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原子という名の魔法  作者: 氷線香
中世、紀元前番外編
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中世編 本編 5話

あまりにも早く正直こんな乱暴な人が探してくれるかすら疑いを持っていた。


「俺はオーガの第1部隊に所属してるからこんな情報すぐ手に入るんだよ。」


「じゃあ俺の兄を連れ去ったのは誰なのですか?兄は今どこで何を!!」


「落ち着け。お前の兄貴は俺が家に帰しといた。陽子魔法の実験だったんだな。報酬はたっぷり出るぞ。」


なるほど、拉致したあと、一定期間実験させ、報酬を渡すことで事態を丸く収めてんのか。


「とはいえ、何も拉致するほどじゃないですよね。」


「まぁ、最近お前の国のフリーズと、オーガがかなり揉めてるって話だからな。悪い情報しかまわらずに、陽子魔法の実験に志願してくれる人が少ないんだろう。」


「姉さんや母さんや父さんはどこにいるんですか?」


「まだわからねぇが、いずれ見つかる。死んでたら申し訳ねぇ。」


「ニニチタンさんも謝るんですね。」


言葉が続かなかった。もしかしたら死んでいるかもしれない。不安と焦りが同時に襲ってきた。

ふと、スマホを出そうとしたが、ニニチタンと第1部隊隊員との戦いで、もうぼろぼろになっていた。


「お前、それ壊れてんのか?」


するとニニチタンは俺にスマホを1台差し出した。

最近のモデルで、ニニチタンがチタンでコーティングしている。防御面もバッチリだ。


「アトム語に翻訳しといたぜ。」


「ありがとうございます。」


すぐさま兄へ連絡した。


「お前、生きてたのか!」


「兄貴、今どこにいんだよ。なんでお前だけ助かってんだよ。」


数週間ぶりの兄の声だが、引きこもりで親のスネばかりかじっているイメージが強く、軽蔑するかのような声で話した。


「いいじゃねぇかよ!なんか寝て起きたらいつの間にか違う国にいるし、言葉は通じないしで大変だったんだよ!」


「家族の行方はしらねぇか?」


「わからない。」


「何も手がかりなしか。」


俺は電話を切った。再び兄から電話がかかってきたが、無視。足手まといになりかねない。


「悪いが今ここに出ている情報で全部だ。」


そう言うとニニチタンは70ページある情報書を机のうえに置いた。

政府公式または非公式の陽子魔法研究所の数。研究報告書、幹部、責任者の名前、それらの研究所が被験体を留まらせる宿泊施設の名前、オーナーの名前、顧客名簿すらあった。しかし国が調査を進めたのは最近の話で、非公式においては、まだ数カ所しか載っていないし、公式の情報もざっくりしかでていない。

まぁいい。研究所の住所はすべて記されているため、全部回れば事実上は家族全員に会える。


「第1部隊隊員秘書証明書を発行していただけませんか?」


「いや、無理だね。」


「どうしてですか?」


「手続きがめんどくさいから。」


「ふざけないでください。家族を探していただくかわりに自分はあなたに就いているのですよ。」


「もちろん理由はそんだけじゃねぇ。お前、オーガで好き放題しただろ。火事がおきたり、電波障害が発生して大変だったんだよ。なにより、不正入国したお前は大犯罪者だ。かつてオーガの森を火に包んだ紀元前の大犯罪者なみのな。反抗期の今が殺し時か?」


「オクス家のブラックジョークはあまり好きじゃないですね。事実、あなたは私を生かしてくれています。」


「それはお前が有効活用できそうだったからだ。俺の意見を否定する今は違う。」


「否定じゃありません。俺があなたの秘書であることを証明できれば、すぐに自分の家族が見つかります。そしてこの契約も終わる。ウィンウィンですよね。」


「どこに俺の勝利要素あった?お前は俺にとって反抗さえしなければ必要な人材だ。この契約を切ること自体納得いかねぇんだよ。だがな、お前を秘書として正式に雇うことはできない。

仮に雇ったとして、それが政府にバレれば飛ぶ首はお前だけじゃないだろ。」


「じゃあ契約を変えましょう。

―俺は一生、あなたの秘書として働きます―」


「嘘つけよ。1週間ちょっとしか関わりがないお前の言葉など信じられるか?」


「残念ながらそれを確かめる術はありません。なので...」


俺は首輪とリモコンを取り出し、首輪を自分の首にはめた。


「これは、破壊されようがリモコンでスイッチを押されようが爆発します。もちろん、この機械を作っている原子の中に俺の操れるものはありません。」


「お前、今何をしたか分かってんのか?」


「それくらいの覚悟ということです。本当は最終手段として使いたかったのですが、仕方ないですね。」


...


沈黙のあとニニチタンは口を開いた。


「しゃあねぇ。ちょっと待ってろ。」


そう言うとニニチタンは部屋の奥にある棚の南京錠の前に立った。


「メルト」


チタンでできていたのだろう。一瞬にして南京錠は溶けた。


そこには118個の大きな瓶。すべての種類の原子が入っていた。


「ここにある原子は好きに使っていい。うまく変装しろ。」


「はい。」


炭素水素酸素使っておけばなんとかなる。銀をヤスリで磨いて銀髪に、ケイ素を使ってメガネを、あとは適当にマスクでもしておけばなんとかなるだろう。


―15分後―


「お前、なんで長髪なんだよ。」


「別にいいじゃないですか。できる限り差別化させたいんです。」


「まぁ、お前がいいならいいが。」


「じゃあ、役所に向かいましょう!」


―役所にて―


「こいつに秘書証明書を発行してやってくれ。」


ニニチタンは俺の偽装された身分証明書を出す。

翻訳アプリがあるため、俺も加勢できる。


「お前、まさか誘拐してきたんじゃねーだろうな。」


「冗談はお前のその腹だけにしとけよ。」


2人は知り合いなのだろうか。冗談交じりに馴れ馴れしく接している。


「おい少年!こいつに乱暴されてねーか?今でも通報してやるよ。」


「あぁ、大丈夫です。」


やや肥満体型か。その人は俺の偽装された身分証明書を少し見て振り返る。


「こいつは、偽物だな。ニニチタン。そうなんだろう?やはり誘拐してきたんだなぁ。」


「さぁ、どうでしょうね?」


「いくら俺らの仲とはいえ、侵入者を通すわけには行かねぇんでぇい。」


そう言うと役員は、俺に向かって魔法を唱えた。


「ショット」


攻撃が来る!


「ハーダー」


木造建築なため、ダイヤでなんとか...


「ファイヤ」


ダイヤが小さくなる。こいつ、分かってやがる。


「スロー」


投てきの攻撃が来る。どこだ...


「え?」


俺はとっくにそら高くに引っ張られた。おそらく役員は、酸素炭素水素窒素硫黄の原子を操り、俺の衣服を空に向かって投げたのだ。まずい、何か床に敷かなければ、落下死だ。


「ウォキシ」


水で少しでも...


「ウォキシ」


そうだった。相手も水素が操れる。終わった。いっそのこと首輪の爆弾を起動させるか。


―俺は、そのまま地面に落下した―


―原子という名の魔法 5話 完―

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