ウサギ:食われたと思ったら、吐き出されていた。
――助けて…
それは掠れるような声、風の音に、クマタンのモンモンという鳴き声に消されて決して届くようなものではない。
しかし、俺には届いた、彼女の声が。
ならば助けよう、一宿の借りを、何より目の前で一見して美少女が襲われているのだ、男として助けねばなるまい。
シールさんのためにも…!
「承知」
俺は力強く返事をし、彼女とクマタンの間に向かって、踏み込んだ。
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クマタンの右腕が私に迫る…もう…だめだ…
しかしいつまでたっても来ない衝撃、私はおそるおそる目を開けた。
―――ッ!!!
ケイジが、クマタンの右腕を人差し指で押さえている…わけがわからないよ…
けど、一つだけ確かなこと。
それは―もう私は大丈夫だと、いうことだ。
私は彼の背中を見つめ、改めてドキッとした…守られている…それだけで心がぽかぽかと暖かくなる…。
「すまないな、クマタンとやら…貴様に恨みはないが、死んでもらう。
せめて痛みを知らず安らかに死ぬがよい…。」
「真ッッッッ!」
彼の右腕がクマタンの腹を突き上げる、その瞬間…
―――――――ッバァン!!!!!!!!!!!!!!!!!
グチャアッ!ビチャビチャッ…ブシュウウウ…
視界が赤く染まった。
何が起こったんだろう…目の前にあったクマタンの体は上半身が消し飛んでいる。
あとなんか、顔に当たった…なんだろう…右手で顔についた柔らかいモノを掴んでみる。
それは…
ビクンビクンビクンビクン…ビクン……ビク…・・・ン
赤黒いソレは、最初びくびくと脈打っていたが、急速に動きが鈍くなっていき、動きが止まった。
なんだっけ―コレ―・・・理解はできても、本能が拒んでいる。
そう・・・これは・・・
ソレがクマタンの内臓の一部だと理解した瞬間、むせ返るような鉄の匂いも感じ、私は…
オロロロロロロロロロロロ―
ナイアガラリバースし、意識を失った。
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とりあえず、軽めに行くか。
おもむろに座って、両手で気のビームをだして一撃で殺そうかとも思ったが、プリメラにあたったら大変なことになる。
俺は得意技、真・天昇拳を放とうと思い、右のショートアッパーを放ち、続けて左で顎に対するアッパーを行おうと思った…そう、思ったのだ…。
「真ッ!…」
右拳がクマタンの腹に触れた瞬間、クマタンの上半身が爆発した。
一瞬何が起きたか、自分でもわからずフリーズしてしまった。
しかしよくよく考えてみればわかる話で、昨日の覇王天翔波を考えてみろ…この世界で前の世界のように超必殺技を放てば、どうなるのか…。
結果、俺のこめた気…この世界でいう無の魔法の魔力が桁違いすぎて、クマタンの上半身は爆裂四散した。
これからは、リミッターをかけよう…帰ったら病院を探す、リミッターをつける、優先項目が二つになった。
それにリミッター、かっこいいではないか…よく漫画のキャラクターがしていたのを思いだす。
リミッター…解除!!! あれはかっこいい、俺もそうしよう。
そう、俺は何を隠そう14歳症候群の患者だったのだ。
技名なんかをつけてる時点で察しているかもしれんが…。
―ふと、横を見ると、プリメラが手をわなわなとさせながら、顔についたクマタンの臓器を持っている。
彼女は血まみれだった、ふむ…黄金の汗に関してはこれでうやむやにできよう…そう思っていたら突然彼女が…ゲロを吐いた。
まあ、無理もない…そう思って彼女に声をかけようとしたら…彼女は糸が切れたかのように倒れこみ、意識を失った…ゲロと汚物の上で…。
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「アヒィッ!」
なんだよその声は…と後ろを振り向くと、プリメラが目を覚ましていた。
よかった、ようやく楽になる…俺は彼女を抱っこもおんぶも御免こうむりたかったので縄を身体に巻きつけて引きずっていたのだ。
「大丈夫か?」
「―ッ!だ、大丈夫!てかなんで私引きずられてるの!?あれこれひどくない!?
普通お姫様だっこだよね!?てかなにこれ臭ッ!え、ちょ…え!?
ウッ…ウプッ…エロロロロロロロロ…」
彼女は、騒ぎ倒したあとに…自らのゲロの匂いのせいか、再び吐いた…。
ダブルピース…鼻血…鼻水…失禁…ゲロ…彼女を見ていると、居たたまれない気持ちになり…何か目から汗が出てきた…。
「もういい…もういいんだ…お前は頑張った…ッ!」
俺は目頭を抑えながら、彼女の背中を、優しくさすってやった。
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―ズル―ズル―ズル…
何かが引きずられる音が聞こえる。
ここ…どこっけ…確か私…クマタンを狩りに来て…―――ッッ!!?
私は叫び声を上げて、意識を覚醒させた。
オーケーボス、私は今引きずられている、ちらりと顔を後ろに向ければケイジが私を引っ張っている。
なんで引っ張っているんだろう…私は物じゃない、っていうかここは普通お姫様抱っこだろうJK。
そんなことを呟きながら私は自分の身体を見ると…
――ゲロと血とクマタンの内臓らしきものまみれだった
その瞬間、私はすべてを思い出した、クマタンが爆発したこと、そして私に…なんか飛んできたこと。
よく考えれば臭い、何だこの匂い…血だ…あとゲロだ…
それを意識した瞬間…私は猛烈な吐き気に襲われて…彼の前で吐いてしまった。
――――…終わった…ゲロを吐く女…嫌われてしまった…。
私はゲロを吐きながら、彼に嫌われてしまったと思い…泣きそうになった。
しかしなんと彼は―――背中をさすってくれたのだ!!!!
そうだ、何を勘違いしているんだ…私のターンはまだ終わっちゃいないぜ!
ゲロを吐いたから嫌いになる?
そんな男はこっちから願い下げDA!
彼はそんな男じゃない!そうだ!彼は優しいんだ!
よく、彼の前で嫌われるようなことをしてしまったとか嘆く女性がいる…けどそれは間違っているのだ!
貴方が好きな男性は、そんなことで貴方のことが嫌いになるのか?と、問い詰めたい、子一時間問い詰めたい。
答えは、否、だ!彼はすべてを優しく包み込んでくれる…ああ、ああ、私はなんて幸せなんだろうか…。
とりあえず、彼にお礼を言おう…助けてくれたお礼…やさしくしてくれたお礼…
彼の方に顔を向けると…なんと!彼は嫌な顔一つせず、表情を変えず、私を見つめてくれたではないか!!!
その顔が、なんか愛情こもったとは違う、なんか生暖かい感じのする目だったけども…こまけえこたあいいんだよ!
「ありがとう…ケイジ♪」
そういった彼女の顔は、キラキラと輝いていたそうな
…………ゲロと唾液で…




