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原子という名の魔法  作者: 氷線香
中世、紀元前番外編
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14/14

中世編 本編 7話

「♪♪♪♪♪〜」


室内に着信音が鳴り響く。

青年のポケットに電子機器が入っていた。


(そう言えば、すべての原子を保存している倉庫から金属系と半導体系の原子が微量だが減っていた。最初は銀髪にして金属原子を操る者の変装を施そうとしたのかと思ったが、どうやらこいつを作ってたようだな。)


「この電子機器はこいつのか?」


「はい、彼の所持品です。しかし、、、」


看守は興味深そうに眼鏡をクイと動かすと、再び口を開いた。


「この電子機器は未知の金属から作られているようです。」


「は?」


ニニチタンは困惑した表情を浮かべる。


(おかしいな。あいつに扱わせたのは一般的に知られている118番目までの元素のみ。119番目以降は陽子魔法等を用いない限り不可能。あいつは陽子魔法が扱えるが、水素原子をヘリウム原子にするくらいしかできなかったはずだが。)


―おいおい、これはどういうことだい?―


ニニチタンが後ろを振り向くと看守は倒れ、そのそばには幾つかの金属を浮かべた人物が立っていた。


「お前、何者だ?」


「おやおや、忘れてしまったのかい?この青年の師匠になる予定だったものだ。」


「お前っ、まさか!デルタ魔法とかいうやつの、」


「覚えててくれたのか。光栄だね。」


「そんなあんたが、なぜうちの国に?第1部隊ともなる人が、不法入国なんて許されるはずがないだろ。」


「いやいや、僕の仕掛けたGPSが、急に反応が悪くなるもんで、脈拍も落ちていってたから何があったのかと思ったらこのざまか。どうやったらこんなになるかね?君は師匠失格だと思わなかったのかい?」


(落ち着け俺。ここでこいつと口論になってもいいことなんて一つもねーだろ。)


ニニチタンは一度深呼吸を挟み、口を開いた。


「あぁ。俺は師匠失格だ。だがあいつの頼みである家族をあいつの母国に帰すことだけは絶対に叶えようとしている。だから邪魔すんな。さっさと帰ってくれ。」


「正論言われちゃうと困ってしまうのだけど、僕のミトコンドリア魔法等を組み合わせて、彼を蘇生しに来たんだ。」


「あんなんデタラメだろーが!」


「いや、細胞を若くする細胞を用いるのさ。それに、養分である原子を放ってあげればこの通り!」


第1部隊隊員は、特殊なクーラーボックスに入っているものを取り出し、腐った内臓を切除、生理食塩水や、生きた血液を流し込んで、手術を始めた、するとわずか5分ほどで、心臓が動き始める。


「どうなってんだこりゃ、、」


ニニチタンは口を覆った。


「いや〜戦場で出血させたときの彼の血を分析しといて良かったよ。」


第1部隊隊員は涼しげな顔で処置を終えた。


「壊死した左腕とか完全に潰れた左目とかは再生できないけど、それ以外はあと数週間から一ヶ月すれば治ると思うよ。あとは君が僕の存在を周りに一切漏らさず、急に生き返ったことを論理的に説明できれば僕の完全犯罪は終了する。」


「俺はこれからどうすれば良いんだ?」


「一つ、すべてではないけど僕が君にミトコンドリア魔法の基礎を教える。これは死んだ者を生き返らせるほど優れてはないけど、肺炎やがんに有効なんだ。風邪の患者を一人二人治せれば、彼を生き返らせたと言っても誰一人疑わないだろう。まぁ、オーガの医療は遅れてるからね。

二つ、彼を俺の下僕として連れて行く。もちろん直ぐにとは言わないさ。でもいつかまた戦うことになることを覚悟していてほしいな。」


「おい!何があった!」


監獄の関係者が走ってくる。


「お、やばいね〜。」


第1部隊隊員はそう言うと書物を残し、逃げていってしまった。


「コンビニング」


「結合しやがった。これがデルタ魔法。」


ニニチタンは目を大きく開いた。


「ニニチタン様、何をされているのですか?」


「あぁ、ちょっとした実験だ。どうやら、医療面での大革命が起きたようだ!」


「何を言って降りるのかわかりません。早く原子魔法でこの屋根を直してください。」


「悪いがそんなん後回しだ。水素の量を増やして絹状に変形させる、、、」


不審な独り言を言うニニチタンに一部の者は軽蔑する視線を送る。


「コンビニング」


するとふかふかな糸が出来上がった。


「あの青年をこの絹の上に寝かせろ。」


驚いた視聴者は急いで青年をふかふかな糸の上に寝かせた。


(やべぇ、無限にイメージが湧いてくる。)


「こいつ、瀕死じゃねーか、お前ら助けろ!!」


視聴者の一人がそう言うと、全員が酸素魔法で回復させようと試みた。


翌日、青年が目を覚ますことを願い、ニニチタンは、任務へ向かう。


―原子という名の魔法 中世編 本編 7話 完―

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