沈めながら。
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「ノゾミッ!」
私は罠にかかった猿に弓を撃ちながら、後方で詠唱を行っているである相棒に声をやる。
「まかせときぃ……アイス…ジャベリンッッ!!」
その瞬間、彼女の杖の前にあった氷の塊が槍のようにとがり、猿に飛んでいく。
氷槍は猿の胸を貫き、絶命させた。
「ええ感じやねー」
おっとりした感じの訛りで話しかけてくる黒髪の相棒…ノゾミは猿の爪をナイフでそぎ落としている。
「うん…確かに。ただちょっと数が少ないかな?私たちがボス狙いできてるから、ボス周りが少ないのはわかるけど…それでもやっぱりいつもより少ない気がする。」
そう、私達はビックモンキー…通称猿の討伐、その中でもボスと呼ばれる固体を狙っている。
猿達は群れで動き、その中で一番強いものがボスとなる…のではなく、ボスはそもそも種類が違う。
ボスは大きな角を持っており、体格もビックモンキーの2倍はある、猿達が2Mくらいに対し、ボス猿は4~5Mにもなるのだ。
ボスは大量の子供を産ませるのだが、その中でごく稀にボスと同様に角を持った猿が生まれる。
その猿こそが、次代のボスとなるのだ。
無論、1匹とは限らない…その場合は角を持ったボス候補同士が殺し合い、勝ち残った方がボスとなる。
猿共にも社会というのが存在するようだ。
ちなみにボスの周りにはあまりビックモンキーはいない…取り巻きに何匹かはいるが、大体はボスを中心に少し距離をとって動いている。
ボスの角は希少である、そしてその素材を使った武器防具は当然性能もよい。
私達は今の装備をさらに向上させるためにボスを狩りに来たのだった。
しかし気のせいか数が少ない気がする、ボスがいるにしてもこの数は疑問だ…。
ビックモンキー大討伐クエストはBランク相当。
モンキー自体はCランクの魔獣だが、それほど強くはない、Cランクのビッククマタンのほうが個としては断然強い。
しかし奴らは群れる、そのためBランク相当、そしてパーティ推奨なわけだ。
私はCランク、弓を使い短剣でちょっとした近接戦闘もできる。
魔法はほとんど使えない…火を多少使えるため、火矢などに使用しているが、攻撃魔法としてはゴミ当然だろう。
一応限界まで魔力をこめればそれなりの威力はでるが、乱発はできない。
そしてノゾミはBランク。
彼女は魔法使いで、水の魔法を得意とする…さらに彼女は水の亜種である氷魔法を使う。
これはかなり貴重で、国の中でも氷魔法まで使える魔法使いはあまりいない。
彼女は攻撃型魔法使いとして結構有名だった…簡単だろう水の塊をぶつけられてもたいしたことはないかもしれないが、氷の塊…ましてや槍のようなものが飛んでくるのだ…しかも遠距離で。
重い金属の槍を一方的にブンブンと投げれると思ってくれたらいい…ある意味反則だ。
そんな彼女はなぜかソロ、当然引っ張りだこだ。
そして彼女は何を考えたのか、たまたま同じクエストを受けたとき、同じくソロだった私にパーティを組まないかと誘ってきたのだった。
いつだったか、理由を聞いても「んー?周りのみんなはうちやなくてうちが使える魔法しかみいひん。あと男共は胸しかみいひん。けどな、エリーはうちの魔法でもなく胸でもなく、うちを見てくれたんや。だからうち、エリーに一目ぼれしたんやぁ♪」などといってはぐらかしてくる。
その言葉を思い出すと、自然とその男共がみるというその胸に目がいく。
くそう、なんなのだあの胸は…私はじっと彼女の胸を見つめる。
「いやんエリー、そんなに見つめてぇ…さわりたいん?」
そうやって両腕で胸を抱き上げる相棒…。
やめて!私のライフはもうゼロよ!
「馬鹿なこといってないで、そろそろ罠の準備をするわよ。」
私はボスを狩るべく、待ち伏せポイントに罠をしかけはじめたのだった。
森の中はやけにあつい、私は目からも汗がでてきた…グギギ…。
「―――いたわ、ボスよ。取り巻きが…2匹しかいない…?
取り巻き1匹は私がやる、もう1匹は頼んだわよ。」
「了解、2匹ってなんや少ないなあ…っていうかボス大きすぎひん?
なんや8Mくらいあるであれ…」
「確かに大きいわ…けど単体なら頑張ればいけるはず、取り巻きが少ないのもボスがそれだけ強いから必要ないってことなんじゃない。」
――彼女達は知らない…森に入った瞬間、自分達の仲間を素手で虐殺の限りを尽くしている怪しい人間の男に向けて取り巻きとボスの周りにいた猿がが離れていることを。
そのために彼女達に襲ってくる猿が少なかったことを…。
「………………。
罠、ok。ルート、ok。…いくよ、ノゾミ…3…2…1…0ッ!
フレイム…アローッ!」
私は限界まで魔力をこめた火矢を取り巻きの1匹に放つ、矢は吸い込まれるように取り巻きの腹に刺さり、爆発した。
それと同時にもう1匹の取り巻きに氷槍が刺さっていた。
その瞬間、ボスの目がこちらを見て―赤く光った―ボスは怒ると赤い目になり動きが何倍も早くなる…脅威ではあるが、我を見失い動きが単調になる。
罠を駆使して戦う私にとってはこの上ないエサだ。
木々をなぎ倒しながらこちらに迫り来るボスを後ろ目に、私とノゾミは駆け出した。
私達にボスが迫る―――ドドンッ!――――ボスは一直線に向かってきて、そして見事に特製落とし穴へとはまった。
穴のそこには毒を塗った杭をいれており、どこかに刺さればok、運がよければそのまま抜けず穴にはまったままになる、値段は高いがそれだけの価値はある…ギルド特製落とし穴だ。
「ノゾミッ!集中砲火ッ!」
私とノゾミは持てる限りの魔力を使い、ボスへと弓と魔法を放った。
―ドドドーンッ!
すさまじい爆発、立ち込める土埃…これは…
「やったか…っ!」
私は勝利を確信し、唇を吊り上げた…横でノゾミが「エリーそれフラグや…」とか言っていたけど気にしない。
グルォオオオオオオー!!!
すさまじい叫び声が響き、土煙が晴れる。
通訳:『いやー、あの時は死ぬかと思ったよ』
数秒後、そこには元気に立ち上がるボスの姿が!
「―――ッッ!!?
やばい、ノゾミ、引くわよッ!」
せめてどこか怪我をしていたり、穴にはまったままであればよかった。
しかしボスは、血どころかまったく傷ついたように見えない…。
やばい―――心が死を感じ取りすくみあがる。
あとずさりしていると、トンッ、と肩に何かがあたる…後ろを振り向くと、震えたノゾミが見えた。
「ノゾミッ!早くひかな…い…と……………」
彼女にむけた声がとぎれとぎれとなる、ノゾミの前には
―――もう1匹のボスがいた。




