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星光の魔法戦士  作者: あさぼん
第1章 決意の時
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結成

北支部の庁舎は、私たちの学校から離れた川越市と坂戸市の境界付近にある。

私たちはそこへ飛行しながら向かった。


数十分ほど飛行すると、五階建てほどのビルにたどり着いた。

見た目は普通の会社などが入っているビルに見えるが、建物の入口には数名の警備員がいて、厳重な警備が張られている。


まもなく、私たちは入口の前に降り立った。


「北支部所属、平岡 徳姫です」

「同じく、熊田 天音です」


二人がそう言うと警備員が敬礼する。


「ところで、そちらのお二人は…?」


警備員が私と優地を指差して聞く。


「あ、えっと…」

「新入りの陽菜さんです。こっちの男の子は彼女の同行者、優地くんです。」


警備員は少し困惑してから言う。


「一般の方はその…」


そこまで言いかけたところで奥の入口から人が現れる。

見覚えのある顔と服装。確か赤井という人だったはずだ。


「通していい。私が許可する」


そう言うと、私の前に立っていた警備員は退き、赤井さんに道を開ける。


「直接会うのは初めてかな。改めまして、赤井 弘志だ。よろしく頼む。」


そう言って赤井さんはお辞儀をした。そして優地の足を見て、


「また魔獣の攻撃にでも当たったのかい?天音くん、よければ後で回復してやってくれ」


天音さんは頷いて了承する。


「早速だが、中の案内を徳姫くんに任せていいかい?」

「え、いいですけど…」


徳姫さんは困惑しながら言う。


「実は…ちょっと悲しいことがあってな。少し心を落ち着かせたい」


そう言うと赤井さんは右手で頭を抱えながら戻っていった。


「なんかあったのかな…」


徳姫さんは心配そうに言う。

天音さんも心配そうな顔をするが、赤井さんが建物の中に入ると切り替えて言った。


「では早速ですが…私は優地くんの治療を、すぐ後を追うので先に案内してあげてください」

「わかった。それじゃあ陽菜ちゃん、私についてきて!」


そう言うと徳姫さんは変身を解いて私の手を引っ張る。

私もそれに便乗して変身を解除し、北支部の建物へ足を踏み入れた。





やはり対魔獣のための重要な施設というだけあって、建物の中にはいろんな場所があった。

訓練室に資料室、治療室や会議のための大きなホールなどがあった。


「ここらへんは職員が住むための休眠室だね。住み込んで働く人も一定数いるんだよ」


理由を聞いたところ、魔除庁の業務はかなり過酷で深夜出勤が発生するケースもあるのだとか。それならいっそ住んでしまいたいと考えた人たちが意見したことがきっかけでできたそうだ。


「で…ここが司令たちがいる管理室だね」


ドアを開けるとそこにはとても大きいモニターと多数の電子機器が並んでいた。


「ここで司令たちが指示を出したりしてるの」

「どこもデカくてすごいですけど…ここが一番すごいですね」


規模の大きさに思わず圧倒されてしまう。


「ところで司令…休むなら休眠室借りれば…?」


管理室に入ったときから既に気がついていたが、赤井さんが一番でかい席でうつ伏せになっている。


「なんだ…お前たちか…」

「まったく…いつにもなく落ち込んで、どうしたんですか?」

「話すと少し長くなるがな…」


そういうと、赤井さんは一枚の紙を差し出した。

紙のタイトルは『新年度人事異動における誤りについて』と書いてあった。


「…前にかなりの人数異動してくると言っただろう?」

「そういえば…結構来るって言ってましたね」

「それでこれが…修正版の資料だ…」


そう言うと赤井さんはもう一枚の資料を見せてくる。


「おわ、どこも結構修正されてるね…えっと、ここの修正数は…」


徳姫さんの顔の横から私も資料を覗く。

修正前の人数は200名。かなりの大人数だ。


「で、修正後が…えっ!?」


徳姫さんが驚いた声を出す。

一緒に見てた私も資料の修正人数を見て驚愕する。


『修正後 2名』


0二つ分間違えている。一つならまだしも、二つとは…桁間違えにもほどがある。


「今回、張り切って別場所にもう1箇所副司令室を作ろうとした。そのために中古の家を一つ、()()で買ったんだ」


そこまで言われて何かを察する。


「ローン込みとは言え、数百万消し飛んでしまった…」


経費ならまだしも実費。骨折り損のくたびれ儲けである。

流石に可哀想だと感じた。


「ま、まあ…それは今後頑張っていきましょう…」


徳姫さんがそう励ますが顔は苦笑いである。

そんなことを話していると、扉が開き、天音さんが入ってくる。後ろに続いて、優地と優地と、見知らぬ男性とメガネを掛けた女性が一人ずつ入ってくる。





「そんな事があったとは…」


天音さんが驚きながら言う。


「それもう、直前に動かす人変えたんじゃねえの…?」


冗談交じりに優地も言う。


「ところで天音ちゃん、そっちの二人は…」

「あ、こちらは…」


そこまで言うと二人のうち男性の方が名乗る。


「自分は青田(あおだ) 慎一郎(しんいちろう)って言います!今年から魔除庁に入りました!」

「私は緑谷(みどりや) 美佐(みさ)って言います…えっと、皆さんが…」


緑谷さんが私たちを指差しつつ聞いてくる。


「はい、私たちが魔法戦士です!」


徳姫さんが自慢げに言う。


「私は熊田 天音といいます。こちらの娘が平岡 徳姫さん。でこっちの娘が…」

「桜庭 陽菜です!皆さんと同じで新人です!でこっちは私の彼氏の…」

「天夜 優地です。僕は魔法戦士じゃないんですけどね…」


天音さんがこちらを指差したので私も名乗る。私が話を振った優地も名乗る。


「えっと…女性陣は皆さん魔法戦士なんですね…ところで男性の方はなんでここに…」

「あ…えっと…一応保護者枠?ですね」


新入りの二人は困惑しつつ、青田さんが司令に尋ねる。


「本当に入れちゃっていいんですか司令…?」

「…もうどうでもいい」


例の件でかなりダメージを受けてるらしい。だいぶ投げやりに返答している。


「…ま、まあ皆さん、これからよろしくお願いします!」


気まずい雰囲気を紛らわすように、青田さんが口を開く。私たちもそれに便乗して礼をした。


頭を上げたタイミングでスマホのタイマー音が聞こえる。

優地のスマホからだ。


「あっやべ…あと1時間でバイトだ…ってここ坂戸じゃねえか!」


そういえば私たちの住んでいる川越からは少し離れてしまっていることに今更気づいた。


「これもう電車使うしかねえじゃん…」


頭を抱えながら優地が言う。


「陽菜はどうするか?」

「うーん…一緒に戻ろっかな」


そう言って私は優地の方に近づく。


「これで陽菜さんも正式に私たちの仲間ですね」

「これからよろしく!陽菜ちゃん!」


そう言って二人が手を差し出してくる。

私も二人の方に手を出して握手する。


「まじかよ、次の電車まであと10分かよ!」

「え!?急がないとじゃん!」


そう言って二人で慌てて北支部の建物を北支部の建物を後にした。





慌てて立ち去る二人の姿を、上階から徳姫と天音が見下ろしていた。


「やっぱり二人は仲が良い方が良いよね」

「ええ。二人の姿を見ていると…なんだかずるいなって思っちゃいます」


そう話していると、今まで突っ伏していた赤井司令が起き上がる。


「…さっきの話通りなら、二人が新しい職員ということでいいかな…?」

「はい!」

「はい…」


赤井司令の質問に対し、二人が答える。


「それでは…二人には管理室で働いてもらおう。今回の人事異動で今までいた人は全員動いてしまったからね…」

「了解です!分析は得意です!」

「私も…記憶力はいいので…」


こうして、北支部に新しい仲間が増えたのであった。





夕暮れの川越駅の前にあるビル。その屋上に、二人の影があった。


「…不快だ」


下で右往左往している人の波を見てレオが言う。


「頼むから暴れないでくれよ?さすがにこんな大人数を一気に殺したら、我々の存在も勘付かれる」


苦笑しながら仮面の男が言う。


「でも、次の作戦では俺たちも動くんだろ?」

「まあ、それはそうだが…」


レオはますます不快そうに続ける


「それなら別に今バレたところで問題はないだろ」

「そういう問題ではないよ」


今にも暴れだしそうなレオを仮面の男が静止する。


「この前の魔獣の時に君は顔が割れているんだ。たかが一般人とは言え、魔除庁側に情報共有されていない保証はないんだよ。今のところ、そのような情報は確認してないが…」


そう言ってレオをなだめる。


「それにもうすぐ…君のことを唯一知る一般人は消えることになるのだからね。」


そう言って仮面の男はタブレットを見る。

タブレットの画面には陽菜、徳姫、天音の顔写真。

そして―――優地の顔が移されているのだった。

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